樹名板に支柱まで。樹木は邪魔なものを自分の体に飲み込んで成長する/すごすぎる身近な植物の図鑑(8)

#くらし   
樹名板、樹木が自分で持っていない?

『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』8回【全8回】


普段何気なく目にしている草木や花には、命をつないでいくためのすごい生態や、ユニークな特徴がいっぱい!

そんな面白さを教えてくれるのが、植物のガイドや写真家として活動する植物観察家の鈴木純さん。誰でも見られる身近な植物にスポットを当て、探し方から観察方法、知っていそうで意外と知らないトリビアまで分かりやすく解説。知れば植物への興味が深まる内容ばかりです。

花だけでなく、葉やタネ、根や茎にも注目したくなる、植物観察の楽しみ方を紹介します。

※記事は、関東圏で実際に観察した記録をもとにしています。地域によっては見られない植物があったり、観察する時期にずれがあるなどの可能性があります。

じゃまなものは体で飲み込む樹木たち


見みられる時期:1年中
見みられる場所:街路樹、公園

その樹名板、樹木が自分で持っていない?

まちなかや公園で植物観察をするとき、樹木にかかっている樹名板に助けられることがあります。もし見慣れないものが植えられていても、樹名板に樹木の名前が書いてあるので、それをもとに図鑑で調べることができるからです。

そんなわけで、わたしはいつも何気なくまちなかの樹名板を見ているのですが、ある日、写真①のようなものを見つけました。まるで樹名板を樹木が自分で持っている(写真②)ような……。

樹名板、樹木が自分で持っていない?

何気なくまちなかの樹名板を見ているのですが…


目のつけどころ

樹名板を飲み込んでいる写真

樹名板を飲み込んでいる写真

樹名板を飲み込んでいる写真

樹名板を飲み込んでいる写真

樹名板を飲み込んでいる写真


樹木は障害物を飲み込んで成長していく

樹木は、短命な草とは違って年々大きくなっていきます。背も高くなりますし、幹や枝も太くなります。幹に巻かれた樹名板は、樹木が大きくなればなるほど成長のじゃまになっていきます。

幹ははじめ、樹名板にふれている部分を成長させることで、異物を押してどかそうとします。ですが、樹名板はワイヤーのようなもので幹に固定されています。そうなると樹木は、異物を押すよりも、その端のほうから飲み込むように成長していきます。

樹名板にふれて幹に傷がつくよりも、体のなかに取り込んでしまったほうがダメージが少ないのかもしれません。

樹木が樹名板を飲み込んでいく過程

樹木が樹名板を飲み込んでいく過程。

支柱だって飲み込んでいく

街路樹は、支柱に支えられていることがよくあります。支柱は、木を助けるために使われますが、そんな支柱も樹木が成長して太くなるとじゃまになっていきます。こんなとき、樹木は支柱でさえも飲み込んでいきます。

一瞬一瞬を見ると気づきませんが、長い時間でとらえると、樹木はその一生で大きく姿を変えながら生きていくのです。

街路樹を支える支柱を樹木が飲み込むことも

街路樹を支える支柱を樹木が飲み込むことも

【豆知識】
おもしろいかたちの木を見つけて、「どうしてこうなったのだろう?」と自由に想像することも立派な植物観察です。名前がわからなくても楽しめるので、おすすめです。

※本記事は鈴木 純著の書籍『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』から一部抜粋・編集しました

著=鈴木 純/『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』

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