親の「ねば」が子どもを追い詰める!? コロナ禍こそ求められる、待つこと、間引くことの大切さ 小川大介さんインタビュー【後編】

#育児・子育て   

自分ひとりで抱え込まず、家族や先生と役割分担を


また、「ねば」の多い人というのは、夫婦や家族の会話が少ない傾向にあります。家族で話し合えていれば、「全部は無理だから、これは後回しでいいんじゃない?」という会話ができたり、「算数はパパが得意だから、よろしくね」など、お互いの持ち味や得意なところを活かして助け合え、思考も柔軟になります。子どもに対しても、「ママがごはん作っている間に、これをやっておいてね」と言えるおうちは、そこまで親の負担が大きくならずに済んだと思います。

でも「自分がやらねば」とひとりで全部しょいこんでしまう人は、できないことがあると自分がマイナスを生んでいるような気がして負い目に感じてしまうため、「これくらいでいいかな」という線引きや、適度に間引くという発想に至りません。だから、まずはその孤独な状態に陥っている自分の置かれた環境を変えること。自分を助けてもらうことを、家の中から始めてみることが大切です。

―間引くという選択はなかなか勇気がいるものだし、何を間引くかを決めるのも難しそうです。

日頃から子どものことをよく観察して、「うちの子はここはできてるけど、このへんはちょっと心配だな」ということをわかっていないと、やはり難しいと思います。でもわからなければ、先生に聞けばいいだけ。“家で起きていることは親が全部やらなきゃ”と抱え込む必要はありません。悩んでいる人の多くは、先生にコンタクトを取ることにも躊躇しがちなのですが、もっと気楽に先生に質問していいと思います。

―新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』にも、先生との関わり方のコツが書かれていました。

学校や先生を何か特別な聖域のように捉えていて、気軽に相談できる相手と思っていない人が多いんですよね。これは先程の“勉強は学校でやるもの”という発想とも関係しているのですが、“学校に子どもを預けている”という感覚のため、学校と家庭を全くの別物のように捉えてしまっているのです。

でも本来、先生は自分たち親のパートナー。家庭と学校が連携して子どもを育てていくわけだから、親と先生が連携を取れていないほうがおかしいですよね。“預けている”ではなく“繋がっている”という感覚を持ち、先生と相互に協力し合う関係を築けたら、「自分が全部やらねば」と縛られているところからも、ちょっと抜け出せるような気がします。

“子育ては2勝8敗”、できているところを認めよう


―まだまだ先の見えない世の中ですが、コロナ禍で子育てに奮闘している親御さんたちにメッセージをお願いします。

コロナ禍では、多くの人が我が家のことを考えたり、学校との付き合い方を考えたり、今まで当たり前に過ごしてきた子どもを取り巻く環境を、見つめ直す時期だったように思います。しんどいことも多かったでしょうが、子どもを理解し直すこと、自分自身を理解し直すこと、パートナーや家族と理解し合うことで、自分たちの子育ての軸のようなものを見つけ出す機会になったのなら、このコロナ禍における子育ての苦しさにも意味があったのではないでしょうか。

また、子育てには子どもを「認める」ことが大事と言いましたが、親として成長するためにも、親である自分自身を「認めてあげる」ことが大切です。できていないことに目を向けるのではなく、自分がやれていること、できたことを見つけていくことが、親をやるうえでの自信や安心感につながります。“子育ては2勝8敗”。10回のうち2回でもうまくやれたなら上出来です。できていることに目を向けるようにしましょう。

◇ ◇ ◇

コロナ禍にも負けない自分軸を育てることのできる「見守る子育て」。その第二弾となる新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』では、自ら学ぶ子に育つための親としての環境づくりや関わり方が43のコツとして紹介されています。コロナ禍でがんばり過ぎてへとへとになった人も、読めば「ねば」の呪縛から解放されるヒントが見つかるかもしれません。自分ひとりで抱え込まずに家族や学校と協力し合う、という視点を取り入れ、新たな子育て環境の構築への一歩を踏み出してみませんか。


Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て


『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』

大手進学塾や個別指導塾での経験から、子ども一人ひとりの持ち味を見抜き、強みを生かして短期間で能力を伸ばす独自ノウハウを確立。教育家・小川大介氏が、自分軸を伸ばす子育てのコツを公開した話題の一冊。


■小川先生のTwitter:@Kosodate_Ogawa
■小川先生が主任相談員を務めるサイト:中学受験情報局『かしこい塾の使い方』


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