「加害者を許さなくても、幸せになっていい」モラハラを反省した父親と、父を許せない娘が向き合う現実【著者に聞く】
『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』あらすじ

大手商社の管理職・鳥羽晴喜は、かつて自身のモラハラとDVが原因で離婚し、妻子から絶縁されていました。自分の行動を後悔した鳥羽は態度を改め、会社では「仏の鳥羽さん」と呼ばれる管理職になります。現在は同じように家族を失った男性3人でルームシェアをして生活しています。
一方、鳥羽と絶縁した娘の奈月は、父親のモラハラがトラウマとなり、同棲中の恋人にキツくあたってしまうなど今も心の傷に苦しんでいました。自分が結婚することを父親に伝えたくない奈月でしたが、母親は仲を取り持とうと、鳥羽からの手紙を渡そうとして……。
『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』著者インタビュー

──奈月の父親・鳥羽は自分のかつての行いを深く悔いていますが、奈月は父を許すことができません。この作品では、『被害者は反省する加害者を許さなければいけないのか』という問題についても描かれていますが、お二人のご意見をお聞かせください。
龍:わたしは保育園で働いていますが、「ごめんね」と謝られたら「いいよ」と許してあげなければいけない、と教える先生は多いです。謝られたら、許してあげましょう。これを小さい頃から教え込むのです。これは、人間関係を円滑にするためには必要なスキルと言えます。ですが、あまりにも加害者寄りの考え方とも言えます。
被害者に「許さない」という選択肢を与えないのは、暴力的なことかもしれないなと思います。一般的に「許し」は良いこととされ、成熟している証とされるのに、「許さない」というのは、わがままで、子どもっぽいこととして捉えられることが多いのではないでしょうか。それが更に被害者を苦しめている気がします。
中川:この漫画で私は、「加害者を許さなくても、幸せになっていい」というメッセージを伝えたかったのです。加害者を許さなくても、生きやすくなれる。ケアを始めることはできる。全員と楽しく仲良く生きるなんてことしなくていい。
だからこそ、自分もまた、誰かが自分を許してくれるとは限らないことを認める必要があります。憎まれ続けるかもしれない、嫌われ続けるかもしれない。それもまた、避けることのできない現実です。それでも自暴自棄にならずに、自分の罪と痛みを認め、そして自分と他者へのケアを始めていくことができれば、それこそが幸せになるということの意味だと考えています。
龍:個人的に、許す許さないはどっちでもよくて、許した方が楽になるならそうすればいいし、そのタイミングではないなら、許す必要はないと思います。加害者目線で言うと、「人を傷つけても謝ったら許してもらえる」というよりも、「謝ることはできるけど、許してもらえるかはわからない」が正しいような気がしています。
取材=ナツメヤシコ/文=レタスクラブ編集部N
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