「男の子らしく」「女の子らしく」を子どもにおしつけないために、親ができること
声かけを変えれば、子どもの行動が変わる!
お風呂に入ってくれない、片付けをしてくれない、食事中に席を離れてしまう…などなど、大人も悩んでしまう子どもの「困った行動」。注意しても上手くいかないのは、声をかける方法が間違っているかもしれません。
3歳と2歳の子どもたちを育てながらも「これでいいのかな?」と不安を抱えるマコさんに、「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」のスペシャリストで、児童発達学の専門家・華子先生がアドバイス。
『子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から、「男の子らしく」「女の子らしく」を子どもにおしつけないために親ができることについてお届けします!
登場人物
マコとユウ:子育て中の新米夫婦。「自分たちはこれでいいのか」、不安になりながら子育て中。
アララ:きょうりゅうが大好きな3歳半。あまり言うことを聞いてくれない。
ユララ:マイペースで食いしん坊な2歳児。気の強さを感じて、ママのマコは心配。
華子先生:島村華子先生。子どもに対する絶対的な尊敬・尊重を基盤にする「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」についてくわしい児童発達学の研究者。上智大学卒業後、カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学で博士号を取得(児童発達学)。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員育成に携わる。
親による、性別への思い込みに気づく。
イギリスのBBC(イギリスの公共放送)が2017年に行ったジェンダーに関する実験をご存知でしょうか。0歳の男女の赤ちゃん2人に、女の子には男の子の服を、男の子には女の子の服を着せ、いろんなおもちゃを用意して、ボランティアの大人がどんなおもちゃで赤ちゃんたちと遊ぶか実験したのです。
すると、ボランティアの大人は男の子の見た目をした赤ちゃんには、いわゆる男の子のおもちゃを選びました。女の子の服を着た赤ちゃんには、女の子向けのおもちゃを選びました。実験の結果、大人は見た目で性別を判断していること、そしてその性別にあわせておもちゃを選ぶことがわかりました。
大人たちにこの事実を伝えると、「えっ男の子?」「私は自分では男らしく女らしくを押し付けていないと思ってたのに…見た目で判断して性別への思い込みがあったんですね…」とコメント。
華子先生「実験結果のように、大人は無意識に思い込んでいることがあるんです」
マコさん「なるほど…。私、子どもの歯ブラシをこの前買ったんですが、アララには水色、ユララにはピンク、って思って買ってしまったけれど、それも…」
華子先生「思い込み入ってますね〜。確かに性別で色分けした商品は多いですが、色に性別はないじゃないですか」
マコさん「確かにない!わかりやすいって私たちが思ってるってことは思い込みだったんですね〜」
華子先生「男だから『泣くな』『男らしく』『強く』、女だから『おしとやかに』『料理やれ』といろいろ言われてますが、性別への思い込みで子どもの可能性を狭めてしまうかもしれない。お家だけでも性差別をできるだけなくす意識をしてみましょう。色やおもちゃや服など、本人に選んでもらってください」
華子先生のアドバイス:性差への偏見は家庭からなくしていこう
おもちゃ、洋服、生活用品から、習い事、能力、子育て方法にわたり、性差の偏見は浸透しています。とはいえ、偏見がない人などいません。家庭でできることは、まず大人が自分の偏見に気づき、偏見がいかに自分の言動に影響を与えるかを見直すことです。そして、性差の固定観念にとらわれない行動を積極的に示しながら、子どものお手本になりましょう。
※本記事は島村華子監修、てらいまき著の書籍『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から一部抜粋・編集しました。
監修=島村華子、著=てらいまき/『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』
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