スマホのロックをパートナーに解除されて覗き見された…慰謝料は請求できる？弁護士さんに聞いてみた！

──「スマホのロックを解除して覗き見る行為自体は刑事罰には当たらない」ということでしたが、民事の場合、慰謝料などは発生するのでしょうか？

金岡紗矢香氏「スマホやPCの中には、たとえ家族であっても見られたくない個人的な情報がたくさんあると思います。そのため、覗き見る行為は刑法で罰せられることがなくても、プライバシーを侵害したとして、民事上の損害賠償責任（具体的には、慰謝料の支払い義務）が発生する可能性があります。
 
ただし、慰謝料の金額は10万円前後になることが一般的です。裁判は時間がかかりますし、弁護士を雇うと費用がかかるため、実際に訴えるケースはほとんどないのが実情だと思います」

──では「パートナーにスマホやPCを勝手に覗かれている」という方はどのように対処するのが適切なのでしょうか。

「やましいことをしていないのに興味本位で覗かれたのであれば、とても嫌な気持ちになるでしょう。ただ、パートナーと別れるつもりがない場合、慰謝料を請求するのは今後の人間関係を考えると得策とは言えません。覗くのをやめるよう伝えたり、パスワードを変更することを検討してみてはいかがでしょうか。

慰謝料を請求した場合、獲得できたとしても10万円前後になることが多いですし、裁判をするには費用、時間、手間がかかることに注意が必要です」

──実は配偶者以外の人と不貞行為をしていた、という場合にスマホを覗かれた場合についてはいかがですか？

「スマホやPCを覗かれたことで、浮気・不倫の証拠になるメールや画像を見られている可能性があります。スマホやPCを覗かれたことに対して、プライバシーの侵害にあたるとして配偶者に対して、慰謝料を請求することは可能です。ただし、慰謝料を獲得できる可能性や慰謝料の金額そのものが低いうえに、逆に浮気・不倫の慰謝料を請求されることも。

また、配偶者に対して慰謝料を請求したことで、浮気・不倫について反省していないと判断されてしまい、高額な慰謝料を支払わざるを得ないことにもなるかもしれません。素直に謝罪して、慰謝料を請求しないようお願いするか、実際に請求されてしまった場合は、弁護士に慰謝料の減額交渉を依頼することをお勧めします」

スマホの中を見られたことで慰謝料を請求することは可能ではありますが、現状ではあまりいい対応とは言えないようですね。パートナーとの関係をこじらせることにならないよう、お互いのプライバシーを尊重できる関係でいたいものです。

【取材協力弁護士】
金岡 紗矢香（かなおか さやか）／弁護士法人プロテクトスタンス
弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。男女トラブル、離婚問題、セクハラ・パワハラ、相続手続などに精通し、女性からの法律相談に幅広く応じている。現在、2児の母親として子育ても奮闘中（第一東京弁護士会所属）。

文＝レタスクラブ編集部
イラスト＝『妻が鬼畜不倫、僕は復讐することにした』（著：ガマ太郎）より