舌打ちと不機嫌オーラで妻を威圧する夫。冷え切った関係に悩む妻は、ある日ついに離婚を決意【著者に聞く】

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『離婚するなら、今日かもしれない』より

「29歳・既婚・子どもなし」という共通点を持つ3人の女性たちのリアルな葛藤を描き、話題のコミックエッセイ『離婚するなら、今日かもしれない』。主人公の一人・花は、夫の機嫌に怯え、ドアの閉まる音にまでビクビクする毎日に「こんな生活がずっと続くの?」と絶望していました。世間体の呪いに縛られ、自分の本音を押し殺してきた彼女が、葛藤の末につかみ取った「本当の幸せ」とは? 今回は、「世間体」の呪縛や、自分の心と向き合う覚悟について、著者のゆりゆさんにお話を伺いました。

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『離婚するなら、今日かもしれない』あらすじ


『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

結婚相談所で出会った花夫婦。幸せいっぱいに結婚式をあげた2人でしたが、一緒に暮らすうちに、花は少しずつ違和感を覚えるようになっていました。花の夫は、「ありがとう」も「ごめん」も言えない人。それだけでなく、気に食わないことがあると、露骨に不機嫌なオーラを出し、舌打ちやドアを乱暴に閉める音で威嚇してくるのです。


『離婚するなら、今日かもしれない』より

「今日あったことを話したり、悩みを言い合ったり、それすら贅沢な悩みなら結婚って何?」

花は一人考え込んでしまいます。どんなに冷え切った関係でも、このまま息をひそめていれば結婚生活は続いていく。残された道は3つ。お金や生活のために割り切るか。居心地の良い夫婦になれるよう、一人で虚しい努力を続けるか。それとも、すべてを断ち切って「離婚」をするか。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

SNSにあふれる、離婚して晴れ晴れとしている人たちの投稿をぼんやりと眺めながら、これまで怖くて見ないふりをしてきた「離婚」という二文字が、少しずつリアルな現実として重みを増していきます。

けれど、頭をよぎるのは「バツイチなんて可哀想」「一人じゃ老後が大変だよ」という世間からの哀れみの視線。目に見えない「世間体」という圧力が、花の背中に重くのしかかります。


『離婚するなら、今日かもしれない』より

そんなある日、積み重なった夫の心ない言動に、ついに花の中で何かがプツリと切れました。取り乱すこともなく、静かに、けれど固い決意を込めて言葉を吐き出します。

「私たち離婚しよう」

『離婚するなら、今日かもしれない』より

離婚届を置き、着の身着のままで始めた一人暮らし。買ってきたお弁当で適当に済ませる夕飯に、後回しにした洗濯物。かつての「丁寧で普通の暮らし」からは遠く離れているはずなのに、「幸せって思えたの、何年ぶりだろう」

『離婚するなら、今日かもしれない』より

そこには、ずっと覆われていた暗闇から抜け出し、本来の明るい笑顔を取り戻した花の姿がありました。


「世間体」の呪縛を捨てて本音と向き合う。花が見つけた答えとは?


『離婚するなら、今日かもしれない』より

――「世間体という呪いから抜け出せない」という言葉が、ずっしりと心に響きます。自分の素直な気持ちと「世間からの見え方」の間で激しく葛藤する花の姿がとても印象的ですが、このシーンを描く際にこだわったポイントや思い入れがあれば教えてください。

ゆりゆさん: 現代って、昔に比べれば「女性はこうあるべき」という固定観念や世間からの圧力は、随分と薄れてきているように感じますよね。けれど、住んでいる地域や身を置くコミュニティによっては、まだまだそういった「世間体」という枠組みが根強く残っているのも事実です。今はまさに、その世間体に素直に従って生きていくのか、それとも思い切って飛び出すのか、どちらにも転ぶ可能性がある「時代の過渡期」なのだと思っています。

だからこそ、自分自身でしっかりと「私はこう生きる」と踏ん張っていないと、あっという間に古い世間体に引っ張り戻されてしまう。それって、まるで解けない「呪い」のようですよね。今回はそんな、じわじわと胸を締め付けるような重苦しさを、丁寧に表現したいと思って描きました。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

――自分の本音とじっくり向き合い、「離婚」という大きな決断を下した花。この決断に至るまでの心の動きを描くうえで、ゆりゆさんが特に大切にされたことは何でしょうか?

ゆりゆさん:花自身が「本当は離婚したい」という自分の本心にいつ気づいたのか。それとも、実はとうに気づいているのに、世間一般の「普通」で居続けるために、必死で気づかないふりを決め込んでいたのか。

物語が進むにつれて、彼女の気持ちがどこでどう変化していったのかというプロセスの描写は、とても大切にしました。もし今、花と同じようなモヤモヤや苦しみを抱えている方がこの本を読んでくださっているなら、花の変化を通して「私、本当はどうしたいんだろう?」と、ご自身の本当の気持ちに気づくきっかけになってくれたら嬉しいです。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

――擦れ違いを重ねてしまった花夫婦ですが、ゆりゆさんから見て「もし〇〇ができていたら、夫婦の関係や未来は違っていたかも……」と感じるポイントはありますか?

ゆりゆさん:実は、花が自分の本当の気持ちを本気で夫にぶつけたのって、最後の最後「離婚宣告」の瞬間なんですよね。でも、もっと早い段階で、「たとえ大喧嘩になってもいい!」という覚悟を持って、夫に思い切りキレてみてもよかったんじゃないかな……と思っています(笑)

花の控えめな性格上、夫にはっきり主張するのは怖かったと思うのですが、花が本気でブチギレたら、案外夫のほうがウッとたじたじになっていた可能性も高かったと思うんです。もしそうなっていたらどんな夫婦関係になっていたのか、作者としてもちょっと見てみたかったですね(笑)

* * *

世間の目や「こうあるべき」という固定観念に縛られていると、自分の本当の気持ちが見えなくなってしまうもの。けれど、花が勇気を出して一歩踏み出したように、自分の幸せを決めるのは自分自身。「今の生活、何かが違うかも……」と密かにモヤモヤを抱えているなら、一度立ち止まって「自分の本音」に耳を傾けてみるのも大切なのかもしれません。


取材・文=宇都宮薫

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