今、流行している意外な感染症とは? 岡田晴恵教授が教える予防法

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いよいよ冬到来。まだまだ新型コロナ対策には気を抜けない日々が続いています。しかし、今冬に注意すべき感染症は新型コロナウイルスだけではありません。インフルエンザ等、冬に流行する感染症はたくさんあるのです。しかも今年は時期外れの手足口病も流行の兆しがあります。

そこで今回は岡田晴恵著・小林弘幸監修の『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』より、今特に注意すべき5つの感染症の症状と対処法について紹介します。

岡田晴恵先生。今特に注意すべき5つの感染症の症状と対処法について紹介


1 手足口病

手足口病

どんな症状?
・口内の粘膜、手のひら、足の裏に水疱性の発疹が出ます。
・お尻やひざに赤い発疹が出ることもあります。
・下痢、無菌性髄膜炎、心筋炎、脳炎などの合併症も起こり得ます。
・手、足、口すべてに症状が出るとは限りません。

症状が出たらどうする?
・症状が改善すれば登校・登園できます。
・高熱、頭痛、嘔吐があれば医師の診断を受けましょう。
・通常は対症療法で自然に治癒するのを待つのがよいでしょう。
・口内が荒れますが、脱水症状にならないように薄味の飲食物を与えましょう。

感染の予防と拡大防止には何が必要?
・感染した患者も、他の人も、よく手洗いをしましょう。
・感染後5週間はとくにトイレ後の手洗いをしっかりしましょう。
・おむつ替え後の処理には十分気を付けましょう。
・共用のおもちゃはこまめに消毒、拭き取りをしましょう。
・プールではシャワーをしっかり浴びましょう。

感染した患者も、他の人も、よく手洗いをしましょう

感染後5週間はとくにトイレ後の手洗いをしっかりしましょう


2 インフルエンザ(季節性)

インフルエンザ(季節性)

どんな症状?
・ふつうのかぜよりも症状が強くなることが多いです。
・急な悪寒から、突然38~40℃の発熱が生じます。
・倦怠感があり筋肉痛や関節痛などが生じます。
・発熱後数日で、せきや鼻水の症状が出る場合もあります。
・気管支炎や肺炎、また脳症などの合併症にも注意が必要です。

症状が出たらどうする?
・抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、イナビルなど)を服用します。服用の際は、必ず医師・薬剤師に相談しましょう。
・罹患している子どもは、異常行動を起こしやすいとされるので注意が必要です
・小児に重い脳症を起こすことがあるため、アスピリンなどの鎮痛解熱剤は服用しないこと。

感染の予防と拡大防止には何が必要?
・石けんを使って手洗いをしっかりとしましょう。
・のどの温度と湿度を保つためマスクを着用します。
・せきが出る人は、マスクを着用しましょう。
・部屋の湿度を50~60%に保ちましょう。
・人混みや繁華街への外出を控えましょう。
・予防接種を受けましょう。

3 RSウイルス感染症

RSウイルス感染症

どんな症状?
・鼻水から始まり38〜39℃の発熱とせきが続きます。
・乳幼児の初感染の場合、ヒューヒュー、ゼーゼーなどの音を伴う気管支炎や、肺炎など重症化することもあります。

症状が出たらどうする?
・軽症の場合は、水分を補給しながら自宅で安静にしましょう。
・6か月未満の乳児が発症したら、悪化のおそれを考えて入院し、経過観察しましょう。

感染の予防と拡大防止には何が必要?
・せきの出る人は、マスクを着用しましょう。
・マスクがなくてもハンカチや腕などで鼻・口を覆いましょう。
・ドアノブ、手すり、机、椅子やおもちゃなど、手を触れる部分は入念に消毒しましょう。(アルコール(70%)や塩素系の消毒剤などが有用)
・療養中の部屋はこまめに換気し、湿度を60%に保つようにしましょう。
・鼻をかんだ後や食事前はとくに手洗いを行いましょう。
・基礎疾患のある子どもの場合、注射薬パリビズマブを流行期間前から1か月ごとに注射しましょう。
・かぜ症状のある子、とくに乳児は注意して見守る必要があります。

4 ノロウイルス感染症(感染性胃腸炎)

ノロウイルス感染症(感染性胃腸炎)

どんな症状?
・吐き気、嘔吐、下痢が主な症状。腹痛、頭痛、発熱を伴うこともあります。
・通常、数日で軽快します。
・乳幼児や高齢者などの場合には脱水症状や嘔吐物による窒息を起こすこともあり、注意が必要です。

症状が出たらどうする?
・薬は実用化されておらず対症療法となります。
・嘔吐があって横になる場合は横向きに寝るようにしましょう。
・嘔吐がおさまったら、水分補給を。症状が重い場合は、医療機関で輸液を行ってもらいましょう。

感染の予防と拡大防止には何が必要?
・子どもが嘔吐・下痢をしたら、ただちに医療機関を受診させましょう。
・子どもに十分に手洗いをするよう指導しましょう(消毒用のアルコールでは不十分)
・トイレは蓋を閉めてから流しましょう。
・包丁やまな板を熱湯に浸して除菌しましょう。

5 流行性角結膜炎

流行性角結膜炎

どんな症状?
・潜伏期間が過ぎると急にまぶたが腫れて涙が出るようになります。
・目やに、涙目、結膜の充血、リンパ節の腫れが起こります。
・ひどい場合、角膜(黒目)に炎症が及び、視力が低下することも。
・発症からの1週間は症状が強く出て、徐々に改善されます。

症状が出たらどうする?
・眼科を受診しましょう。
・特効薬はありませんが、点眼薬で炎症をおさえ、細菌の混合感染を予防しましょう。

感染の予防と拡大防止には何が必要?
・症状が出ても不用意に目を触ってはいけません。
・石けんで手をよく洗って、ペーパータオルでふきましょう。
・タオルの共用はしないようにしましょう。
・眼科を受診し、細菌による二次感染に注意しましょう。
・医師の許可で登校しましょう。

症状が出ても不用意に目を触ってはいけません

眼科を受診し、細菌による二次感染に注意しましょう


コロナ禍で迎える冬、知識を得て家族を感染症から守りましょう。

著=岡田晴恵
白鷗大学教育学部教授。共立薬科大学大学院修士課程修了、順天堂大学大学院医学研究科博士課程中退。アレクサンダー・フォン・フンボルト奨励研究員としてドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所に留学、国立感染症研究所研究員、経団連21世紀政策研究所 シニア・アソシエイトなどを歴任、現職に至る。

監修=小林弘幸
順天堂大学医学部教授/日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学大学院医学研究科(小児外科)博士課程修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科学講師・助教授を歴任、現職に至る。

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