昭和と令和の世代ギャップ!?外遊びをさせたいけど、公園に行っても誰もいません…【小川先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   
昭和と令和の世代ギャップ!?外遊びをさせたいけど、公園に行っても誰もいません…

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第130回のお悩みはこちら。

【お悩み】

息子は現在小1。夫の仕事で他県に住んでいましたが、入学を機に都心に戻りました。周りの子たちは、放課後に公園で遊んだりせず、低学年から習い事で忙しい様子です。育児本には、「塾よりもまず子ども同士の外遊びから学ぶことが良い」とあったため遊ばせたいと思うのですが、公園に行っても誰もいません。息子本人も「一人の時間を大切にしたいから、無理に誰かを探しに行きたくない」と言い、自宅で絵を描いたり読書しています。週1回、運動の習い事に行くので、そこで学校以外のお友達と話せる機会を楽しみにしているそうです。私一人が、自分の(昭和の)学生時代の記憶と違っていることにヤキモキしたまま、もうすぐ2年生になってしまいます。令和はこういうものだと、流れに任せていいのでしょうか?(Sさん・38歳)

【小川先生の回答】

外遊びは子どもの成長のための必要条件ではなく十分条件


おっしゃる通り、育児本にはよく「外遊びや自然体験が大事」と書いてありますよね。それらは確かに価値あることではあります。でも、コロナ禍の影響はもちろん、子ども数の減少や都心での子育てなど、難しいケースも多々あり、今の実態には合わないと感じています。ご相談者さんはおそらく、ご自身の幼少期の体験や、今まで住まわれていた環境との違いに戸惑われて、外遊びができないことを不安に感じられているのでしょう。でも勘違いしないで欲しいのは、外遊びは子どもの成長にとって必要不可欠な条件ではないということです。言うなれば、数学で習った必要条件(それが必要)と十分条件(それを満たす)の違いで、外遊びは十分条件。外遊びがあることによって満たされるものが増えることは間違いありませんが、外遊びや自然体験がないと子どもは成長しないのかといったら、それは違います。外遊びにはもちろんいい面がありますが、遊ばないことがマイナスに働くわけではありません。そこをまずは冷静に捉えましょう。

人との交流が大事な子もいれば、ひとりの時間が大事な子もいる


子どもが成長するうえで何より大事なのは、本人が自分なりの世界をどう育てるかです。人との交流を通して成長したり、モチベーションが上がっていくタイプの子もいれば、誰にも邪魔されることのない時間の中で、自分の世界を掘り下げていき、豊かな精神世界を築いていくタイプの子もいます。大人だって、常に人と混じりたい人もいれば、一人の時間が欲しい人もいますよね。それと同じで、どちらが良い悪いではなく、単にそういうタイプという話。息子さんの場合は後者で、家の中で読書したり絵を描いたりなど、ひとりで深めていく世界を持っている子なのです。つまり、息子さんの言ってる通り「ひとりの時間を大事にしたい」だけで、それは成長上なんの問題もありません。ご家庭でも運動系の習い事をする機会を作り、体を動かすこともできているようなので、体力面についても心配しなくて大丈夫。「令和だから流れに任せる」ということではなく、「この子は自分の世界をそうやって深める子なんだ」と理解しましょう。また、おそらく引っ越される前は、それなりに自然体験もできていたことと思います。幼児期に自然体験としてベースを持っているからこそ、今は家の中でひとりで過ごす時間を大事にしてもバランスがいいような気もしますよ。

家族ぐるみでのお出かけやオンラインで交流を図る


いっぽう、交流を大事にしたい子なのに公園に行っても誰もいないなど、友達と遊べないケースもあると思います。そういった場合は、家族ぐるみのお付き合いの機会を増やして、一緒にお出かけするのがオススメ。2~3家族で一緒に出かけるだけでも、親兄弟など幅広い年齢層の人たちと交流ができるため、多くの刺激を受けられます。また、一時期オンライン飲み会が流行りましたが、友達家族とオンラインで繋いでおしゃべりするのもいいと思います。それぞれ自分の家で遊びながらも、同じ本を読んだり、同じゲームをしたりなど、共通の体験を持つことで、感想も交換しやすくなり、結構盛り上がりますよ。もちろん、実際に会った時の喜びのほうが遥かに大きいでしょうが、「直接会えないからダメ」「外遊びできないからダメ」ではないということ。それらはあくまでも十分条件で、子どもが成長するための手段はいろいろあるということをわかっておくと、選択肢も広がると思います。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『ひとりで自分の世界を探求できる子なので大丈夫』
小1で「ひとりの時間を大切にしたい」と言える時点でまずすごい!これを言える子に対して何を不安がる必要があるのかと思いますね。自分のやりたいことをしっかり持ち、その世界を自分で深掘りしていける子なので、本人のやりたいように見守ってあげましょう。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

この記事に共感したら

Information

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

LINEお友だち追加バナー

おすすめ読みもの(PR)