嫁の下着を切り刻み、家計に口出しする義母が話題。壮絶な38年を当事者に聞く
「嫁イビリ」と聞くと、ひと昔前のことと感じる人も少なくないのでは?
しかし、現在も姑からの嫌がらせに悩んでいる人は珍しくありません。
「夫や恋人と付き合った後・結婚した後に、こんなはずじゃなかったと思ったことはありますか?」と質問したところ、「ある」と回答した人が44.9%、「ない」と回答した人が55.1%でした。(2021/9/15~20アンケート実施。回答者296人のうち女性236人の回答を抽出)
「女性の生きるヒント」になればと、自身が経験した義母との壮絶な戦いを記したブログが反響を呼んでいる、人気ブロガーのかづさんをご存知でしょうか?
かづさんは現在50代。2人の息子さんは独立し、夫と猫たちと穏やかに暮らせている…そうですが、実は38年もの間、義母との関係に悩まされてきた壮絶な過去がありました。
電話で家計や買い物をすべて把握したがる義母。「ほうれん草があるのになぜキャベツを買ったの?」
看護学校で勉強をしていたかづさん。友人や実習先でも頼りにされ、充実した毎日を送っていました。
その実習先の病院に、患者としてやってきたのが、のちに夫となる30歳の結城秋彦さんでした。
当時19歳の学生だったかづさんに猛烈なアタックをし続けた秋彦さん。かづさんの両親を前に「結婚を前提としたおつきあい」を宣言し、将来を共にするつもりでおつきあいをするようになったのですが…。
いざ秋彦さんの両親に会うと、「結婚するなら縁を切る!」と秋彦さんの母親からの激しい反対にあいます。計画的に妊娠することによってどうにか結婚にこぎつけたふたりでしたが、かづさんにとっては順風満帆な新婚生活とはいきませんでした。
義母からは毎日電話がかかってきて買い物や家計をチェックされる地獄のような日々。
ある日は「今日のお弁当の中身と昨夜の献立、今日買った食材を全部言いなさい」と言われ素直に話すと「野菜が足りない!」「晩ごはん作るときから翌日の弁当のことも考えなさい!」と電話口でまくしたてられ、またある日は「今日買い物に使った金額を言いなさい!」「今冷蔵庫を開けて中身を全部言いなさい!」それにかづさんが答えると、「ほうれん草が残っているはずなのになぜキャベツを買ったの?」「1円でもあなたが好きに使えるお金じゃないのよ!」と怒られる始末…。
「いやらしい!」下着を義母が切り刻んで捨てていた
また、ある日は干していた下着がなくなっていたことに気づいたかづさん。たんすからもブラもパンツもキャミもすべてが消えていたそうです。するとそこへやってきた義母。「主婦なんだから色付きやレースつきの下着もいらないでしょ!いやらしい!」と…。かづさんが不在の間に、かづさんの下着をバラバラに切り刻みゴミ置き場に捨てていたというのです。
それでも前向きに暮らそうとするかづさんを、義母があらゆる手で阻もうとして…。
数々の「嫁いびり」の体験は漫画家の赤星たみこさんの手でマンガ化され、実話コミックエッセイ『義母クエスト〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜』として書籍化を果たし、反響を呼んでいます。
つらい経験を重ねてきたかづさんが、作品を通して当時を振り返ったときに思うこととは?また、読者に伝えたいこととは何でしょうか。
原作者・かづさんインタビュー
──お義母さんとの壮絶な戦いは衝撃でした。コミカライズされることになっていかがでしたか。
かづさん:WEB連載だけでもありがたいことなのに、それがコミカライズされると聞いたときには、正直驚きました。それも作画を赤星たみこ先生が担当してくださると聞き、さらに衝撃が走りました!キャラ設定の段階で、実際の義父母の写真を赤星先生にお渡ししたのですが、画が出来上がったら、義母の生き写しでした(笑)。漫画を読むと当時の記憶がよみがえってきて、涙が出てきたり、動悸がしたり、夫を殴りたくなる衝動が起こることもあるほどです。原作をリアルに再現してくださった赤星先生には、感謝しかありません。
──本作でご自身の体験を振り返ってみて感じることは?体験記を書く前と心境に変化はありましたか?
かづさん:体験記を書く前は、「今の時代の方に受け入れてもらえるのか?」「興味を持ってもらえるのか?」と不安でいっぱいでした。昔と違い、今は嫁が我慢する時代じゃないですから。ブログでさえ「こんなことあるはずがない」と批判コメントがきたくらいです。内容もドロドロ系の連続で重いエピソードが多いですし、それを文字で読み続けることは読者にとってしんどいのではないかと思いました。ところが今回コミックエッセイとして書籍化されることとなり、「累計2200万PV超の大人気実話漫画」と紹介されていて、ぶっ飛びました!本当にありがたいことです。
──お義母さんとの戦いの中で、最も大変・つらいと感じたのはどんなときですか?
かづさん:多すぎて選ぶのが難しいのですが…、現在コミック版の連載が進んでいる話までで選ぶと、「夫が完全に義母側の人間」と気が付いたときが一番つらかったですね。「親と縁を切ります!養子になってもいいです!」とまで言ってくれた夫ですから、目の前で妻がいびられていたら、怒り狂うと思いますよね。義母に好き放題されている私を目にしても、何一つ助けてくれなかったことがつらかったです。だからこそ「絶対に負けない!」と奮い立ったのですが(笑)。
義母から突き飛ばされ、作った料理を批判
──また、最も衝撃的だったエピソードを教えてください。
かづさん:晩ごはんがあと少しでできるというときに、義母に横から突き飛ばされ、寸胴鍋で作っていた煮物を流しに捨てられ「はい、やり直し~!」と言われたことでしょうか。その後、財布を握って走ってバスに乗り、買い物を済ませて、またバスに乗って帰ってきて作り直しました。「嫁イビリのためには、何でもするんだな」と、衝撃を受けた瞬間でした。
──お義母さんと戦う日々の中で、心が折れそうになることもあったと思います。どのように乗り越えてきたのですか?
かづさん:私は負けず嫌いなうえに、自己肯定感が高いため「自分が悪くないのに、なぜにこんな目に遭うの?」と思っていました。でも、義母からも夫からも「お前がおかしい!」と言われ続けていると、「自分がおかしいのかな?」と思えてきてしまうのです…。そんなときは鏡に映る自分に向かって、「こんなことくらいで負けたらあかん!あんたならやれる!」と応援していました。自分で自分を信じてあげなきゃいけませんよね。
──自分で自分を信じることで、乗り切ってこられたのですね。ご自分の経験を通してみなさんに伝えたいこと、感じてほしいことはなんですか?
かづさん:義実家やパートナーとの関係に悩んでいらっしゃる皆様には、「必ず明るい未来は来る」と信じて頑張ってほしいと思います。
* * *
思わず目を疑うような壮絶な嫁イビリにあいながらも、果敢に立ち向かい戦い続けたかづさん。そのポジティブな生き方は、人生の困難な局面を乗り切るヒントを与えてくれそうです。
取材・文=松田支信
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