相手が嫌がることをしてしまう小2息子。人の気持ちがわからないのではと心配です【小川大介先生の子育てよろず相談室セレクション】

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【小川先生の回答】


“我慢する時の気持ち”を味わうシミュレーションをする

子どものことを理解しようと、とてもがんばっていらっしゃいますね。しっかりと話し合って、「次はこうしようね」というところまで持っていっているので、会話としては自信を持っていいレベルです。

ただ、息子さんは感情がふくらみやすいタイプだと思うのですが、お母さんはどちらかというと言葉で言い聞かせる、理性的な関わりをされています。そのため、“わかってる”ということと、“気持ちとして感じ取れている”かがズレている気がします。つまり、“我慢するという単語”としては聞けているけれど、それを“我慢する時の気持ち”までは想像ができていないのです。我慢するというのはどういうことか、実際にその状況を練習させてあげるのがおすすめです。

例えば、妹と遊びたいけど、妹がテレビを楽しんでいたら、“テレビが終わるまでは一人で何かをやって待っている”という状況を演じてみるのです。そういった“我慢できたごっこ”を通して、“待てている自分”を実感することが重要です。そして、実際に待ってあげたら、妹も嬉しいし、その後お互い楽しく遊べるし、お母さんも安心というところまでシミュレーションしてみると、「我慢するのは辛いだけじゃなくて、いい方向に向かうための手段」ということもわかってくるでしょう。

気持ちが高ぶった時は5回ジャンプでエネルギーを吐き出す

シミュレーションの中で、ひとつ肝となるのは、「今遊びたい!」と気持ちが高ぶった時の表し方です。興奮すると手が出てしまうようですが、それはおそらく、息子さんの好きなバトルもののインプットから、わかりやすくぶつかるという形で表現してしまうのでしょう。それ以外に強い感情の表現方法を知らないのだと思います。

「すごくしたい!」と気持ちが抑えられなくなったら、5回ジャンプするとか、大きな声で「えーと!」と言ってから普通にしゃべるとか、何か一旦エネルギーを吐き出させてあげる工夫をするといいと思います。

興奮した時に叩いたり、噛んだりなど極端な行動に出てしまうお子さんというのは、案外日常的には理性的に過ごしている子に多いように思われます。息子さんも話せばわかる子のようなので、おそらくそのタイプなのではないでしょうか。真面目な子というのは、日常自己制御をしてるぶん、感情が膨らんだ時にどうしたらいいのかわからなくなり、極端にふれてしまいがちです。いつも「ちゃんとしよう」とし過ぎているから、そうじゃなくなった時に、逆ブレしてしまうのです。そこをわかってあげたうえで、“わーっ!”っとなった時の安全な“わーっ!”の出し方を見つけてあげて欲しいですね。何か言いたくなったら、“とりあえず変顔をしてみる”とかもおすすめ。周りを笑わせてあげつつ、自分もちょっと落ち着きますよ。

そうやって、気持ちを表現する体の動かし方を練習していくと、実生活でも適切に振る舞えるようになってくると思います。おそらく小学校中学年にもなれば、周囲の子も含め、言葉をもっと使いこなせるようになるため、今よりラクにコミュニケーションがとれるようになると思いますよ。

“人との関わり合いの中で自然と学ぶ”ことが難しいSNS世代

「育っていく中で段々わかっていくよ」というお父さんの認識は、大筋では間違ってはいません。ただ、ご両親が子ども時代だった時と、今の子ども達が生きている社会は大分違うため、そう簡単にはいかないでしょう。

なぜなら、現代のネット社会は簡単に孤立でき、マイワールドに入ってしまう子が増えているため、昔なら人との関わり合いの中で自然と学べていたことが、学びにくい社会になっているからです。だからちょっと手をかけ過ぎだと思っても、様々なシチュエーションごとの、気持ちの持ち方や伝え方などを、教えてあげる手間が必要な時代なのです。

また、SNS全盛の今、親御さん自身が“子どもを見たい”、“保護したい”という欲求も強くなっています。そのため、昔なら「お互い様」で済んでいた子ども間のトラブルが、今は簡単に大問題に発展してしまいます。ですから、“子どもの社会の中で勝手にわかっていく”というほど甘いものではないことは、ご夫婦の共通認識として持っておかれたほうがいいかと思います。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介先生
教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。
京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

漫画=きたがわなつみ/文=酒詰明子

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