「こんな法律できなければ」今すぐにでも離婚したい妻の前に立ち塞がる新制度「共同親権」【著者に聞く】

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『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

夫婦として別々の道を歩むことを決めても、子どもにとって2人が大切な「親」であることは変わりません。「子どものため」を考えるほど、自分の気持ちを優先していいのか、親として我慢するべきなのか――。答えが出ないまま、揺れ動く人も少なくないと思います。

とーやあきこさん作の『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』には、そんな子どもを持つ夫婦の罪悪感や不安、周囲には伝わりにくい痛みが描かれています。

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2人の母、それぞれが抱える親としての想い


『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

正論を振りかざす夫との暮らしに限界を感じ、離婚を決意した妻の薫。しかし離婚後も、夫婦には年長の娘・ゆりかの親という、変わることのないつながりがあります。

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

孝太は離婚には同意しますが、離婚後も父親としてゆりかと関わり続けたいという思いから、共同親権を望みます。

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

薫も娘の幸せを願いながら、離婚後も孝太と関わることに不安を抱え、単独親権を希望。同じ「子どものため」でも、2人が導き出そうとする答えは、それぞれ違っていました。

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

一方、薫の同僚でシングルマザーの真理は、共同親権に対して複雑な制度だと感じ、否定的な考えを持っていました。しかし、6年ぶりに再会した元夫が更生し、息子と会いたいと望んだことをきっかけに、少しずつその考えに変化が生まれてきて…。

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

「子どものため」という同じ願いを持ちながらも、それぞれの事情の中で揺れ動く親たちをどのように描いたのか、著者・とーやあきこさんに伺いました。


タイトルに込めたのは、対照的な2つの意味

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

―― 子どもがいる夫婦の場合、「つらいから離婚したい」という気持ちだけでは決められないことがあります。薫の中にある罪悪感や不安を描く際、特に大切にした感情は何でしょうか。

とーやあきこさん:法改正直後に生きる私たちの代ならではの罪悪感や苦しみです。監修してくださった弁護士の柳原由以先生がおっしゃっていたのですが、海外の映画やドラマで『週末はパパのところにお泊まりだからね』という台詞がよく出てくるのは、離婚後も両親が一緒に子育てするという考えが社会に根付いている表れだそうです。日本でもそういった会話が当たり前になる日がくるかもしれませんが、正直、今すぐ感覚を変えるのは難しいですよね。そんな今だからこそ生まれる、割り切れない罪悪感や迷いといった感情の揺れ動きを大切にしました。


『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

―― 薫が弁護士に相談するシーンからは、夫婦のもめごとは当事者には深刻でも、外からは些細に見えたり、どうにもならないやり切れなさがあったりするんだなと感じました。

とーやあきこさん:弁護士とのシーンは、感情を優先する薫と、法律や現実を踏まえて話す先生との優先順位の違いに難しさを感じながら描いていました。これは相手が弁護士だからではなく、日常の人間関係でもよくあることだと思います。相手を助けたい気持ちはあっても、目指すゴールや優先順位が違うことによってなかなか気持ちが伝わらなかったり、「話してもわかってもらえない」という感覚が大きくなってしまったり…。そんな、伝えたくても伝わらないもどかしさも含め、他人に伝わらない痛みとして描きたかったんです。


『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

『離婚しても終わらない 共同親権がはじまる日』より

―― 離婚を考える薫だけでなく、同僚のシングルマザー・真理のエピソードも描かれていますね。共同親権に対する考え方や状況が異なる2組の家族を登場させた意図を教えてください。

とーやあきこさん:『離婚しても終わらない』には2つの意味を込めています。1つは、「終わりたいのに終われない」「離れたいのに離れられない」というマイナスな意味。もう1つは、「離婚しても家族がバラバラになるわけじゃない」「離婚しても新しい家族のかたちをつくれる」というプラスの意味です。これを踏まえ、対照的な2組の家族を登場させました。

   *      *      *


離婚をめぐる思いは、夫婦や家族によってさまざまです。異なる境遇にある薫と真理、2人の母を通して描かれているのは、離婚後も続いていく家族のかたち。そこにある葛藤と可能性を、ぜひ感じ取ってみてください。

取材・文=松田支信

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