新型コロナウイルス感染症の自宅療養はここに注意!/岡田晴恵先生の「家族と自分を感染症から守るには」(2)

#くらし   
自宅療養になった時の注意点

『家族と自分を感染症から守る本』2回【全11回】


ニュースで毎日目にする「新型コロナ」の文字。パンデミックによって、感染症は身近な病気なのだと改めて意識した人は多いのではないでしょうか。

でも、感染症は新型コロナウイルスだけではありません。
家庭でよく起こる様々な感染症について、感染症研究の専門家である岡田晴恵先生が、イラストと図解でわかりやすく解説した『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』。本書から、知ってるようで知らない「そもそも感染症って何?」や、今さら人に聞けない「日常生活で気をつけることは?」といった基本的知識をご紹介します。

症状や対処法を知って日頃からできることを実践し、大切な家族と自分自身を守っていきたいですね。

※本作品は著/岡田晴恵、監修/小林弘幸の書籍『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』から一部抜粋・編集しました

新型コロナウイルス感染症(概要)

軽症の新型コロナウイルス感染症と診断された場合は、自宅療養になることがあります。ここではその際の注意点をまとめました。

以下にあげる注意点は、家族や同居人が自宅療養をしている場合の事柄も含みます。言うまでもないことですが、感染者は外出をしてはいけません。

1.可能な限り換気と加湿をする

感染者のいる部屋は定期的に換気を励行しましょう。風の流れができるように2方向の窓を、一度に数分間全開にして完全に入れ替えます。換気の回数は1時間に数回程度が望ましいです。

2.感染者と同居人で部屋などの空間を分ける

感染者が過ごす部屋は可能なら個室にしましょう。食事や寝るときも別室にしてください。小さいお子さんがいる、部屋数が少ない、部屋を分けられないなどの場合には、2メートル以上の距離を保ち、カーテンなどで空間を仕切りましょう。

日常的に使用するものは感染者は専用とし、同居人が使うものとしっかり分けましょう。食事はできるだけ自室でとり、食器はなるべく使い捨てにして、食事が終わったら専用のビニール袋に入れて密閉しましょう。感染者の入浴は最後にし、使用後はシャワーで浴室をよく洗い、換気を十分におこなってください。

3.なるべく限られた人が世話をする。

感染者の世話をする人はなるべく一人に限定しましょう。基礎疾患(持病)のある人や妊娠している人が世話をすることは避けましょう。感染者の体を拭いたり、体液や排泄物に触れたりする可能性があるときは使い捨ての手袋やエプロンを着用して、汚染されないようにしましょう。

なお、エプロンがない場合には、大きなゴミ袋で代用することもできます。世話をする人も毎日体温を測り、感染が疑われるような症状がないか注意しましょう。

4.感染者も世話をする人もマスクを着用する

感染者も同居人も、対面するときは必ずマスクを着用しましょう。

5.感染者や世話をする人はこまめに手を石けんで洗う

こまめに石けんで手を洗いましょう。手はペーパータオルなどで拭き、タオルの共有は避けましょう。

6.手で触れる共用部分を掃除・消毒する

接触感染が起こるのを防ぐため、よく手が触れる部分を消毒する必要があります。消毒の際は窓を開けて換気をおこない、スプレーや噴霧ではなく、拭き取ります。また、使い捨ての手袋を使用します。消毒が終わったら手袋を外し、よく手を洗いましょう。ドアノブや手すりなど共用部分は、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きしましょう。トイレや洗面所は通常の家庭用洗剤で洗い、家庭用消毒剤でこまめに消毒しましょう。

自宅療養になった時の注意点


7.汚れた寝具や衣服を洗濯する

衣服や布団カバー・枕カバーなどは、鼻水・排せつ物・吐しゃ物などの体液が付着している可能性がある場合には、念のため80℃の熱湯で10分以上消毒後に通常の洗濯をしましょう。洗濯は必ずしも別にしておこなわなければならないわけではありませんが、気になる場合には分けて洗濯してもよいでしょう。体液で汚れた衣服・寝具を取り扱う際は、手袋とマスクを着用し、一般的な家庭用洗剤で洗濯して完全に乾かしてください。加熱式の乾燥機にかけることや、色落ちが気にならないものであれば薄めた次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.05%)の使用も有効です。

汚れた寝具や衣服を洗濯する

※冬は温度を下げないため、お湯を継ぎ足すなどしましょう。

8.ゴミは密閉して捨てる

鼻をかんだティッシュなどにもウイルスが付着しており、感染性があります。感染者の分泌物を拭くのに使用したり、看護に使用したりしたティッシュは、あらかじめ感染者専用のゴミ箱を準備してビニール袋をかけてそこに入れましょう。室外に出すときは密閉して捨ててください。その後は直ちに手を石けんでよく洗いましょう。気になるときはビニール袋を二重にしてください。

9.経過記録をつける

自宅療養を行う場合には、経過記録表をつけるようにしましょう。いつからどんな症状が出ていたのか、症状の度合はどのような経過なのかなどについての記録です。あとで振り返っても記憶というのはあいまいですし、発熱などの症状でつらいとなおさら経過の記憶はあやふやになってしまいます。また、自宅療養中の症状や経過の変化によっては、入院が必要かどうかなどの重要な情報を早期に把握することができます。

最初に、患者の年齢や性別・身長・体重、血液型・既往歴(過去の病気や現在治療中の病気)・アレルギー・喫煙歴・飲酒歴・常用薬などの基本情報を記載します。

次に、主な症状がいつから出てきたか、時間経過とともに記録していきます。症状の変化に応じて経時記録と詳細について記録していきましょう。なるべく、朝・昼・夕の1日3回の経過を記録しましょう。食事摂取量なども記録しておくと有用な情報になります。

【コラム】
宿泊療養とは?

軽症と医師から診断された場合、入院対象患者以外は自宅療養あるいは宿泊療養を指示されます。同居中の両親が高齢で別室での隔離が難しい、医療従事者と同居しているなど、さまざまな理由で宿泊療養となることがあります。宿泊療養は、地域のコロナ患者の状況を考慮したうえで、各都道府県が指定した宿泊先に移動し、そこで療養することをいいます。

宿泊療養の場合は、基本的にはホテルなどの個室で療養し、外出はもちろん、家族などとの面会もできません。食事や飲み物などは提供されますが、衣服やタオルなどは用意されないため持参する必要があります。なお、滞在費などは無料です。施設に滞在する看護師などのスタッフが定期的に健康状態を確認して、もし状態が悪化した場合には病院への移動などが検討されます。

下に宿泊療養の際に用意したほうがよいもののリストを掲載しますので、参考にしてください。

宿泊療養の際に用意したほうがよいもののリスト


著者プロフィール

著:岡田晴恵

著者/岡田 晴恵
白鷗大学教育学部教授。共立薬科大学大学院修士課程修了、順天堂大学大学院医学研究科博士課程中退。アレクサンダー・フォン・フンボルト奨励研究員としてドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所に留学、国立感染症研究所研究員、経団連21世紀政策研究所 シニア・アソシエイトなどを歴任、現職に至る。

監修:小林弘幸

監修/小林 弘幸
順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学大学院医学研究科(小児外科)博士課程修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科学講師・助教授を歴任、現職に至る。自律神経研究の第一人者としてプロスポーツ選手・アーティスト・文化人へのコンディショニング・パフォーマンス向上指導にかかわる。

著=岡田晴恵、監修=小林弘幸/『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』(KADOKAWA)

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