同じ会社内で繰り広げられる三角関係の愛憎劇。作者が共感できる人物は【作者インタビュー】

ウェブデザイナーの香澄とIT企業執行役員の高政は、社内恋愛で結婚し、今年２年目になる夫婦。子どもはおらず、夫婦仲も順調でした。ところがそんなある日、夫と部下の海音の不倫現場と思われる写真がSNSにアップされ、香澄の元にリンクが送られてきたのです。しかも写真の撮影現場は香澄の部屋。ショックを受けた香澄は、不倫の証拠を掴んで慰謝料請求することを思い立つのですが…。

夫の不倫を証明しようと、さまざまな謎に立ち向かう妻の奮闘を描いたミステリコミック『夫の不倫を証明できない』。今回は、作者のぱん田ぱん太さんに「共感できる登場人物」を聞きました。

■あらすじ

夫の高政と後輩の海音が不倫をしていたことを知り、ショックを受けた香澄。しかも自分がいない間に、不倫相手が勝手に自分の部屋に入っていたなんて、絶対に許せません。

プライベートスペースを何より大事にしている香澄は、高校生の頃の出来事を思い出します。「まあちゃん」という近所の放置子が毎日家に入り浸るようになり、自分の部屋に違和感を感じるようになったことを。ひょっとして私がいない間にまあちゃんが勝手に部屋に入っていた…？

高校時代、香澄は彼からもらったペアネックレスが部屋から無くなっていることに気づきました。「そういえば…」と、以前まあちゃんにアクセサリーボックスを見せてあげた時に、ネックレスを羨ましそうに見ていたことを思い出します。

まあちゃんが盗んだと思い込んだ香澄は、「よくも勝手に私の部屋に入って私の宝物盗んだわね！」と怒りに任せてまあちゃんを突き飛ばし、家から追い出してしまうのでした。

その当時のことを思い出し、香澄は「まあちゃんはどこで何をしてるんだろう」「もし会えたら謝りたい」と思うのでしたが…。

作者が最も共感できる登場人物は意外すぎるあの人！

――登場人物の中で、ぱん田ぱん太さんが一番共感できるのは誰ですか？ その理由も教えてください。

ぱん田ぱん太さん：実を言うと、性別も立場も何かも違うのですが、1番共感出来るのは主人公の夫・高政ですね。高政は、自身の家庭環境や家族関係に問題がありましたが、それを割と客観的に認識し、他者の分析も冷静に出来ています。それにも関わらず、自分自身の心の闇は見て見ぬふりをして、不倫という誤った方法で自分の中の満たされない何かを必死に埋めようとする。メインキャラクターの中で最年長の高政ですが、実は最も精神が未成熟なのが高政だと思います。そのアンバランスさに共感する部分があります。

――ぱん田ぱん太さんは、ブログやSNSで複雑な人間模様をテーマにした漫画をたくさん発表されていますが、今回の作品を描くにあたって参考にした出来事などはありますか？

ぱん田ぱん太さん：家庭環境が影響する心理学的な部分については、これまでに勉強したことを応用しています。ただ、実は今回の作品で1番難しかったのが「会社」という舞台ですね(笑)。私は会社勤めをしたことがないので、会社のルールや、出勤退勤の形態や、会社内での役職などについてかなり知識が乏しく…。幸いにもパートナーが今まさにリモートワークを実施しているIT企業に勤めているので、彼に「会社」というものについて取材をさせてもらい、かなり作中に反映させています(笑)。

趣向を変えてほんわか系の癒し作品も描いていきたい

――この先、描いてみたいテーマや挑戦してみたいことを教えてください。

ぱん田ぱん太さん：２作続けて不倫ミステリを描いたので、本音を言うと、次はちょっと違う方向性のものに挑戦したいです(笑) 。２作とも描いていて楽しかったし、最後はハッピーエンドですが、登場人物が苦しめられたり、悩んだり、制裁を加えたり…といったシリアスなシーンが無い、安心して読めるほんわかした癒しの作品とかを描きたいです。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

ぱん田ぱん太さん：今作にも興味を持ってくださった読者の皆さん、ありがとうございます！皆さんの応援のおかげでこうして様々な書籍を発表させていただき、たくさんの経験を積んで成長しています。もっと皆さんに楽しんでいただけるクオリティの高い作品を作れるよう頑張ります！

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夫と部下の社内不倫を証明するために、あらゆる角度からじわじわと謎を解き明かしていくミステリコミック『夫の不倫を証明できない』。SNSにアップされた写真はどうやって撮られたのか…？ 放置子の正体は…？ その衝撃の結末をぜひ見届けてみてくださいね。

取材・文＝宇都宮薫