子どもが謝ったとき、親の正しい反応は? 大人も覚えておきたい「誠意ある謝り方」と「受け取り方」

『子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』より

【マンガで見る】謝られたとき、謝るとき。的確な言葉を探す。
『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』15話【全15話】


声かけを変えれば、子どもの行動が変わる!

お風呂に入ってくれない、片付けをしてくれない、食事中に席を離れてしまう…などなど、大人も悩んでしまう子どもの「困った行動」。注意しても上手くいかないのは、声をかける方法が間違っているかもしれません。

3歳と2歳の子どもたちを育てながらも「これでいいのかな?」と不安を抱えるマコさんに、「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」のスペシャリストで、児童発達学の専門家・華子先生がアドバイス。
『子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から、「謝られた時と謝る時の的確な言葉」についてお届けします!

登場人物


新米夫婦のマコとユウ

マコとユウ:子育て中の新米夫婦。「自分たちはこれでいいのか」、不安になりながら子育て中。

きょうりゅうが大好きなアララ

アララ:きょうりゅうが大好きな3歳半。あまり言うことを聞いてくれない。

幼児教育の教員育成に携わる華子先生

華子先生:島村華子先生。子どもに対する絶対的な尊敬・尊重を基盤にする「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」についてくわしい児童発達学の研究者。上智大学卒業後、カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学で博士号を取得(児童発達学)。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員育成に携わる。

謝られたとき、謝るとき。的確な言葉を探す。


ごめんなさい

なんて言うべきか迷う

もうしないでね

マコさん「この前アララが叩いてきたので、『お母さん叩かれると痛いし悲しいよ』って伝えたら、すぐに謝ってくれたんです。このあと私がなんていうべきか迷うんですよ〜」

【A】「別にいいよ、気にしないで!」
【B】「もうしないでね」
【C】「痛かったよ〜」

謝ってくれてありがとう

理解できているかわかるから

華子先生「悩みますよね。謝罪は受け止めることが重要なので、『謝ってくれてありがとう』と謝罪を受け入れてください。
マコさん「正解は【D】の『ありがとう』か〜!」
華子先生「【D】に加えて【B】の『もうしないでね』をプラスするのもありですね。さらに『どうして謝ってくれたの?』と聞くのもいいですね、本人がきちんと理解できているかわかるから」

一番よくないのは

叩くことを許容してるように聞こえてしまいます

しばらくすると落ち着いて戻ってくるんですが

子どもは感情の切り替えがすぐできません

マコさん「なるほど…【C】はどうですか?」
華子先生「本当に痛かったらOKですよ! 一番よくないのは【A】の『別にいいよ、気にしないで』です! この言い方だと叩くことはいけないことなのに、叩くことを許容しているように聞こえてしまいます」
マコさん「確かに! 先生、そういえばアララが私に謝ってくれたあとに、逆ギレしてどこかへ言ってしまうことがよくあるんです。しばらくすると落ち着いて戻ってくるんですが、これってどういう心理なんでしょうか」
華子先生「うーん、謝ったら『はい終わり!』って大人は考えるかもしれないけど、子どもは感情の切り替えがすぐできません。ただ『ごめんなさい』と言っているだけで気持ちのおさまりはついていないのかも。素直に謝る姿勢をマコさんが普段からみせておくことも大事ですね」

言い訳をすること

傷ついたんなら謝るよ

今日から素直に謝るぞ

マコさん「(ギクッ。できてる!って胸張っていえないな)大人でも正しく謝ることは難しいと今回思いました」
華子先生「そうですよね。避けるべき謝り方がいくつかあります」

【1】「ごめんなさい、でも〜」…言い訳することで誠意が失われるから
【2】「傷ついたんなら謝るよ、ごめんね」…傷ついたほうに問題がある言い方だから
【3】「謝ったから許してよ、ね?」…許しを求めない。許すか決めるのは傷つけられた人だから

華子先生「大人の姿を見て子どもは育ちます。ここもロールモデルになってあげてくださいね」
マコさん「(避けるべき謝り方やってたな〜、今日から素直に謝るぞ!)」

華子先生のアドバイス:誠意のある謝罪の仕方・受け取り方


謝罪は、謝れば終わりではありません。謝罪をする人が、自分の行動に責任を持ち、同じことを繰り返さないことが大事です。言い訳を付け加えたり、相手に責任があるような言い方をしたり、自分の気持ちを晴らすためだけに謝ったり、謝罪の見返りに許しを期待したりするのは、誠意のある謝罪ではありません。大人相手でも、子ども相手でも、素直に謝りましょう。自分の非を認めて、謝れる大人がいることは、子どものよいお手本になります。また、謝罪をされた側は、「大丈夫」と言ってしまいがちですが、謝罪対象の行為に対してOKサインを出すことになるので、避けましょう。そして、相手の行為を自動的に許す必要はありません。謝罪を受け入れるかどうか、時間をかけて、納得がいくまで考えるのがよいでしょう。

※本記事は島村華子監修、てらいまき著の書籍『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から一部抜粋・編集しました。

監修=島村華子、著=てらいまき/『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』

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