休職を3ヶ月隠していた夫と、片道2時間通勤で家計を支える妻。息苦しい社会を生きる夫婦それぞれの胸の内【著者に聞く】

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『夫ですが会社辞めました』より

【マンガ】『夫ですが会社辞めました』を読む

家事や育児を担う「主夫」と、一家を支える「大黒柱妻」。多様な生き方が広まる一方で、どこか珍しがられたり上世代から理解を得にくかったりする現実もあります。『夫ですが会社辞めました』は、そんな現代夫婦の等身大のモヤモヤを描き出し、WEB連載の累計PV数が3,000万(2026年8月時点)を突破した話題作です。

葉山の豊かな自然の中ですれ違い、ぶつかり合いながらも絆を紡ぎ直していく家族の物語――。実体験や丁寧な取材から生まれた本作にどのような想いを込めたのか、著者のとげとげ。さんにお話を伺いました。


『夫ですが会社辞めました』あらすじ

人間関係や仕事で追い詰められた川田俊は、ある日突然会社に行けなくなってしまいました。3ヶ月もの間、休職を隠していた夫の俊に、妻の沙月はやり場のない不満を抱えています。自分の殻に閉じこもり何も話そうとしない俊との生活を変えたくて、沙月は海辺の町・葉山への引っ越しを提案します。

都内まで片道2時間かけて通勤しながら、沙月は大黒柱として家計を支えていました。しかし何も話そうとしない俊と、その家事のやり方の違いに、沙月には不満が溜まっていくばかりで…。

現代の夫婦・家族の悩みや葛藤を、あえて夫婦逆転で発信


──「主夫」と「大黒柱妻」をテーマにしたのはどうしてですか?

とげとげ。さん「以前、『小1の壁の向こうに』という作品でママたちのモヤモヤを描いたのですが、どうしても男性批判のようになってしまいがちで、パパたちを嫌な気持ちにさせていないかという心配がありました。なので、次はパパ側のモヤモヤを題材にしたいなと考えていたときにコロナ禍になって、私が住んでいる葉山町に移住者が増えたんです。そこからヒントを得て、移住する人の話で、なおかつ逆転夫婦というパターンで、パパ側の視点から『しゅふ』のモヤモヤを描いたらどうかなと思いつきました。

立場を逆転させて、『ママだから』『女性だから』ではなく、その役割を与えられれば誰でも感じるモヤモヤなんだよと発信することで、現代を生きる夫婦や家族の悩み・モヤモヤを、より多くの人に抵抗なく受け入れてもらえるんじゃないかなと思ったんです」

──コロナ禍というのも、この作品が生まれたきっかけとなっているんですね。

とげとげ。さん「コロナ禍になって人に会わない環境やより空気を読まなきゃいけない環境に置かれ、人との心地よい関係性や距離感について考えることが多くなりました。人と会わない暮らしは楽だけど、久しぶりに会って話すと気持ちがぐっと軽くなったり、視野が広がる開放感に包まれたりする瞬間があって…。当たり前のことかもしれませんが、人と会うことは大切だなとあらためて感じました。それを作品にしたいなと」

──コロナ禍によって、とげとげ。さんの暮らしに変化はありましたか?

とげとげ。さん「夫がテレワークになって家事を半分ずつ分担できるようになったので、だいぶ変わりました。それまで夫はこの作品の沙月と同じように約2時間かけて都内に通勤していたので、基本的に私はワンオペ状態だったんです。コロナ禍以降、夫と子どもが一緒にいる時間も増えて、お互いの距離が近くなった気がします」

    *   *   *

生き方や働き方が多様化する現代だからこそ、思い描く理想と現実のギャップに悩む夫婦は少なくありません。「家族の形」に正解はなく、それぞれの夫婦が話し合いながら形作っていくものだということに気づかせてくれる作品です。夫婦のあり方を、この作品を通して見つめ直してみませんか?

【取材=松田 支信/文=レタスクラブ編集部】


※この記事は2022年09月23日配信の記事を再構成しています。

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とげとげ。

漫画家/イラストレーター

とげとげ。
神奈川県葉山町在住の漫画家・イラストレーター。元ナースで2児(姉弟)の母。既刊に、『夫ですが会社辞めました』シリーズ、『心の不倫は罪ですか?』(KADOKAWA)など。

Information

主夫と大黒柱妻。川田夫婦が選んだ未来は?

夫ですが会社辞めました
俊と沙月がそれぞれに悩み、ぶつかった末に見つけた『家族の形』とは……? ふたりの葛藤と選択、そして踏み出した新たな一歩は、書籍だけで読めます。WEB未掲載の描き下ろしエピソードが50ページ!

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