デパコスカウンターは「圧が強い」「コワい」?華やかな世界の舞台裏を覗き見【著者に聞く】


物語の舞台は都内繁華街・海袋にある百貨店。高級コスメブランド「クレシアン」のカウンターには、常に売上トップを誇る名物BAの桜城まち子は、その圧の強い接客ぶりから「カウンターのお嬢」「押し売りのお嬢」と呼ばれていました。

そんな海袋のカウンターに配属されてきた新人BAの花巻梨帆。他の店員たちは梨帆がお嬢の新人いびりに耐えられるか心配しながら見守ります。初日からいきなりクレーム対応を丸投げされた梨帆でしたが、誠実な対応でその場を乗り切ります。他の店員たちに褒められる梨帆を見て、お嬢は面白くありません。


他の店員を蹴落とすような行動を取ってでも、自分の売上を追求してきたお嬢。しかし梨帆が配属されてきた頃から「クレシアン」海袋店のカウンターは空気が変わり、チームとしての結束感が出て全員の売上が伸びるようになってきました。

次第に居心地が悪くなっていくお嬢。彼女はそんな状況に追い詰められ、出来心から「ある行動」に出ます。それがきっかけで自分の首を締めることになるとも知らずに…。
この作品について、著者のユキミさんにお話を伺いました。
「女の敵は女」というけれど、女性が手を取り合ったら「最強」
――ユキミさんご自身も会社員として働いていた経験がおありとうかがいました。組織の中で仕事をし、労働や職場環境と向き合うことの大変さや難しさを感じるようなエピソードがありましたら教えてください。
ユキミさん:幸い私が勤めていた職場はお嬢のような先輩もおらず、人間関係に恵まれていました。が、私自身が当時の職種が向いておらず、本当にポンコツでした…!!! 周りから助けてもらうばかりで何も返せず、お嬢とは別の意味で組織の歯車にはなれなかったタイプでしたね。
――女性ばかりの職場で働くことの難しさや気苦労について触れた作品であったと思います。「女社会」についてご意見があればお伺いしたいです。
ユキミさん:「女の敵は女」とも聞きますが、私は同じ目標に向かって女性が結託し、美少女戦士のようになった瞬間は海袋クレシアンのように華やかで力強いパワーが発揮されると思っています。女性が手を取り合ったら「最強」です!

――主人公のお嬢も、新人BA・梨帆や男性BA・JUNも、それぞれ過去の回想で出てくる辛いエピソードが印象的でした。「過去の辛い出来事とどう向き合っていくか」という点もこの作品のテーマとして意識されたのでしょうか。
ユキミさん:何もない人なんていないと思うんです。ちゃんとできている人を見て「順風満帆でいいなぁ…」と思う人は多いけれど、今そこに立っているその人にも学生時代や新人時代に誰にも言わなかった物語がある。不安や失敗が成長してもう見えないだけで、ちゃんと転んで迷って傷ついてきている。そんなことを伝えたいなと思いました。


――本作の中で、印象に残っているエピソードや一場面を教えていただけますでしょうか。
ユキミさん:海袋クレシアンがチームになってきた瞬間は描いていて心が熱くなった場面です。こんなカウンターに行きたい、と思ってしまいました。
* * *
一見敷居が高そうなイメージのあるコスメカウンターも、中で働く人々は私たちと同じように、仕事の向き合い方に悩んだり葛藤したりしています。そして個人主義のギスギスした職場でも、ちょっと風向きが変わればチームプレイによる一体感が生まれることも……。
近寄りがたいイメージのあったデパコスカウンターが、この作品を読み終える頃には親近感のわく場所に変わっているかもしれません。
取材=編集K/文=レタスユキ
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