すべてマンガに描いてある(17)…一足早くお花見しませんか?
そろそろ今年の桜の開花予想が気になり、そわそわしてくる頃。早くお花見したいな、と思っていたら……『雨無村役場産業課兼観光係』に描いてあった!
大学を卒業して故郷の「雨無村」に戻り、役場の商工観光係として働くことになった銀一郎。山間の小さなこの村には、若者は3人だけ。ぶっきらぼうで責任感の強いメグ、やさしくて男前の澄緒、そして銀一郎。久々の再会を果たした3人は、山の上にぽつんと1本ある大木の桜の下でお花見をすることになります。
咲き誇る大木の桜を揺らす強い風が、東京を離れ田舎で生きることに迷いのあった銀一郎の気持ちを「どこかとても遠くに吹き飛ばしてしまった気がした」。散りゆく桜には、見る者を圧倒する大きな力がある――桜の散り際にお花見をしたことがある人ならば、あの迫力を思い出さずにはいられないでしょう。
仲よし3人でこぢんまり、というお花見の形もいいし、料理上手のメグが作る花見弁当(天むすとか卵焼きとか!)がとにかくおいしそうなのもポイント高し、です。
『櫻の園』は、卒業生が1本ずつ植えていくという数百本の桜の木に囲まれた女子高・通称「櫻の園」を舞台にしたお話。春になると「ピンクの冠みたいに」桜が学校を包み込み、生徒たちの髪に、肩に、降り注ぎます。ここでは桜は少女たちにとって「息がつまりそう」な存在としても描かれます。大人になる直前の少女特有の閉塞感や哀しみと、桜の花の美しい描写が相まって、見ているこちらの胸もぎゅっとなります。
本当の桜が咲くまであと1~2カ月(くらい?)。エアお花見でウォーミングアップしておきましょう!
【文中に登場する作品】
●『雨無村(あめなしむら)役場産業課兼観光係』岩本ナオ著/小学館 故郷の雨無村で、役場の商工観光係となった銀一郎。3人でのお花見のあと、「桜祭り」で村おこしをしようと思い立ち、現実に向けて奮闘していきます。村に根を張って生きるメグと銀ちゃん、村を出て俳優になった澄緒、3人の間に生まれる友情と恋にも注目です。
●『櫻の園』吉田秋生著/白泉社文庫 春になると数百本の桜が満開になる丘の上の女子高には、チェーホフの演劇『櫻の園』を上演する伝統があった。演劇部の生徒を中心に、純粋ゆえに揺れる少女たちの心の動きを追う。大人になった卒業生のつぶやきにもほろり。
※このコラムは『レタスクラブ』2012.3.10売り号掲載に掲載されたものです。月1回、漫画コ
ラムを掲載していきます。
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