「ハッピーエンドにはならない覚悟で描いた」小3息子の不登校の理由は性被害。傷ついた親子が向き合う壮絶な現実【著者に聞く】
※この記事では性暴力に関する記述があります。フラッシュバックなどのおそれがある方は閲覧にご注意ください。

「もし自分の子どもが性被害に遭ったら――?」
日々メディアを通して流れてくる性被害のニュースを見て、そんなことを想像したことのある保護者の方も少なくないと思います。内閣府男女共同参画局が令和4年に発表した統計によると、若年層の4人に1人以上(26.4%)が何らかの性暴力被害に遭ったことがあるそうです。
もしそんな事態に直面したとき、親としてどのように向き合えばいいのでしょうか。
漫画家・あらいぴろよさんが発表した『性被害のせいで、息子が不登校になりました』は、小学生の息子を持つ母親の苦悩を描いたコミックエッセイです。専門家への緻密な取材を基に、事件に直面した家族の葛藤をリアルに浮き彫りにしています。
著者のあらいぴろよさんに、この作品についてお話を伺いました。
『性被害のせいで、息子が不登校になりました』あらすじ
ある日突然、不登校になってしまった息子。周囲に聞いてみても友人とのトラブルやいじめの様子もなく、母親は理由がわからずにいました。


しかし、警察からかかってきた電話で事態は一変。息子が実は性暴力の被害を受けていたことを知ります。両親は警察での事情聴取や加害者の裁判を通じて、事件と向き合うことになっていくのですが……。
性被害の二次被害を受けることがない環境を作るために
――『性被害のせいで、息子が不登校になりました』というセンセーショナルなタイトルにドキッとしました。本作が生まれるきっかけを教えていただけますでしょうか。
あらいぴろよさん:編集さんからのご提案でした。このテーマでの表現の伴走者としてご指名いただきまして、誠に感謝しております。


――本作では、警察とのやりとりや加害者の裁判の様子もかなり詳しく描かれています。描くにあたって気を付けた点、また伝えたかったことはどんなことでしょうか。
あらいぴろよさん:この話はどうやってもハッピーエンドにはならないことは覚悟した上で間違ったことは伝えない、ということが第一にありました。また、司法面接や付添犬について記載することで、性被害に対するフォローは変わりつつあることをお伝えしたいと思いました。

――あらいさんが『性被害のせいで、息子が不登校になりました』で描きたかったことや本作に込めた想いを教えていただけますでしょうか。
あらいぴろよさん:私自身もかつて性被害を受けたことがありまして。でも、それを誰にも打ち明けられずに大人になりました。性にまつわる話となると、それが犯罪であっても奇異な目を向けられたり、新たに辱められたりいたします。そうした二次被害を受けるようなことは、これからはもうあってはならないと思います。そうした環境を作るための意見の一つとなれば、そんな思いを込めて描き上げました。
* * *
司法面接や刑事裁判、被害者児童の両親の考え方の違いによるすれ違い、子どもが受けた心の傷と不登校など、事件の発生からその後までをたどった社会派作品。もし被害に遭ったときに向き合うことになる様々な出来事を、この作品は丁寧に描いています。子どもが受ける性被害の現実に、親として、そして社会全体でどう向き合うべきか、考えさせてくれる作品です。
取材=ナツメヤシ子/文=レタスユキ
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