「結婚したの早まったかな」夫との平穏な日常は、やがて妻にとっての「退屈」に変化【著者に聞く】

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『離婚するなら、今日かもしれない』より

「夫とは親友のように仲良しだし、今の暮らしに不満はない」そう思っていたはずなのに、一度知ってしまった「ときめき」に心が乱されていく。夫婦関係に大きな不満がなくても、ふとした瞬間に足元が揺らいでしまう恐怖とリアルを描き、話題を呼んでいる『離婚するなら、今日かもしれない』。

今回は、日常の外側に刺激を求めてしまい、道を踏み外していく主人公の一人「真弓」の心情にフォーカス。作中の印象的なセリフに込めた想いなどについて、著者のゆりゆさんにお話を伺いました。

【マンガ】『離婚するなら、今日かもしれない』真弓のエピソードを読む

あらすじ


『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

真弓と夫は、大学時代から続く長い付き合い。だからこその居心地の良さがあり、まるで親友や兄妹のような穏やかな信頼関係を築いていました。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

そんな平穏で何気ない日常を大切にしていた真弓ですが、実は身体の関係はもう何年もない状態。それでも「今の友達みたいな関係が気楽でいいや」と、納得していたはずだったのです。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

カフェで働く真弓の密かな楽しみは、常連の男性客と交わす何気ない会話。けれど、いつしかその胸に淡い恋心が芽生えたことで、穏やかだったはずの彼女の日常が少しずつ、狂い始めていきます。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

あれほど愛おしかったはずの「夫との何気ない毎日」が、急に色あせ、物足りなく思えてきてしまうのです。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

男性から食事に誘われ、軽やかに連絡先を交換。スマホ画面に届くメッセージに、思わず胸をときめかせてウキウキしてしまう真弓。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より


「私、まだ29歳だもん。女として枯れていくなんて早すぎるよね」
「……結婚したの早まったかな」

自分の中でいくつもの小さな言い訳を並べ立てながら、デートを重ね、底なしの不倫の沼へと一歩ずつ、ズブズブとはまっていきます。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

しかし、そんな甘く危険な密会現場を、あろうことか親友の花と亜里沙に目撃されてしまいます。さらに、夫にも少しずつ怪しまれ始めてしまい――。


穏やかな日常がふとしたきっかけで崩れていく。誰にでも起こりうる恐怖を描く


『離婚するなら、今日かもしれない』より

――「友達のような夫」との穏やかな生活がありながら、別の男性に心が揺れていく真弓。彼女の性格や生々しい人間らしさを描くうえで、特に意識されたことはありますか?

ゆりゆさん:「不倫をする人=男好きの悪女」というような、わかりやすいキャラクターにはしたくなかったんです。だからこそ、あえて真弓のようにサバサバしていて、夫とも友達同士のように仲が良い女性として描きました。

一見すると不倫とは無縁に見えるような「ごく普通の女性」こそ、ふとしたきっかけで足を踏み入れてしまう……なんて話、現実でも意外と耳にしますよね。そんなリアリティを大切にしました。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

――大きな不満はなかったはずの真弓の毎日が、少しずつ退屈に思えていくプロセスがとてもリアルでした。思いがけず「ときめき」を知ってしまった真弓の揺れる心を描くにあたり、どのような思いを込められたのでしょうか?

ゆりゆさん:実は物語の最初、真弓自身は今の生活に飽きていたわけでも、夫に何か不満があったわけでもなかったんですよね。むしろ「私はこの穏やかな毎日が好き」と、満たされた暮らしにちゃんと納得していたんです。

それなのに、一度恋愛の「ときめき」を知ってしまったことで、あれほど大切だと分かっていたはずの穏やかな日常すら、途端に退屈に感じられてしまう。どこか愚かかもしれないけれど、「私たちの日常のすぐ隣で、誰にでも起こりうることなんだ」という身近な怖さを表現したいと思いました。


『離婚するなら、今日かもしれない』より

――真弓が不倫相手と会っている場面を、彼女の親友の花と亜里沙が目撃してしまいます。そのとき思わず漏れ出た「……結婚って難しいよね」という言葉が印象的です。このシーンを描くうえでこだわった点を教えてください。

ゆりゆさん:あのシーンで呟いたセリフは、花も亜里沙も、目の前にいる真弓のことを批判しているわけではないんです。友達の姿を目の当たりにして、ふと自分の胸の内に抱える悩みや葛藤を思い出してしまい、思わず「自分自身に向けて呟いている」んですよね。

一見すると友達への感想のようでいて、実はそれぞれが自分の人生や夫婦関係に引き寄せて呟いている……そんな彼女たちの複雑な思いが、読者のみなさんにも伝わったら嬉しいです。

* * *

「自分は絶対大丈夫」と思っていても、ふとしたきっかけで平穏な日常が崩れてしまう怖さ。花や亜里沙が漏らした「結婚って難しいよね」という一言は、形は違えど夫婦の悩みを抱える私たち全員の胸に重く響くメッセージなのかもしれません。刺激と平穏の間で揺れる真弓が最後にどんな結末を迎えるのか、ぜひ本編で見届けてみてください。


取材・文=宇都宮薫

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