冬の睡眠不足で「脳にゴミ」がたまる!? 認知症リスクを遠ざけるための5つの快眠ポイント

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風邪をひきやすくなったり肌が乾燥したりと、冬は何かと体のコンディションが悪くなる季節。じつは、冬になると睡眠の質も低下しやすいってご存じでしたか? しかもそれが、体や心はもちろん、脳の不調の原因にもなるのだとか。冬ならではの睡眠トラブルの原因と、それを解決する安眠のコツについて、金町駅前脳神経内科院長の内野勝行先生にうかがいました。

内野勝行先生

▶教えてくれたのは
内野勝行先生
金町駅前脳神経内科院長。大学病院の脳神経内科で、神経救急や変性疾患などを専門に扱い、2015年に開業。外来と訪問で月100人以上の認知症患者を診察し、薬物治療のみでなく栄養指導や介護環境整備、家族のサポートなどの積極的認知症治療を行なっている。著書やテレビ出演も多数。

幸せホルモン・セロトニンの低下が睡眠の質を下げていく

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ーー冬になるとなぜ睡眠の質が低下するのでしょうか。
「理由は日照時間の不足です。みなさんは「セロトニン」というホルモンの名前を聞いたことがありますか? 最近は「幸せホルモン」として知られる物質ですが、このホルモンが分泌されると人は緊張がとけて穏やかな気持ちになり、やる気もアップします。

このセロトニンは、朝起きて日光を浴びることによって分泌されるのですが、夜になるにつれ濃度が下がり、眠りを促す「メラトニン」という睡眠ホルモンに置き換わります。ここで大切なのが、セロトニンはメラトニンの原料でもあるため、両者の分泌量はほぼ同じになるということ。日照時間が少ないとセロトニンの量が減少し、それに伴ってメラトニンの量も減るため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。すると、疲れがとれない、自律神経が乱れる、気持ちがネガティブになるなどの状態に陥ります。こうした状態が続くと、ストレスでますますセロトニンの分泌量が減っていき、メラトニンもどんどん減る…という悪循環に陥るのです」(内野先生)

ぐっすり眠れないと脳に”ゴミ”がたまっていく!?

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ーー睡眠の質が低下することによっておこる問題は他にもありますか。
「寝ている間に行われる「脳のゴミ掃除」の停滞です。脳は1日中働いていますが、その過程でたんぱく質の老廃物、つまり”脳のゴミ”が大量に発生します。そのひとつが、認知症でもっとも多いアルツハイマー型認知症の引き金になる、「アミロイドβ(ベータ)」です。このアミロイドβの”掃除”は、おもに睡眠中に、脳脊髄液の流れと免疫機能によって行われています。

ただし、冬に室温が低い部屋で寝ている人は要注意です。
寒いと血管が収縮するので、心臓は血流を促そうと血圧を上げるため、血管の壁に負担がかかります。すると、血管の周りにある、老廃物などのゴミを流すための”排水システム”が詰まるため、駆除すべきアミロイドβも排出されにくくなってしまうのです。また、血流の悪化は脳脊髄液の流れも悪くするため、老廃物が脳や体にたくさん残ったまま朝を迎えることになってしまいます。

この状態がずっと続けば、将来的に認知症、とくにアルツハイマー型認知症の発症リスクが高まる可能性があります。また、睡眠不足が続くと、体がだるい、イライラする、食欲不振、自律神経失調症、免疫低下、肌荒れなど、心身にさまざまな悪影響が現われてくるのです」(内野先生)

冬でも快眠を手に入れたい!そのための5か条

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ーーでは、どうすればぐっすり眠って、アミロイドβもしっかり掃除できるようになるのでしょうか。

「冬の快眠ポイントを5つ挙げてみました。

快眠ポイント1 なるべく朝に、20分以上日光を浴びる
日光を浴びないとセロトニンは分泌されず、結果、睡眠ホルモンのメラトニンも減ってしまいます。ですから、毎日きちんと太陽の光を浴びましょう! なるべくなら朝がおすすめです。というのも、朝はコルチゾールというやる気を出すホルモンの分泌がピークとなり、副交感神経優位の休息状態から、交感神経優位の活動状態へとスイッチが切り替わるため、相乗効果で午前中から元気に、活動的になれるからです。

日光にあたる時間は最低でも20分程度はほしいもの。通勤や買い物といった外出の予定があれば、簡単にクリアできますね。ただし、寒い日に無理して外出する必要はなく、窓辺で直射日光を浴びるだけでもOKです。

快眠ポイント2 寝室の室温は22~23℃に
脳の機能は寒すぎても暑すぎても低下しますし、脳は熱に弱いので、眠るときでも頭を涼しく、体を温かく保つ「頭寒足熱」が理想です。このため、室温は22~23℃に保ち、首から下を保温しましょう。

ただし、就寝後も体温が高いままだと脳が活動的になってしまいます。通常の体温が36℃なら、34℃程度まで下げると深い眠りに入ることができるので、寒いと感じるときでも電気毛布などで全身を温めるのは避け、湯たんぽなどで部分的に保温するのがいいでしょう。寝具は、体温で温まった空気をキープしやすく、ムレにくい羽毛布団がおすすめです。

快眠ポイント3 温めるべきは「首」がつく部位
人の手のひらと足の裏は、体温調節センサーのようなもの。ここを靴下などで覆うと、「暑い。体を冷やさなくては」と脳が冷却スイッチを入れるので、かえって体が冷えてしまいます。温めるのは、首、手首、足首、そしてお腹周りに。ハイネックのパジャマやレッグウォーマーを活用しましょう。

快眠ポイント4 寝るときはほんのり間接照明で
天井の照明をつけたまま寝ると、光の刺激で睡眠が妨げられます。かといって真っ暗にして寝ると、人は本能的に恐怖を感じて交感神経が優位になってしまうため、間接照明を壁にあてるなどして、ほんのりと明るい状態で寝るのがいいでしょう。寒くなければ、ドアを少し開けて、廊下の光を入れるのも○。

快眠ポイント5 アロマテラピーを活用する
アロマは、香りの刺激を通じてリラックス効果をもたらし、睡眠の質向上に役立つと考えられています。好きな香りに包まれて眠りにつくと、睡眠の質向上に大きな効果が期待できます。

その際、人工的に合成された香りの芳香剤を使うよりも、エッセンシャルオイル(精油)は、リラックス効果や気分転換に役立つとされています。ディフューザーがなければ、エッセンシャルオイルをコットンやティッシュに1~2滴垂らして枕元に置けばOK。ただ、香りの好みは人それぞれなので、好きな香りのボディクリームを体に塗って寝るのもいいでしょう」(内野先生)

聞くだけで認知症予防につながる音もある?

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「ぐっすり眠ってアミロイドβをしっかり掃除するには、好きな香りを「嗅ぐ」ことが有効だという話をしましたが、アミロイドβの量を減らすには、ある音を「聞く」ことも有効だ、ということがわかってきました。
その音とは、「ガンマ波サウンド(周波数40Hzの音)」です。

ガンマ波サウンド(周波数40Hzの音)を聞くと、脳内の脳脊髄液の流れが活性化され、アミロイドβがスムーズに排出されるようになることが、マウスの実験で確認されました。そのため、人の脳のアミロイドβを減らす効果も期待されています。「ガンマ波サウンド(周波数40Hzの音)」に変調されたクラシック音楽やテレビの音声を、BGMとして1~2時間部屋に流すだけでいいので、手間もかかりません。また、ガンマ波サウンド(周波数40Hzの音)は、アミロイドβの排出促進だけでなく、血流の改善、やる気や集中力のアップ、脳に霧がかかったように頭がボーっとするブレインフォグの解消などにもつながるとされます。
まだまだ一般にはなじみのない音の効果ですが、テレビなどにつなぐと音声が自動的にガンマ波サウンド(周波数40Hzの音)に変調されるスピーカーなどもあるので、活用してみるのもいいかもしれませんね」(内野先生)

***

内野先生によると、脳を若々しく保つには、キノコや鮭などに含まれるビタミンDをたっぷりとるのがおすすめ。運動も効果的ですが、やりすぎは禁物。少し息が上がるくらいの早足で、1日に5000~7000歩ほど歩けば十分だそうです。よく寝て、しっかり食べて、適度に運動する。これが寒い冬を元気に過ごす秘訣ですよ!

文=高梨奈々

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