両親がそろってガンに。介護の必要に迫られ、心も身体も追い詰められて

主人公の辻ヒトミは、夫と小学生の娘たちとの4人家族。母親は2年前に事故で亡くなり、それからほとんど隣町の実家には帰っていませんでした。そんなある日、久しぶりに父親に呼ばれて病院へ行くと、父親ががんで余命1年もないと医師から宣告されます。

小さい頃から父親に暴力をふるわれ、モラハラ被害にあっていたヒトミは、ずっと父親から解放されたいと願っていました。しかし、母親も亡くなり他に兄弟もいないため、父親のケアをしなければいけない状況に追い込まれてしまいます。

ヒトミは「介護保険をつかって介護サービスを受けよう」と父親に提案したものの、「俺には介護なんて必要ない」と怒鳴られてしまいます。そう言いながらも、ちょっとした用事や買い物などで父親はいちいちヒトミを呼び出し、彼女は次第に疲弊していくのでした。
ヒトミは夫の協力なども得ながら、どうにか要介護支援までこぎつけ、ケアマネージャーやヘルパーの支援を得ることができました。

これでひと安心と思ったのもつかの間、父親はヘルパーの対応に腹を立ててキャンセルしたり、ケアマネージャーを帰らせたり…。ヒトミは常に誰かに謝りながら、父親の世話に追われることになります。
仕事にも集中できず、介護への不安や父への憎しみに追い詰められたヒトミは、次第に心のバランスを崩していきます。


そのうち、夫と言い合いになったり、長女が口をきかなくなってしまったり。介護という重荷は、ヒトミと家族との関係にも悪い影響を及ぼしていきます…。
著者・枇杷かな子さんインタビュー
――枇杷さんもご両親の介護をされていたそうですが、ご自身の介護体験について教えてください。
枇杷さん:両親がそろって癌になり、段々と家事や移動が難しくなってから、叔母たちに協力してもらいながらの介護が始まりました。両親ともに、はじめは介護サービスの利用をためらうことが多く、同居ではないため、通いで買い物や通院、着替えなどを手伝うようになっていきました。

――その頃の経験が作品にも反映されているのですね。介護が始まった当初、どんなお気持ちでしたか? 率直な思いを覚えている範囲でお聞かせください。
枇杷さん:私の場合、ある日突然ではなく、じわじわと手伝うことが増えていきました。はじめは特に母を心配する気持ちが大きかったのですが、自分の負担が重くなっていくと「なんで私の時間を潰してここまでやらなきゃいけないの…」と暗い思いを抱くようになりました。
――介護を通じて、ご両親との関係性やご自身の心境に変化はありましたか?
枇杷さん:両親どちらもとても活動的な人だったのでその二人がだんだんと弱り、思うように動けないのを見ると切ない気持ちになりました。怒鳴られるなど、悪い面を再確認してしまうことばかりでしたが、体調が悪くても父は孫である私の子どもたちのことを気遣ってくれましたし、私自身が幼い頃にしてもらったことや愛されていた記憶も思い出すことがありました。

――作品を描くうえで気をつけたこと・心がけたことがあれば教えてください。
枇杷さん:今回、主人公のヒトミは「関わりたくない親」の介護をしましたが、たとえ好きな親の介護だとしても、追い詰められ、精神・肉体ともに蝕まれていくこともあります。そんな経験についても描き残したくて、そういった登場人物も描写しました。



* * *
誰もが直面する可能性がある親の介護。この『余命300日の毒親』は、きれいごとだけではすまない現実も、主人公が抱える葛藤やネガティブな心情も、リアルに描かれた作品です。「もし親を介護する時がきたら、自分ならどうするか」「その時、どこに頼ればいいか」について、この作品を通して考えてみませんか?
取材=ツルムラサキ/文=レタスユキ
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