限界子育てを生き抜くリアル自炊論【漫画家・真船佳奈×爆速レシピ・およね】
テレビ局社員でありながら、子育てや日常のドタバタが共感を呼ぶ漫画家として人気の真船佳奈さんと、「手間を省いてもちゃんとおいしい」をコンセプトに、SNSで爆速レシピを発信するおよねさんが初対談! 料理が苦手な真船さんと、料理が大好きなおよねさん。一見タイプが違うかと思いきや、話してみると共通点がいっぱい! 子育て&家事に奮闘する二人の爆笑トークをどうぞ!

⚫︎お二人は今日が初対面とのことですが、もともとお互いの存在を認識されたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
およね(敬称略):私はもともと育児エッセイが大好きで。ずいぶん前から真船さんのSNSを見たりコミックを読んだりして、よく爆笑させてもらっていました。だから、お声がけいただいたときは本当に夢みたいで、感激しました。
真船(敬称略):わ〜そうだったんですね、うれしい!!
およね:こういう表現でいいのかわからないですけど『ガサツちゃん代表』って感じで(笑)。私もガサツなタイプなので、分かるわ〜と共感の嵐。
真船:ありがとうございます(笑)。私は料理が本当に苦手で、夫に任せるか外食をするかという生活で…。料理をインスタで調べるレベルまでいっていなかったもので、今回およねさんが書籍にご協力くださる、とのことでインスタで動画を拝見したんです。そうしたら、大胆にきのこを手で潰している動画が出ていて! わ〜ずいぶんとワイルドな。包丁で切らなくてもいいんだ〜って。これは気の合う人に間違いないと確信していました。
およね:そうそう、包丁はあんまり使いませんね(笑)。

食材を選んで買って、作って、でも子どもは食べず。料理のハードルって高すぎる…
真船:私、料理ってハードルが高すぎるなと思っていて。スーパーでどんな食材を買えばいいか迷って、レシピを検索しながらようやく買い揃える。帰ってきたらそれを広げて切ったり味付けしたり。そこには技術と知識の組み合わせも必要ですよね。乱切りって、この切り方で合ってる?って調べたり、肉をこうやって煮ると硬くなるぞ、とか…。ようやく完成したら、子どもが全然食べない…。なんとか食べさせて、やっと終わったら今度は食器洗いも…。もうなんか、大変すぎません?
およね:うんうん、確かに!
真船:それなのに、料理をしはじめるとアーティスト性を出しちゃうんですよ(笑)。食材も独自の切り方とかしちゃうんです。ま、これでもいいかって、結局よく分からないカレーみたいなものを作ってみたりして…。
およね:料理が苦手な人に限って、独自のスタイルをとることって、けっこう多いんですよね(笑)。それで、なんでおいしくできないんだ?って!(笑)
真船:そうそう!あと、すぐ創作したがる背景には、食材をダメにしちゃうという恐怖もあるんですよ。そもそもレシピ通りにやる力もないのに、食材を腐らせたくないから、これも入れちゃえ、って…。およねさんは、どうやってお料理のノウハウみたいなものを習得していったんですか?
中学生時代、もらった材料費を抑えて家族のごはんを作ることが今の基盤に
およね:私は子どもの頃に両親が共働きで、日中は祖母といる時間が長かったんです。祖母は料理好きな人だったので「絹さやの筋はこう取るんだよ〜」とか、いろいろ教えてもらって、おままごとの延長というか、遊びの一環のような感じで料理をしていました。でも、一番私が鍛えられたというか、今の自分を作ったなと思うのは、中学時代ですね。相変わらず両親は忙しくて、家族4人分の夜ごはんを私が作ることがたまにあったんです。その日は材料費+おこづかいとして1000円をくれるんですよ。でも貴重な1000円は好きなことに使いたい! だから、冷蔵庫にあるものをかき集めたり、近所のスーパーを何件も回って安い食材を買ったり。いかに食材を無駄なく安く手に入れて使いきるか、ゲーム感覚で料理をするのが楽しかったんです。子どもにも、これはいつか受け継ぎたい!
真船:それいいですね!子どもが中学生になったら、うちも同じ手法を取らせていただきます(笑)。
⚫︎現在、およねさんは長女11歳、長男7歳の子育て中。真船さんは4歳の長男がいて、第二子をこの夏出産予定ですよね。真船さんは、もうすぐ2人の子育てが始まるというタイミングですね。
およね:振り返ると、一人目の子どもができたときよりも、2人目が生まれてからの方が、生活が回らなくて本当にしんどかったです。
真船:そ、そ、そうなんですね。
およね:上の子と下の子で、やりたいことや状況が全然違うし、同じ保育園に入れず、送迎も常に2ヶ所していて。でも料理することがストレス発散にもなっていたので、作りたい気持ちもあって。ただ食器洗いはキライだったので、いかに洗う調理道具を減らすか、ということを最初は考えて、フライパン1つで作れる料理を考えたりしていました。

手を汚さず洗い物も最小限。料理の“苦手”な部分がないレシピ。これなら作れる!
真船:およねさんに教わった「はさむだけベーコンバーグ」、あれは本当に驚きました。ハンバーグってこの世で一番面倒な料理だと思ってたんです。でも、玉ねぎのみじん切りとか、肉をこねて手がべとべとになるとか、そういう工程が登場しないんです。およねさんのレシピは、どこで私のモチベーションが下がるかをわかってくれてる。およねさんは似てる感覚の持ち主だ!料理が苦手な私の気持ちも汲んでくれるぞ!とうれしくなりました。

およね:そうなんですよ。調理道具や食器もなるべく洗いたくないし、調理中に何度も手を洗うのも面倒。もう金曜の夜なんて、何もしたくない。だから、金曜日は毎週、いろいろぶち込むだけのカレーうどんが我が家の定番で。ルーティン化しちゃうのも楽ですから。
真船:海軍みたいですね(笑)。ちなみに教わったレシピのカレーうどんを作ってみたら、我が家の息子も爆食いでした。野菜も入って罪悪感もないし、冷凍ほうれん草もコーンもそのまま入れちゃえ、ちくわもキッチンバサミで切っちゃおうって提案してくれるから、ものすごく気が楽。カレーうどんってお店で食べるものだと思っていたので、こんな簡単に作れるなんて。。。
およね:ありがとうございます。手軽で手抜き感がなく、野菜もタンパク質もぶち込んで罪悪感をなくせたらいいですもんね。
冷蔵庫の食材を回せるって、それだけでこんなにも清々しい気持ちになれるんだ!
真船:それから、最近は自炊することに加えて、買った食材を使いきることも意識してますよ。夫がたくさん野菜を買ってきて、作り置きをしてくれるのはいいんですが、野菜がいくつか余るんです。そういう野菜をしっかり使い切れるようにしていきたいです。
およね:使い切りたい食材を主軸に考えたり、おなじみの食材や調味料だけで、レパートリーを増やしていくとか。それだけでも、使い切りやすくなりますよね。
真船:およねさんのレシピは、調味料も食材もおなじみのものばかり。次の料理に回せるから、使いきれるんです。だから、すっきりした気持ちで“今日は冷蔵庫が空になってるから外食しよっか”って。これまでの“冷蔵庫のものを余らせてるけど、作る気もしないから”という心持ちとは全然違う、清々しい気持ちで堂々と外に食事をしに出られるようになりました。
およね:そうそう、冷蔵庫をうまく回せるようになると、家計にもうれしいし、自分のメンタルも健やかになれて、いいことばっかりになりますよね。
真船:本当にその通り!これまでの行き当たりばったりの人生が、ほんのちょっといい感じに変わってきました。ありがとうございます。
およね:私こそ、レシピを活用してもらえて本当にうれしい。ありがとうございます。
●お二人とも、ためになる貴重なお話をありがとうございました!
真船佳奈

2012年にテレビ東京に入社。バラエティ番組のADとして働きながら制作した漫画『オンエアできない』(2017年、朝日新聞刊)でデビュー。2022年には自社でアニメ化も果たす。結婚、出産を経て『令和妊婦、孤高の叫び!頼りになるのはスマホだけ?』(2023年、オーバーラップ)、『正しいお母さんってなんですか!?』(2025年、幻冬舎)とリアルな子育ての日々を描いた作品が共感を呼び、ペアレンティングアワード2025を受賞。最新刊『さよなら! 行き当たりばったり人生』(KADOKAWA)が好評発売中。
およね

「自炊ハードルを地の果てまで下げにいく」をモットーに、日々、ささっと作れてちゃんとおいしいレシピを発信中。テレビ、雑誌、WEBなどのメディア出演に加え、企業とのレシピ開発やプロモーション企画でも活動。2児の母として、リアルな視点をいかした発信が人気。SNSの総フォロー数は40万人越(2026年2月現在)。最新刊『“使いきる”だけでうまくいくー物価高に負けないレシピ事典ー』(KADOKAWA)が好評発売中。
取材・文:田中理恵
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