便秘の人は年間約122万円も損している！？注目の腸活食材「小麦ふすま」で正しい便秘対策を

多くの人が悩んでいる便秘。その便秘について、2023年に改訂された『便通異常症診療ガイドライン』に掲載されたデータが話題を呼んでいます。なんと、「便秘による経済的損失は1人あたり年間122万円に相当する」というのです。根拠とされているのは、日本人3万人を対象とした兵庫医科大学などの研究チームの調査結果。慢性便秘症の患者は1週間に占める欠勤率が便秘でない人の2.3倍、出勤しても注意が散漫になるなど生産性に影響した割合は、便秘でない人の1.7倍に達することが判明しました。

また、日本人約4万5千人を対象にしたコホート研究では、排便回数が少ないほど心血管疾患による死亡率リスクが上昇したと報告されています。さらに、20歳以上の慢性便秘症の人と便秘がない人の生存率を15年にわたり調べた海外の研究報告によると、調査開始から10年時点で、便秘のある人は生存率が12ポイント低くなっています。
改めて正しい便秘対策を知っておくことは人生において重要かもしれません。

便秘対策の新常識「食物繊維は“量ではなく質”が重要！？」

最新の便秘診療ガイドラインでは、慢性便秘症と食物繊維摂取量には必ずしも相関がみられず、不足時のみ有効とされています。便秘対策では、食物繊維の総量より質が重要。発酵性食物繊維の摂取によって、腸の蠕動運動を促す酪酸が産生され、便秘解消につながります。

発酵性食物繊維は、善玉菌のエサになる食物繊維です。腸内細菌のエサになり、人にとって有益な物質を作り出す過程を発酵と呼ぶため、そう呼ばれています。発酵性食物繊維は穀物に多く含まれています。食物繊維というと葉物の野菜のイメージがありますが、茶色の主食から摂取することが効率的で、有効な方法になります。

注目の快腸食材「小麦ふすま」とは

そこで注目されているのが、発酵性食物繊維が多く含まれる食材「小麦ふすま」。小麦ふすまとは小麦ブランとも言われ、小麦の外皮で、小麦の粒の中でも、発酵性食物繊維が豊富な部分です。ケロッグ「オールブラン」など一部のシリアル製品やパンの原材料にも活用されるなど、注目食材として広がっています。研究でも小麦ブランを摂取することで、酪酸菌を増加させ、腸内環境を改善し、便通解消に繋がることが分かっています。

それでは、発酵性食物繊維を日常生活の中でどのように取り入れればよいのでしょうか。腸活食材やアレンジレシピに詳しい管理栄養士の岸村康代先生は、「まずは朝食から変えてみるのがおすすめです。いつもの朝食に発酵性食物繊維が含まれる食材をちょっと足してみるというところから始めてみてはいかがでしょうか。忙しいときは、小麦ブランシリアルを活用するのもおすすめです」と提案しています。そこで、朝食にぴったりな小麦ブランのちょい足しを教えてもらいました。

教えてくれたのは▶管理栄養士の岸村康代先生

「グラノーラヨーグルトブラン」

定番の組み合わせヨーグルトとグラノーラに、ブランをちょい足し。

【材料】
オールブラン ブランリッチ 20g
グラノーラ 20g
バナナ 小 1/2 本
A：ヨーグルト 100g
A：ココア 小さじ2（4g）
A：メープルシロップ 15～20g

【作り方】
Aをよく混ぜ合わせ、お好みのグラノーラにオールブラン ブランリッチと斜めにカットしたバナナをのせる。
※ヨーグルトは商品によって酸味が異なるので、酸味によって、メープルシロップの量で甘みを調整すると良いです。

「ツナブラントースト ～塩麴風味～」

毎日の朝食にツナブランを。サンドイッチにしたり、チーズをのせて焼いたりしてもおいしい。

【材料】
全粒粉パン（又は食パン） 8枚切り1枚
A：オールブラン ブランリッチ 20g
A：ツナ缶（水煮） 1缶
A：マヨネーズ 　大さじ1（～2）
A：塩麴 小さじ 1/2（～1/4）
粉パセリ（あれば） 少々

【作り方】
Aの材料を混ぜ合わせてパンのせて、焼く。焼きあがったら、パセリをふる。
※塩麴は商品によって塩分量が異なるので、塩味が強い場合は量を少なめに調整すると良いです。

「フリフリブラン ～青のりハーブソルト～」

フリフリ混ぜて、子どものおやつや大人のおつまみにもOK。

【材料】
オールブラン ブランリッチ 20g
ごま油 小さじ2
青のり 2つまみ
ハーブソルト 2つまみ

【作り方】
全ての材料を袋などに入れて混ぜ合わせる。（ごま油からまぶすと、味が絡みやすい）
※ハーブソルトはクレイジーソルトを使用。
※ハーブソルトは種類によって塩味が異なるので、塩味が足りない場合は量を少し増やして調整してください。

便秘による経済的損失は深刻！インフレの今、便秘を予防することは家計防衛術として効果的かもしれません。家計のためにも、正しい便秘対策をしてお腹の健康を守りましょう。

文＝秋武宏美