ソロからグループに? 20年で変化した韓国のアイドル人気【古家正亨のBEATS of KOREA】

2003年の音楽シーンを数字的な部分で振り返ってみると、圧倒的にソロアーティストの力が強く、アイドルの名前がチャートの上位にはほとんど存在しませんよね。そう、20年前は、韓国の音楽界においてアイドルはまだまだ市場の主導権を握った存在ではなかったんです。
ところが2023年の韓国の音楽シーンは、音盤売り上げで言えば、SEVENTEENの10thミニアルバム『FML』の554万枚、Stray Kidsの3rdアルバム『★★★★★ (5-STAR)』の524万枚(2023年) を筆頭に、500万枚越えのアルバムが2作品、そして上位トップ10内のアルバムは全てアイドルグループの作品が占め、しかも、いずれも上位34位までが100万枚越えという当時と比較にならない数字を達成しています。
日本の場合、音盤の売り上げは右肩下がりになっている一方で、韓国は、韓国のセハン情報システムズ社が1998年2月に世界で初めて発売した「mpman」というMP3プレイヤーの登場とその人気の拡大によって、2001年以降いったんその売り上げが下がった後、2010年頃(KARAや少女時代の日本上陸によるK‐POP人気の本格的な始まりと同じ時期)から再び売り上げが上昇に転じ、2023年に過去最高の売り上げ枚数を記録する年になったんです。またMnetのアワード受賞者ラインナップを比較してみても、2023年の結果は、受賞者のほとんどがアイドルグループ(もしくはメンバー)で、ソロの歌手の名前がほとんど見られません。
このようなデータから見てわかるのが、この20年の間に、韓国では、ソロのアーティストの売り上げが落ち込み、その分、アイドルグループが着実に売り上げを伸ばし、その地位を確立したということ。そして、音盤の売り上げが驚異的な伸びを見せているということです。
もちろん、その背景には、アイドルグループの日本をはじめとしたグローバルな活躍によるファンダムの急拡大と、それに伴う、音盤のグッズ化による売り上げ増というものがあるわけですが、とは言っても、この勢いの凄さは誰の目で見ても感じられますよね。つまり、K‐POPアイドルたちの人気の拡大とその地位の確立が、韓国の音楽産業そのものの救世主となったことは言うまでもないでしょう。ただ、その偏ったアイドル人気は、ソロのアーティストたちの(売り上げ面での)活躍の場を奪ってしまったことも指摘しておかなくてはなりません。
古家正亨(ふるや まさゆき)PROFILE
1974年北海道出身。上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。専門は韓国大衆文化、日韓文化比較論。2000年以降、ラジオ、テレビなどのマスメディアを通じて、日本における韓国大衆文化の普及に努め、韓国政府より文化体育観光部長官褒章を受章。
また年200回以上の韓流・K-POPイベントのMCを務め、スターとファンの橋渡し役を20 年以上に渡って続けている。現在もNHK R1 「古家正亨のPOP★A」、ニッポン放送「古家正亨 K TRACKS」、FMノースウェーブ「Colors Of Korea」、テレビ愛知「古家正亨の韓流クラス」など、ラジオ・テレビのレギュラー番組を通じて、韓国大衆文化の魅力を紹介している。
主な著書に『K-POPバックステージパス』(イースト・プレス刊)、『DiscCollection K-POP』(シンコーミュージック刊)など多数。
2024年8月26日(月)には自身のファンミーティング「古家x藤原ファンフェスタ スペシャルゲスト超特急カイ」を飛行船シアター (東京都)にて開催!
【文=古家正亨】
※本記事は古家正亨著の書籍『BEATS of KOREA いま伝えたいヒットメイカーの言葉たち』から一部抜粋・編集しました。
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