台風が日本列島を目指して進むのはなぜ?季節によって進路が変わる理由/人類なら知っておきたい 地球の雑学(68)

地球上で起きていること、どれだけわかる?
私たちが日常的に当たり前だと感じていることでも、あまり意識していないことや、知っているようで知らないことってありますよね。そんな地球に生きる私たちが知っておきたい「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史から、大自然や気候、動植物、資源など、地球にまつわるさまざまな疑問をスッキリ解説!
あらためて考えると、私たちはこの地球について、実はほとんど知らないのかもしれません。
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。
「台風」は、自力では動けない⁉ 四季によって変化する通りやすいコースとは
夏から秋にかけて毎年たくさんの台風がやってくるが、天気予報の天気図を見ていると、南の海で発生した台風は、わざわざ大きなカーブを描いて日本に接近している。まさか狙っているわけではないだろうが、どうしてあのコースをたどるのだろう。
じつは台風は、自力ではほとんど動くことができず、渦を巻いているだけで、よほど勢力の強い台風でも地球の自転の影響でゆっくり北進する程度。台風の進路は風と気圧配置に影響されていて、季節ごとに通りやすいコースがあるのだ。
春先の台風は低緯度で発生する。偏東風に流されて西に進み、フィリピン方面に流れていくため日本に接近することはない。夏になるとやや高緯度で発生し、今度は偏西風に流されて進路を北東に変え、日本に向かうことが多くなる。
8月末から9月は、日本の本格的な台風シーズンとなる。強い偏西風と気圧配置の影響で台風は日本方面にやってきて、しかも日本周辺の海水温度も高い時期なので台風へのエネルギーの補給が続き、勢力が強いまま日本に接近したり上陸したりすることになる。過去に大きな被害を出した台風は、いずれも9月に上陸している。
10月になると、夏までの台風と似たコースをたどる。太平洋高気圧は勢力を後退させており、その縁を回った台風は、日本の東海上か、中国大陸の南部に進むため、めったに上陸することはない。
そして冬には、太平洋高気圧がさらに後退するので、日本から遠ざかるように北東に進むか、そのまま西に流れる。そのため日本には近づかないのである。
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
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