【ワンコ17歳】おばあちゃんのことが大好きだったワンコ。ふたりが最後に会った日の姿に涙が止まらない

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おばあちゃん来てくれたよ

『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』5回【全6回】


17歳11か月まで生きたワンコの飼い主、サエタカさん。ワンコとの出会いは2004年の7月、新聞の地域情報コーナーで見つけた子犬の引き取り手を探す小さな投稿がきっかけだったと言います。

そうして家族に迎えられたワンコも歳をとり、いつしか介護が必要な老犬に。「うちのコは永遠に元気」となかなか現実を受け入れられずにいましたが、そんな時にTwitterで見かけたのが「#秘密結社老犬倶楽部」というハッシュタグ。全国の老犬たちと飼い主さんの愛あふれる様子に勇気づけられ、「私も」と始めた投稿が大きな反響を呼びました。

老犬介護はとても大変だけれど最高にかわいい——。サエタカさんが綴ったワンコとの日々の記録から、17歳のエピソードをご紹介。何気ない毎日の中で感じる、幸せとせつなさに胸が打たれます。

※本記事はサエタカ著の書籍『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』から一部抜粋・編集しました


ワンコとおばあちゃん

おばあちゃんの匂いを嗅ごうと、首を持ち上げるのです

おばあちゃんが、ワンコに会いに来てくれました。

ワンコは、初めてうちに来る時、車で一緒に迎えに行ってくれたおばあちゃんの、お膝の上に乗ってやってきました。それ以来、おばあちゃんのことが大好きでした。普段は少し離れた隣町に住んでいるので、ワンコは年に数回しかおばあちゃんには会えなかったのですが、なぜかとても懐いていました。

おばあちゃんのことが大好きでした


柴系の犬はみんなそうですが、家族以外にはなかなか懐きません。ご近所さんやいつもの宅配業者さんにも、最高レベルの警戒態勢でした。しょっちゅう遊びにきてオヤツまでくれる友人にすら、そうやすやすと尻尾を振ったりしなかったです。そんなうちのワンコが、一緒に暮らす家族以外で唯一懐いていたのが、おばあちゃんでした。

若い頃は、おばあちゃんが会いに来てくれると、飛び跳ねて大はしゃぎし、落ち着かせるのが大変でした。玄関の外のおばあちゃんの声に気づいた瞬間、走り回って大騒ぎ。家中をひと通り走った後、大急ぎで玄関の前にスタンバイしてキュンキュン鳴いておばあちゃんを呼び、後ろ足はうずうずと足踏みが止まらず、尻尾はヘリコプターみたいにグルングルンと回ってて、今にもすっ飛んでってしまいそうでした。

このままじゃおばあちゃんが突き飛ばされてしまうので、まずワンコを押さえて、玄関に入ってもらったおばあちゃんが座るのを待ってから、ワンコを離してあげました。ワンコは本当に大喜びでおばあちゃんの胸に飛んで行きました。こんな感動の再会が、毎回だったのです。

一生懸命おばあちゃんの匂いを嗅ごうと


最後におばあちゃんが会いにきてくれたのは、山の寒さが少し緩んで、日差しが暖かくなり始めた3月。ワンコは17歳8か月になっていました。

その頃は、ケージの中でもう寝たきりになっていましたが、抱き上げておばあちゃんの方へ顔を向けてやりました。すると、スウッと前足をおばあちゃんの方へ伸ばし、一生懸命おばあちゃんの匂いを嗅ごうと、首を持ち上げるのです。

おばあちゃんは、前足をやさしく握って、鼻先に顔を近づけて目を閉じました。ふたりは何も言わないけれど、全部わかっているようでした。

私は涙が止まらなかったです。

私は涙が止まらなかったです


著=サエタカ/『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』

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