「見直しなんて意味ない!」とテストの見直しを全くしない小5娘【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月発売の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第71回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

小5の娘が、テストの見直しを全くしない問題についての相談です。私自身は、テストで間違えたところがあると悔しくて、そこを集中的に覚えることに徹するタイプだったのですが、娘は間違えても、「もうこの範囲はテストに出ないから大丈夫」と言って、見直しや復習を全くしません。「間違いを見直すことこそ、今後の糧になるんだよ」という話を何度もしているのですが、全くやる気がなく、聞く耳を持たない状況です。

本人としては、中学受験をしてできれば進学校へ行き、大学へも進みたいという目標は持っているようです。ただ、周りに受験する友達がほとんどいないため、あまり勉強に切磋琢磨する環境ではないのかもしれません。夫が、『100点を取ったらおこづかいを100円あげる』というのをやっているため、100点を取った時だけは嬉しそうに見せに来るのですが、それ以外はあまりやる気が見られない様子です。

テストの度に、「この間違えたところをちゃんと見た?」「どこがどういう理由で間違ってるのか、ちゃんとわかってる?」と確認し続けてもう5年。どうやったら間違えたところを復習する気持ちになってくれるのか、説得する言葉のヒントをいただきたいです。(Eさん・41歳)

【小川先生の回答】

『勉強して得られたことで、成長した』という肯定感を持たせる

「見直しをしよう」と思うには、「やったほうが成長するし、できることも増えるから」という動機付けが不可欠です。また、「できるようになりたい」という想いがない人は、直しなど絶対にしません。

お子さんに関して言うと、そもそも勉強というものを「やらないと叱られるから」とか、「できないと恥かくから」など、親や先生、友達など他者との関わりにおいて困らないために、とりあえずやっているような気がしてなりません。ですからまずは、その勉強に取り組むスタンスを変えること。そのためには、「これまで勉強してきて良かったな」と思えることを、見つけることから始める必要があります。

例えば、「社会を勉強しだしてから、ニュースを見ていてもわかることが増えて面白いよね」とか、「理科の勉強したから、料理の時に湯気が出る理由がわかるね」など、『学んで得られたことで、いいことが起きている』ということを、本人に気づかせてあげましょう。勉強によって成長していることが実感できると、「もっとできるようになりたい」という気持ちも育まれます。

テストは点数を取るのが目的ではない。学習効果を高めるためにある

同時に、『何のためにテストがあるのか』ということも教えてあげたほうがいいでしょう。おそらくお子さんは、「100点とればおこづかいがもらえる」と、100点を取ることだけに意義を感じているのが現状。だから、100点じゃなければ、そのテストの赤には全く価値を感じられず、見直そうなんて気も起きないんですね。これはご褒美作戦の悪い面が出てしまっていると言えます。結果だけが大事で、プロセスを全く見なくなってしまっています。

でも本来テストというのは、勉強したことをより身に付きやすくするためにあるもの。自分が学んだことが、自分自身どれくらい使えるようになっているかの確認をするためのものです。テストを受けることによって、学んできたことをもう一度集中して思い出すことができ、理解度が深まります。それが、学習効果を高めるのです。

その原点に立ち返り、まずはご褒美で釣るのをやめましょう。そして、「テストというのは、がんばったことをがんばったって確認するためにあるんだよ。そして、できなかったことについても、追加でちょっとやれば、身に着くものが増えるわけだから、絶対にやったほうが得だよね」と教えてあげればいいだけ。せっかくテストで身についていなかったところが判明したのに、そこで見直しを放棄してしまうと、それまで時間をかけて勉強してきたことがすごくもったいない。勉強して、テストを受け、そこで気づいて取り組むというこの流れが、結局自分が得する一番いいテストの使い方だということがわかれば、自然と見直すようになるはずです。

一番大事なことを教えずに、「やりなさい」とだけ言っていたのを、まず親として説明不十分だったと謝りましょう。そして、本人が勉強をどう理解しているのかをしっかり話し合うこと。それが今、親としてのがんばりどきだと思います。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。


文=酒詰明子

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