「妊娠やめたら?」狂気のモラハラ夫を描いた、異色のセミフィクション作品の著者に聞く

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「本作において『キショい』『怖すぎる』は最高の褒め言葉です」と語るのは、漫画家の前川さなえさん。2025年に話題を呼んだ異色作『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』の読者からは、「ヤバい」「不気味」「気持ち悪い」といった反響がSNS上に数多く寄せられました。

単にモラハラ夫に苦しめられる被害者妻を描いた物語かと思いきや、予想もしない展開へと転がり夫婦の関係性が変化していく様子は、歪んだ愛情物語でもありサスペンスホラーのようです。

今回は漫画『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』を取り上げ、作者の前川さんにお話を伺っていきます。

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『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』あらすじ


 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

主人公あすかの夫・和史は、交際中から独占欲が強く、男友だちの連絡先削除や位置情報の共有を要求していました。結婚してからも、あすかが予想もしないことで激しく怒り出し、「ボクが嫌だと思うことは絶対にしないで」と言うのでした。

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

長男を妊娠し、つわりで苦しむ妻には「そんなに辛いんなら妊娠やめたら?」と悪気なく発言。あすかは妻の体を心配しつつも子どものことを全く考えてない物言いの夫に強い違和感を抱きます。

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

出産後も長男の世話に追われていると「妻のくせにどうしてボクを大事にしないんだよ」と、赤ちゃんよりも自分を最優先していないとキレることも。また育児で疲れているあすかに、深夜に一緒に映画を見る「ボクたちの映画タイム」を要求するなど、謎の自分ルールを強要してくることがしばしばありました。

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

その後、次男を出産したあすかが赤ちゃんの世話に追われていると、「自分ばっかり甘えるなぁ!いつまでも泣いてるんじゃない」と赤ちゃんにむかって怒り出す始末。あすかは子どもじみた夫の態度に呆れ、会話も減りワンオペ育児が加速していくのでした。

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

長男が小学生になり、サッカークラブの体験に行った話をあすかが切り出すと、「ホントにサッカーしに行ったのか」と疑いをかけ、あすかの股に顔を近づけて「変なことしてたら匂いでわかるんだからな」と言い、あすかは夫の行動にゾッとします。

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

あすかがそろそろ働きに出たいと考えていると、その様子に気づいた和史はスーパーでうずらの卵を買ってきて「それ育ててよ」とあすかに孵化を命じます。外に働きにでることを諦めさせるために、和史は転卵の世話が必要な卵を買ってきたのでした。

  『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

しかし、このうずらが孵化してあすかがその世話に追われるようになると、ふたりの関係に変化が訪れるのでした…。


著者・前川さなえさんインタビュー


──よくある「夫のモラハラに悩まされる妻の物語」かと思いきや、予想もしない展開に驚きました。この物語を描いたきっかけについて教えて下さい。

前川さなえさん:担当編集さんから「こういうことに悩んでいる方がいまして」というお話をいただいたことがきっかけでした。その内容があまりに強烈だったのでどう漫画に落とし込めば…!?と考え込んでしまいました。

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

──あすかも和史も家庭環境に問題があった過去があり、それが夫婦のいびつな関係の原因として描かれています。「アダルトチルドレン」「モラハラ」「ワンオペ育児」など、現代の家庭における問題が描かれた作品ですが、この作品で最も読者に伝えたかったことはなんでしょうか?

前川さなえさん:どんな家庭も「外部から見える側面だけでは実際の家庭の事情はわからない」ということでしょうか

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より

──この作品はセミフィクションだと伺っています。終盤はかなり異様な夫婦愛が描かれているのである程度フィクションを交えているとは思うのですが、どのあたりまでが実話なのでしょうか。

前川さなえさん:モデルとなった方からいろいろお話をうかがったのですが、実は前半のモラハラ描写の多くは取材を元に描いた実話だったりします。物語の終盤、夫婦関係が歪んでいくあたりからはさすがに創作が入ってくるのですが、妻や子どもたちがが救われてほしいという思いで描きました。

──あのモラハラ描写は実話なんですね…!? それでは最後に、読者の方にメッセージをお願いいたします。

前川さなえさん:普通のモラハラ漫画だと思って読み始めた方は、びっくりさせてスミマセン。でも「セミフィクションとはいえこれは盛り過ぎだろ」と思われるようなエピソードの多くが取材に基づく実話の部分だったりします。それをふまえて読み返すと二度怖いかもしれません…!

 『うずら男〜モラハラかまって夫が人間をやめるまで〜』より


   *   *   *

読み進めるほどに「これ、どこまで本当!?」とページをめくる手が止まらない『うずら男』。ここで紹介したもの以外にも、モラハラかまって男・和史の“ヤバすぎる”エピソードはまだまだあります。
ふつうのマンガに飽きた方にこそ手にとっていただきたい作品です。


※本記事は過去に配信した内容を一部抜粋・編集しました。
※プロフィールなどは掲載当時のものを掲載しております。

取材・文=レタスユキ


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