覚えておきたい! 火災時の「戸建て住宅」「マンション」の緊急脱出方法

#くらし   
戸建て住宅、マンションの緊急脱出方法

『消防レスキュー隊員が教える だれでもできる防災事典』 7回【全8回】


いつ降りかかってくるか分からない、自然災害や人災、事故などの被害。そんな「もしも」のときに備えておくべき対処法を教えてくれるのが、消防レスキュー隊員のタイチョーさんです。

数々のレスキュー現場で救助してきたレスキュー隊員だからこそ知っている、「災害対応のプロ」ならではの知識やテクニック。そのどれもが、子どもやおばあちゃんなど力が弱い人でも実践できるものばかり!

自分や大切な人の命を守る知識やテクニックを身につけて、不測の事態が起こったときも冷静に対処できるように、ぜひ親子・家族・友人同士みんなで防災意識を高めて備えていきましょう。

~~~

「戸建て住宅」の場合は、「投げる」「降下する」で緊急避難しよう

火災の対処:「戸建て住宅」の緊急脱出方法

寝室を「緊急脱出部屋」にする

夜中、2階で寝ているときに火災が発生して煙が充満し、火災に気づく頃には、天井にまで炎が達してとても危険な状況になっていることが多いです。

1階からの避難が困難な場合は、寝室の寝具と「避難はしご」(または「避難用ロープ」)を使って緊急脱出をします。

降下するときは体をできる限りはしごに寄せて、両足を一段ずつ揃えて慌てずに避難しましょう。

2階の寝室から緊急脱出する方法
「投げる」枕やベッドのマットレスを下に投げてクッションにする

枕やベッドのマットレスを下に投げてクッションにする

「降下する」避難はしごを使い、体をはしごに寄せて1歩ずつゆっくり降りる

枕やベッドのマットレスを下に投げてクッションにし、避難はしごを使い、体をはしごに寄せて1歩ずつゆっくり降りる


★火災初期の脱出方法

姿勢をできる限り低くし、口や鼻に手やマスクなどを当て、きれいな空気の層と煙の層を混ぜないように逃げる。

★炎の中を走り抜けないといけない場合

寝室の近くにシャワーや水道があれば、そこで全身に水をかけます。トイレが近くにあれば、トイレのタンク水を頭から被ることも可能です。
水を被った状態で、炎の中を躊躇なく走り切ることが大切です。
※どうしても炎の中を避難しないといけない場合です

NG行動

✕無防備に2階から飛び降りる
・2m以上の高さから飛び降りることは危険なため、できる限り安全に脱出できる環境を整えましょう。
・3階以上の高さから降下することは危険なため、窓から上半身を外側に出して「くの字」に腰を曲げ、顔は地上を見るようにして助けを待ちます。ベランダがある場合には外に出て、煙を吸わないように姿を低くして消防隊を待ちましょう。

窓から上半身を外側に出して「くの字」に腰を曲げて助けを待つ


助かる命を助けるために
・避難はしご、または避難用ロープを寝室に備えておく

「マンション」の場合は、ベランダから「下の階」や「隣の部屋」に避難しよう

火災の対処:「マンション」の緊急脱出方法

ベランダから避難できる!

マンションはベランダから2方向(下の階と隣の部屋)に逃げられる構造になっています。火災で自宅玄関から逃げられない場合は、ベランダから緊急避難しましょう。

1 避難はしごで「下の階」へ避難しましょう。ただし、避難はしごはすべての部屋のベランダに設置されているわけではないため、避難はしごがある部屋まで移動します。

2 隣の部屋には、パーテーション(仕切り)を蹴り破ることで移動ができます。足をケガしないように、靴を履いて蹴りましょう。

マンションで緊急脱出する方法
「下の階」に避難 避難はしごを利用する

避難はしごを使って「下の階」に避難


「隣の部屋」に避難 パーテーションを蹴って壊す

パーテーションを蹴って壊して「隣の部屋」に避難


★避難はしごの使い方

1 フタを開ける → チャイルドロックがかかっているため、少し開けてフックにかかっているピンを外す

フタを開ける


2 フタを固定する → 半開きではなく、必ず全開にする

フタを固定する


3 はしごを下に下ろす → ストッパーを手や足で押して下ろす

はしごを下に下ろす


4 はしごを使って降りる → 両手両足のうち、常に3点をはしごにつけてゆっくり降りる

はしごを使って降りる


NG行動

✕靴を履かないで避難する
ベランダにあるからといって、サンダルのまま避難すると危険です。避難はしごを降りる際に足を滑らせたり、パーテーションを蹴るときに足をケガしたりする恐れがあります。
パーテーションを蹴って壊すときは、つま先ではなくかかと付近の靴底で何回も蹴りましょう。

✕パーテーション近くに物を置く
室外機など重たい物をパーテーション付近に置いてしまうと、避難するときの妨げになる恐れがあります。

~~~

「いざ、そのとき」のあらゆる災害から命を守るテクニック、ぜひ身につけましょう!

※本記事はタイチョー(著)、みぞぐちともや(イラスト)の書籍『消防レスキュー隊員が教える だれでもできる防災事典』から一部抜粋・編集しました

著=タイチョー、イラスト=みぞぐちともや

この記事に共感したら

おすすめ読みもの(PR)

プレゼント企画

プレゼント応募

\\ メルマガ登録で毎週プレゼント情報が届く //