粘土質の泥地で育つ加賀れんこん
加賀れんこんの産地では、4月下旬に植え付けが始まります。現在は、金沢市北部の小坂地区や河北潟干拓地などで栽培されている加賀れんこんですが、どちらの栽培場所も一度足を踏み入れると抜けられなくなるくらい粘りのある土壌なんだそう。
加賀れんこんの品種は「支那白花」といって、ほかのれんこん産地でも栽培されているものなのですが、この粘土質の土壌が、加賀れんこんの粘り強くもっちりとした独特の食感を育むと言われています。
北陸の澄んだ水と多雨多湿な気候のもとで成長した加賀れんこんは、8月下旬から収穫が開始され、翌年の5月中旬まで出荷が続きます。
つなぎがなくてもまとまるほどの粘り
加賀れんこんの一番の特徴がでんぷん質が多く、もちもちで粘りが強いこと。これを生かして作られた石川県の郷土料理が「はす蒸し」です。加賀れんこんをすりおろし、白身魚やエビを加えて蒸したものですが、加賀れんこんの「ねばり」によって、つなぎがなくても団子状になります
加賀れんこんのもっちりとした粘りと、練りこんだ魚介のうまみが見事に調和しています。仕上げにかけるあんがとろりとした食感で、身も心も温まるやさしい味です。
出典:農林水産省Webサイト「うちの郷土料理」
もちもち食感がクセになる! すりおろしれんこんのレシピ
輪切りにしたり一口大に切ったりして調理することが多いれんこんですが、すりおろすと驚くほどもっちりとした食感が出て、れんこん本来の甘みも楽しめます。
れんこんはビタミンCや食物繊維などの栄養素を含んでいますが、皮には抗酸化作用のあるポリフェノールが実の2倍も含まれているそうです。普段は皮をむいて調理することが多いと思いますが、皮ごとすりおろして使えば栄養を余すことなく摂れますね。
【レシピ1】もちもちれんこんチヂミ
れんこんの一部をスライスに、残りをすりおろして焼きます。スライスはカリカリ、すりおろしはもちもちと、同じれんこんなのに食感がまったく違うのがおもしろいですよ! 小えびの旨みと塩気、そして食感が良いアクセントに。
もちもちれんこんチヂミ
材料(2人分)
乾燥小えび…20g
れんこん…2節(約400g)
たれ〈混ぜる〉
・しょうゆ…小さじ2
・酢…小さじ1
・ごま油…少々
片栗粉、塩、サラダ油
作り方
1.れんこんは皮つきのままよく洗い、50gはスライサー(または包丁)で薄い輪切りにし、残りはすりおろしてボウルに入れる。すりおろしに小えび、片栗粉大さじ2、塩小さじ1/3を加えて混ぜ、生地を作る。
2.直径約20cmのフライパンに油大さじ1をひき、れんこんの輪切りを並べる。生地を流し入れて平らに広げ、中火にかける。ふたをして約10分、生地が少し透き通ってきて、れんこんの輪切りがこんがりとしたら上下を返す。フライパンの縁から油大さじ1を回し入れ、6~7分こんがりと焼く。
3.フライパンを傾け、油をスプーンですくって取り除く。チヂミを食べやすく切って器に盛り、たれを添え、つけて食べる。
【レシピ2】えびれんこんの和風バーグ
細かくしたえびとすりおろしれんこんのみで作るふわふわ食感のハンバーグです。れんこんの風味のなかに、ぷりぷりのエビが口いっぱいに感じられます。つなぎを使っていないのでとってもヘルシーでダイエットにも◎!
【レシピ3】れんこんとツナの揚げだんご
れんこんは油との相性が良いので、揚げ物にも向いています。こちらのレシピもつなぎはなし、れんこんの粘りけだけで作ります。おかずにもおつまみにも合う一品です!
れんこんは手に入れたらなるべく早めに調理するのがベストですが、使いきれないこともありますよね。れんこんが余ってしまったら、冷凍保存がおすすめです。
3mmくらいの輪切りにして、水につけてアクを抜いてから塩をまぶして冷凍しておきましょう。
冷凍したれんこんは、取り出して凍ったままの状態で煮物や炒め物などの料理に使うことができます。いろいろなレシピに活用できるので、普段から冷凍ストックとして作っておくのもおすすめです。
文=山上由利子