新型コロナは夏も患者数が増加傾向!? その「後遺症」の実態とは?

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新型コロナは「夏」も患者数が増加傾向!? その「後遺症」の実態とは?

みなさんは、夏の間は感染症のリスクは気にしなくていい、と思っていませんか?

かつては「冬に流行するもの」というイメージが強かった感染症ですが、近年のデータを見ると、夏にもはっきりとした感染のピークを迎えていることが分かっています。さらに、最近特に注目されているのが、回復したあとも長く心身に不調が残る「後遺症」のリスクです。

今回は、専門医による最新の医学的知見や、実際の医療機関が公表しているデータをもとに、決して他人事ではない後遺症のリアルな実態について分かりやすくお伝えします。

【グラフを見る】実は夏も大流行のピークに!新型コロナウイルス感染症定点当たり報告数推移

実は夏も大流行のピークに。酷暑の時期にリスクが高まる理由

厚生労働省が公表している新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移を見ると、冬に感染者が大きく増えるのと同様に、毎年「夏」にも非常に大きいはっきりとした流行の山が発生していることが確認されています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)定点当たり報告数推移(2025年1月~2026年8月9日)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)定点当たり報告数推移(2025年1月~2026年8月9日)

※2025年15週から定点数の変更があります。
出典:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2025年(2025年1月14日~2026年1月8日発表) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00474.html
新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2026年(2026年1月13日~8月14日発表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00485.html



厳しい暑さが続く夏の時期に、どうしてこれほど感染のリスクが高まってしまうのでしょうか。それには、夏ならではの身体の変化や生活環境が深く関係していると指摘されています。

まず一つ目の要因として、極端な酷暑による免疫力の低下が挙げられます。外のうだるような暑さと、冷房がしっかりと効いた涼しい室内を行き来するだけでも、私たちの体は気温差に対応しようとして自律神経がフル稼働し、知らないうちに疲弊してしまいます。さらに、熱帯夜などで睡眠不足になりやすく、十分な休養が取れない日々が続くことが、全体の免疫力を下げる大きな引き金になってしまうのです。

二つ目は、夏休み期間における生活リズムの変化や換気不足です。休暇シーズンに入ると、普段とは生活リズムが変わったり、暑い中でのレジャー活動で急激に体力を消耗したりして体に負担がかかります。また、少しでも涼しく過ごすために部屋を締め切って一日中冷房をかけることで、室内の空気を入れ換える機会が減り、換気不足による感染リスクが高まってしまうことも指摘されています。

そして三つ目の要因が、家庭内でのウイルスの広がりです。国際医療福祉大学大学院の松本哲哉教授は、近年の感染状況におけるルートの傾向について、次のように解説しています。

「今年7月以降、感染拡大は全国レベルになってきています。なかでも子どもの感染が増加し、学校が休校になるケースもみられます。この感染症はどの世代にも感染するので、大人にも広がるとみられます。オミクロン期になってからは、子どもの感染者も多くなっています。また、感染経路として、子どもがウイルスを家庭に持ち込み、そこから広がるパターンが多いという報告があります。」

松本 哲哉(まつもと てつや)教授

松本 哲哉(まつもと てつや)教授
国際医療福祉大学医学部感染症学講座代表教授(専門分野:感染症学、細菌学、感染制御学)。長崎大学医学部卒 医学博士。元米国ハーバード大学ブリガム&ウィメンズホスピタルリサーチフェロー、前東京医科大学微生物学分野主任教授、前東京医科大学感染制御部部長(兼任)、日本感染症学会理事長、日本臨床微生物学会理事長、日本化学療法学会前理事長、日本環境感染学会理事、PMDA専門委員、AMEDプログラムスーパーバイザー。国際医療福祉大学大学院HP

このように、まずは外で活動するお子さんが感染し、そこから密に過ごす家庭内で大人たちへとウイルスが伝わっていってしまうケースが定番化しているようです。

また、初期の症状としてよく見られる強いだるさを「ただの夏バテかな」と思い込んだり、熱が出ても「冷房に当たりすぎて風邪を引いたかな」と自己判断してしまったりすることも、感染を広げる原因になります。様子を見ているうちに、医療機関への受診や適切な処置が遅れてしまうことも夏特有の落とし穴となっています。

軽症でも油断は禁物!およそ5人に1人が経験する「後遺症」の実態

新型コロナウイルスに感染したあとの経過は人それぞれですが、なかには熱や咳が治まった後も、何カ月にもわたって不調に悩まされる「後遺症(罹患後症状)」を経験する人がいます。

東京都が実施した都民1万人を対象とした大規模なアンケート調査によると、陽性の判定を受けた経験がある人のうち、感染から2カ月以上経っても後遺症と疑われる症状が続いたと答えた人は「19.4%」に上っていました。これは実質的におよそ5人に1人という、決して低くない割合です。

さらに、「自分は感染したときに熱も大して出なかったし、すぐに治るはず」と思っている方にとって衝撃的なデータも明らかになっています。 岡山大学病院の総合内科・総合診療科に開設されている「コロナ・アフターケア外来」が公表したデータによると、オミクロン株が流行した時期に同外来を後遺症の相談で受診した患者さんのうち、なんと「94%」もの人が、最初の感染時には「軽症以下」にとどまっていたという事実が示されているのです。

岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」受診者(重症度)(オミクロン株期)

岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」受診者(重症度)(オミクロン株期)

出典:岡山大学病院総合内科・総合診療科の「コロナ・アフターケア外来」開設から5年~診療実績から見えてきたコロナ後遺症の課題と予後~(2026年2月)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20260218-1.pdf
※延べ受診者数:約1,300人(2026年1月末現在)、公表データは1,225人で集計※オミクロン株期(2022年1月~2026年1月末)の受診者数:965人



この結果は、急性期の症状がどれほど軽かったとしても、その後に長引く後遺症を抱えてしまうリスクは誰にでもあるということを如実に物語っています。

受診者の最多は「40代女性」!働き盛り・子育て世代に現れやすい不調

さらに、この後遺症外来を訪れる患者さんの特徴を見ていくと、私たちの世代にとって他人事とは思えない実態が見えてきます。

同外来が5年間の診療実績を集計したデータによると、受診した患者さんの男女比は女性が54%、男性が46%と女性の比率が高くなっています。

岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」受診者(男女)

岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」受診者(男女)

さらに年代別で見ていくと、最も受診者が多かったのが「40代」で全体の22%を占め、次いで30代、50代と続いており、30代から50代の合計が全体の「58%」と過半数を超えています。

岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」受診者(年代)

岡山大学病院総合内科・総合診療科「コロナ・アフターケア外来」受診者(年代)


出典:岡山大学病院総合内科・総合診療科の「コロナ・アフターケア外来」開設から5年~診療実績から見えてきたコロナ後遺症の課題と予後~(2026年2月)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20260218-1.pdf
※延べ受診者数:約1,300人(2026年1月末現在)、公表データは1,225人で集計
「オミクロン株期のコロナ後遺症診療~半数以上で180日以上の長期通院が必要~」(2025年7月)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250730-1.pdf


さらに、後遺症からの回復のしやすさを調査したデータでは、不調が長く続いてしまい回復に時間を要したグループの中で、女性が「59.4%」を占めていることも分かっており、女性の方が回復までに長引きやすいという性質も示されています。

この傾向について、松本哲哉教授も次のように解説を加えています。
「後遺症として味覚障害を訴えるケースが減少する一方、倦怠感や睡眠障害、起立性調節障害(POTS)のある患者さんが多くなっています。また、後遺症の患者の年齢と性別について、理由は解明されていませんが、30代~40代の女性に多くみられるという傾向がみられます」

明確な原因はいまだ研究段階にあるものの、家事や仕事、育児などで忙しく、日頃から体力を消耗しやすい30代から40代の女性に後遺症が多く現れやすいのではないでしょうか。

そもそも「後遺症」とは?その定義と多岐にわたるつらい症状

国や厚生労働省の定義によると、後遺症とは、新型コロナウイルスに感染した人に現れ、少なくとも2カ月以上持続し、他の病気では説明がつかない症状のことを指します。一般的には、発症してからおよそ3カ月が経った時点でも何らかの不調が残っている状態を目安としています。

この後遺症のつらいところは、最初に感染したときからずっと症状が続いている場合だけでなく、一度はすっかり回復したように見えた後でまったく別の新しい不調が現れたり、日によって症状の重さが激しく変動したりすることです。昨日までは元気に動けたのに、今日は起き上がることすらできない、というように症状が消えたり出たりを繰り返すことも少なくありません。

そもそも「後遺症」とは?その定義と多岐にわたるつらい症状

具体的な症状としては、体が鉛のように重くなるような強い疲労感や慢性的な倦怠感をはじめ、関節や筋肉の痛み、しつこく続く咳や痰、少しの動きでも息が切れてしまう呼吸器の不調、胸の痛みなどが挙げられます。 そのほかにも、髪の毛が急に抜けてしまう脱毛症や、記憶力が低下したり集中できなくなったりする頭のモヤモヤ感、ズキズキ痛む頭痛、気分のひどい落ち込み、夜中に何度も目が覚めるような睡眠障害、全身の筋力低下にいたるまで、現れる症状は実に多岐にわたります。

かつて流行していた頃は味覚や嗅覚が分からなくなる症状が象徴的でしたが、最近の流行株ではそれらが減少した代わりに、睡眠が妨げられたり、自律神経の乱れから起き上がるとめまいや動悸がしたりする起立性調節障害(POTS)を訴える人が増えているのが、近年の後遺症の大きな特徴となっています。

そんな中、感染症の専門医である松本教授は、これまでの臨床データや研究をもとに、初期の段階での正しいアクションがその後の予後を大きく左右すると説明しています。
インフルエンザなどの流行が少ないと思いがちな気温が高い季節は、少し調子が悪くても受診を先延ばしにしがち。
自分自身や家族の健康と暮らしを守るためにも、「早期診断・早期治療」を選択肢としてしっかり心に留めておきたいですね。

文=レタスクラブ編集部Y

※受診時の治療の選択肢は、個々の症状や持病、体の状態をもとに医師が総合的に判断するものです。かかりつけ医にご相談ください。

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