【ワンコ15歳】うまく歩けなくなっても上機嫌。いつもの河川敷で繰り広げる優雅な老犬散歩ルーティン

#趣味   
15歳のワンコとお散歩

『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』1回【全6回】


17歳11か月まで生きたワンコの飼い主、サエタカさん。ワンコとの出会いは2004年の7月、新聞の地域情報コーナーで見つけた子犬の引き取り手を探す小さな投稿がきっかけだったと言います。

そうして家族に迎えられたワンコも歳をとり、いつしか介護が必要な老犬に。「うちのコは永遠に元気」となかなか現実を受け入れられずにいましたが、そんな時にTwitterで見かけたのが「#秘密結社老犬倶楽部」というハッシュタグ。全国の老犬たちと飼い主さんの愛あふれる様子に勇気づけられ、「私も」と始めた投稿が大きな反響を呼びました。

老犬介護はとても大変だけれど最高にかわいい——。サエタカさんが綴ったワンコとの日々の記録から、15歳のエピソードをご紹介。何気ない毎日の中で感じる、幸せとせつなさに胸が打たれます。

※本記事はサエタカ著の書籍『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』から一部抜粋・編集しました


老犬エンジン

老犬のエンジンはなかなか始動しません

夕方のお散歩は、いつも16時半でした。

小さい頃からワンコも私も散歩が大好きで、いつもの河川敷を走っているのを、仕事帰りに見かけたとーさんいわく、ふたりとも満面の笑みだったそうです。14歳の時に2度目の前庭疾患を患って以降、フラフラしてうまく歩けなくなりましたが、それでも毎日同じ時間に、散歩に出かけていました。

散歩の準備を始めると、15歳の老犬ワンコもうれしそうにします。若い時と違い、尻尾をぶんぶん振ったり、飛び跳ねて体全体でうれしさを表現することはもうないのですが、私の顔をじっと見て、瞳の奥がキラリと光ります。そして、とっても遠慮がちに体をわずかに擦り寄せてくれます。これは飼い主だけがわかる、老犬がめっちゃ喜んでいるサインです。私はそんなワンコにもうメロメロ♡

毎日同じ時間に、散歩に出かけていました


こうして張り切っていつもの河川敷へ繰り出すワンコですが、老犬のエンジンはなかなか始動しません。川を眺めながら10分以上動かないことも多いです。ようやっと歩き出しても、すぐにエンストして止まってしまいます。

「頑張れー♪」って声をかけて背中をなでてやると、歩き出します。でも数十メートル歩くとまたエンストするので、また背中をなでてやります。そんな風にしながら一回の散歩で何度も何度も止まりました。私は何度も何度もなでてやりました。15歳のワンコの散歩はこんな様子でした。

病気になる前の散歩は、キャーッて大騒ぎして出かけて、ワーッて大喜びで走り回って、サクーッて排泄も済ませて、ターッて家に戻る。それがまったく変化なく毎日続きましたが、病気をきっかけに始まった、この優雅な老犬散歩ルーティンは、この後も毎日進化しました。まず、散歩中にクルクル回るようになります。16歳過ぎる頃には、その回転力が増し、とても楽しそうに、「ほら見てー!」って感じで回ります。

そのうちに飼い主の位置を確かめるように、足元をクルクル回るようになり、私はリードを華麗に回せるようになりました。同じ場所でずっと匂いを嗅いでいて動かなくなることもありました。目や耳がはっきりきかなくなってきたからなのか、嗅覚を活かして犬手紙(ご近所のワンコのマーキング)を読むのが楽しいようで、長ーい時間をかけて熟読します。そのまま全然歩けなくて、20メートルほど歩いただけで帰ってきても、玄関で満足げにやりきった顔をしていました。

犬手紙を読むのが楽しいようで、長ーい時間をかけて熟読します


病後、15歳半の頃には病気前と同じ距離を歩けるようになったワンコでしたが、その後は少しずつ、距離もスピードも落ち、さらに優雅に、土を一歩ずつ踏み締めるような散歩に進化していきました。

そして、どんな時の散歩も、ワンコはとても楽しそうでした。

多分、私も。

どんな時の散歩も、ワンコはとても楽しそうでした


著=サエタカ/『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』

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