あのカリスマ歌手に影響を受けた!?『メンタル強め美女白川さん』の著者・獅子さんが考える美人の定義とは

白川さんは私の理想の人！「メンタル強め美女白川さん」誕生秘話

――周囲の妬み僻みにも負けず、「私は私、可愛く強く」をモットーに颯爽と生きる白川さんがとてもカッコ良かったです。この漫画を書こうと思ったきっかけについて教えてください。

獅子　この漫画は、私自身が美人でメンタルが強く生まれていたらこんなふうに生きたかった！という空想から生まれた作品です。もとは趣味でツイッターに投稿した漫画なのですが、想像以上の反応をいただいて、こんなに読んでいただけるならもっと描いてみようと思いここまで続けることができました。さくっと読める４枚程度の短いページに、コスメや美容、女性あるあるなど自分の好きなものをギュッと詰め込んでいます。

――白川さんというキャラクターはどうやって生まれたのでしょうか？

獅子　白川さんは私の理想の人ですね。特定のモデルはいないのですが、個人的に松田聖子さんがすごく好きなので、影響を受けていると思います。見た目は可憐でかわいい女性だけど、強くたくましく弱音を吐かず、バッシングされても言い返さないところとか。

――白川さんは作者の自己投影的なキャラなのかなと思っていたのですが、それよりは憧れの気持ちのほうが強いのですね。

獅子　自分にないものを持っている人を描きたいという気持ちが強かったんです。自分が素の状態で描けるのはむしろ、白川さんの同僚で、自分の容姿にコンプレックスを感じている町田さんのほうですね。白川さんを書くときは白川さんを降臨させています（笑）。

コンプレックスさえキュートに見える個性的なキャラクターたち

――読んでいると白川さんに憧れる気持ちと同時に、白川さんの職場にいる個性的な面々に共感する気持ちも芽生えてきます。このようなキャラクターたちはどうやって生み出されているのですか？

獅子　素直になれなくて突っ張ってしまう梅本さん、ダイエットに励む町田さん、お肌に自信がない朝比奈さんなど、それぞれの抱えているコンプレックスがかぶらないように担当さんと時間をかけて話し合いながらキャラクターを作っています。どの子も少しずつ自分に似ているところがあるなって思うんです。
あとは完全に独学ですが、ホロスコープを見るのが好きで、キャラクターを考えるときも星座によって性格を深掘りしていったりします。ちなみに白川さんは天秤座。天秤座は楽しいこと、美しいことが好きで平等な精神を持っている人。そんなことを意識しながら書いています。

――様々なコンプレックスを抱えている登場人物たちに自分との共通点を見出す読者も多いかと思います。そう感じる読者たちに伝えたいことはありますか？

獅子　読者の方から、「私は白川さんみたいに美人じゃないし強くもなれない」というお声をいただくことがありますが、作者としては、美人で強くないとダメだなんてことは全く思っていないんです。大前提として、全てのキャラクターの外見も内面も「かわいいな〜」と思いながら書いています。たとえば梅本さんも最初は白川さんに冷たく当たっていましたが、根っから悪い人なんじゃなくて、「人間だからそういう時もあるよね」って。誰もが白川さんみたいである必要はないんですよ。

好きなもので栄養チャージ！自分にとっての「ビタミン」をみつけて

――白川さんが落ち込んだときにメイクで元気を出すシーンが印象的でした。ストレスが多い現代に生きる女性たちの「ビタミン」について、どう考えていますか？

獅子　人間の体ってストレスを受けるとビタミンが不足するそうなんです。コロナ禍で気づかないうちに蓄積しているストレスが結構あると思うので、「ビタミン足りてるかな？」と自分を労わる気持ちをいつも持っていたいですよね。
白川さんにとってのビタミンはメイクですが、女性がみんなメイク好きじゃなくてもいいんです。読書でもスポーツでも、それぞれが好きなものを「自分にとってのビタミン」にしてほしいですね。

――獅子さんご自身がメイクをすることや美人であることを絶対的に思っていないからこそストーリーに共感できるのだなと感じます。

獅子　この漫画を書き始めた頃からずっと、「容姿至上主義にはしたくない」と思っています。外見が美しいのは素敵なことですが、本当の美人とは内面から輝いているものなので、そこを強く描いていきたいです。「メンタル強め美女」というタイトルにも外見だけじゃないよという気持ちを込めています。



――主人公は容姿端麗だけど、美人とは外見の美しさだけじゃないと断言する獅子さん。では白川さんのように「メンタル強め」に生きるコツは？　次回に続きます。

取材・文＝宇都宮 薫