37歳の妻がある日突然倒れて救急搬送、そのまま帰らぬ人に。2歳の息子を遺された夫の思いは

#くらし   
 AEDが使用されたが…

シングルファザーとしての日々をYouTubeで発信している「りゅーちゃんねる」のりゅーすけさん。
彼が直面した「妻の突然死」、その時の心境を綴った動画の再生数がYouTubeで1300万回超を記録し、話題となっているのをご存知でしょうか。当時りゅーすけさんは39歳、妻のえいこさんは37歳。お子さんはまだ2歳でした。

それはある日、なんの前触れもなく突然の出来事でした。
8月の朝、りゅーすけさんは大きな音で目を覚まします。隣に寝ていたはずの妻・えいこさんの姿が見えません。ベッドの下に落ちていたえいこさんの様子を見ると意識がなく、その表情はとても苦しそうで呼吸が止まりかけていたそうです。慌てて隣のえいこさんの実家に連絡して、救急車を呼んだものの、脳死状態と告げられてしまいます。

回復を信じていたりゅーすけさんと家族の願いもむなしく、えいこさんはそのまま目覚めることなく37歳で旅立ちました。明るい妻とかわいい息子の3人暮らしがこの先も続いていく…そう思っていたりゅーすけさんの生活は、その日から一変したといいます。

パートナーとの突然の別れを経験し、39歳でシングルファザーとなったりゅーすけさんに、その当時の思いについてお話をうかがいました。

妻がベッドから落ちる音で目覚めた朝


りゅーすけさん「僕は朝6時の時点で、当時2歳だったグズる息子に対して『ママおるよ~』とお腹をポンポンしながら寝かせようとしている妻を見ています。そこで自分もウトウトして『ドン』という音で目が覚めたのが7時。まだ寝ぼけているような状態で横を見て、妻が居ない事に対して(あぁ寝返りをうって落ちたんかな…)くらいに考えていたのです。
ただ10秒程度待っても起き上がってくる様子がなく、『おかしいな…』と思い、ベッドの脇をのぞき込んだらうつ伏せで倒れたままでした。とても苦しそうな顔をしていて、何度声をかけても返事はなかったのです。(ちょっと待て、これ今呼吸が止まりかけているんじゃないか…?)(これは何かヤバいんじゃ…)と思い、すぐ隣の家にいる義母に電話を掛けました」

パニックになりながらりゅーすけさんは隣家の妻の実家に電話をかけたものの、応答がなかったため、何が起こっているのか全くわからないまま妻の実家に駆け込みました。
「えいこが息していないんです!」そう訴えると、義母はたまたま帰省中だった看護師の妻の姉を起こし、気道を確保。救急車を呼ぶと救急隊から「到着までに心臓マッサージをしてください」との指示があり、義姉が心臓マッサージをすると、一瞬「ふう…」と息を吐いたというえいこさん。
「もしかしたら大丈夫かもしれない!」希望の光が差し込んだのですが…。到着した救急隊員がAEDを使用したものの、反応はなかったそうです…。


倒れた妻は脳死状態。むくみで全身がパンパンに…

病院に搬送された先の病院の医師からは
「覚悟をしてください。だいぶ脳にダメージがあり、脳死状態ということになります」と告げられてしまいます。そんなことをすんなり受け入れられるはずもなく、りゅーすけさんは「いやいやいや、何言ってるんだ、先生は…。厳しめのことを言っているだけ。そんなことあるわけがない」と思っていたそうです。
ICUに入院したえいこさん。「意識はなくても耳はちゃんと聞こえてますから。よかったら奥さまの好きな音楽を聴かせてあげてください」と看護師さんに声をかけられ、りゅーすけさんは、えいこさんが大好きだったというBTSの音楽をかけたり、声をかけ続けるなどして意識が戻るのを願っていました。

りゅーすけさん「その時は、基本的に悪いようには考えていませんでした。今日は病院に行ったら何を話そうかなとか、何の曲を掛けようかなとか、そんな事ばかりで…。
排尿をしなくなり、体がどんどん浮腫んでいっても、どうにか刺激を与えたらオシッコ出るようにならないかな…なんて考えていました」

えいこさんは排尿ができないため、全身が水分でパンパンになってしまい、元の顔の形とは変わっていってしまっていたのです。
「早く目を覚まして家へ帰ろう」少しでも前向きに考えようとしていたりゅーすけさんと家族でしたが、医師と看護師が「もうできることはないんやけどな」と話していたことを耳にし、ショックを受けます。
そしてついに「あと2日がヤマです」と告げられ…。えいこさんの血圧は日に日に弱くなっていましたが、不思議なことに息子さんをお腹の上にのせると血圧が少し上がったそうです。予断を許さない状況になり、病院の家族待機室で交代で寝泊まりしていたというりゅーすけさんと家族でしたが、ついに危篤状態に。


訪れた最期の時。息子が祭壇を前にして歌った「きらきら星」


りゅーすけさん「彼女は病院で家族が揃うのを待つようにして息を引き取りました。最期の瞬間は言葉をかけたかどうかも憶えていないんです…。僕は人前で感情をあまり見せることのない性格なのですが、あの時は生まれて初めてくらい人前で泣いてしまって…。
どこか現実では無いような、でも、ふと1人になる時間だったり、知り合いが心配して声を掛けたりしてくれると、我慢できず涙が溢れてくるような状態でした。
心電図の機械がピーーという音とともに波形が直線になってしまった時や、葬儀の棺桶にいる妻を見た時、火葬をした後、死亡診断書の書類を見た時、戸籍謄本の妻の欄に死亡という文字が書かれているのを見た時、『本当に妻はいなくなってしまった』と思った瞬間は様々な場面でありました。
彼女がいなくなって一番こたえたのは家が静かになってしまったところ、ですね。私はあまり喋るタイプでは無いので、妻がいた事でどれだけ家の中が明るかったのかというのを嫌というほど思い知らされました」

医師からは「ご自宅でなぜ突然心肺停止になったかはわかりません。脳梗塞や心筋梗塞などであればCTを見ればわかります。しかしそういうものではない。可能性としては不整脈が考えられますが倒れる以前に検査をしていないのでそれもわかりません」と言われ、結局死因は原因不明のまま…。

りゅーすけさん「お葬式が終わったあと、不思議な出来事がありました。仏間に布団を敷いて、そろそろ寝ようかという時に、妻の祭壇の前に座っていた息子のそうまが何の脈絡もなく突然『きらきら星』を歌い出したんです。当時『パパ』とか『わんわん』とか単語しか話さなかったのに、1番を最初から最後まで。『保育園で教わったのかな?』とも思ったのですが、カタコトの単語しか話せなかった息子だったので、本当に驚きました」

妻に言えなかったこと…できなかったこと…。後悔のないように


普段無口な方だったというりゅーすけさん。「集中治療室にいた時が人生で一番妻に話しかけた時かもしれません」と回想しています。


「妻が元気だった頃にもし戻れるとしたら…いっぱい話をしたいですね。もともと私は人見知りの恥ずかしがり屋で、結婚しても妻に好意の言葉をストレートに伝えたりはしていませんでした。そんな自分がお伝えするのは、とも思うのですが、いつどこで何が起こるか分かりません。後悔しないように、ご家族、身近な人との時間を大切に過ごしていただきたいです」と語ってくださったりゅーすけさん。

ふつうの暮らしが続いていくと思っていたのにそれが絶たれてしまった辛さと、大切な人との日々が突然失われてしまう悲しみ。
今をどう過ごすべきなのか、改めて考えてみませんか。

りゅーすけさん(りゅーちゃんねる):5歳の息子を育てるシングルファザー。原因不明の突然死で妻を亡くし、遺された息子との暮らしぶりを動画にしたYouTubeが話題に。著書に「私がシングルファザーになった日」がある。

取材=宇都宮薫 構成・文=E

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