不登校の娘に変化をもたらした保健の先生の言葉。さまよい続けた暗闇に灯りが見えて/娘が学校に行きません(17)
夏休みを終えた新学期の朝、登校を渋るトモちゃんを無理やり車に乗せ学校へ向かうと、担任とともに出迎えてくれたのは保健の先生でした。
「頑張りすぎちゃったかな?」トモちゃんへの優しい声かけに、親子で迷い続けた暗闇の中で小さな灯りを見つけたようでした。
信じて進めばきっと大丈夫。その後、ずっと片付けられないでいた部屋の掃除を始めるトモちゃん。少しずつ何かが動き始めていきます。
この後もたくさんの大人たちが見守る中で、不登校の娘と向き合い続けた野原さん。次第に状況が変化していくのですが、その時のお話を野原さんにうかがいました。
「最初、『今日だけでいいから学校休ませて』と言われたとき、まったく不安はありませんでした。もともと元気で明るい子だったので、1週間も休ませればすぐに元気になると思っていました。
そのお休みがまさかそんなに長引くものだとは思いもよらず…」
その後先生たちの連携プレーと、周りの助言もあり、徐々に回復し学校に行けるようになったトモちゃん。
「今思えば、初日に『休んでいいよ』と受け入れてあげたのが良かったような気がしています。その時『このお母さんでよかった』と言われたのですが、そのセリフを聞いて、結構切羽詰まっていたのだろうなと思いました。
それと、私の父親(娘からするとおじいちゃん)からの助言で『そのうち元気になるから大丈夫』ということと『何があったか詮索したり、解決しようとするな』という念を押されてまして、それもよかったのかと思います。
この本は不登校の時期のことを書いていますが、『不登校のすすめ』として書いた本です。親としても『不登校』という選択をするには出口のないトンネルに入っていくような不安を感じると思うのですが、出口までこんなだったよ〜という体験談があれば不安が和らぐのではないかと期待を込めて描きました」
焦らず見守る。なかなか難しいことですが、大切な子どもが登校拒否をしたら、「SOS」が出ているという事。子どもに寄り添う気持ちが大切なのかもしれません。
著=野原広子/『娘が学校に行きません』(KADOKAWA)
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