待機児童問題の解決なるか!? 東京都のベビーシッター代補助制度にママたちは何を思う

#育児・子育て   
現在も保育園に入れない子どもが数多くいます


ここ数年、メディアで取りざたされることも増え、社会問題化している待機児童問題。そんな中、東京都が今年1月に新たな待機児童対策「ベビーシッター利用補助に月額最大28万円、予算50億円計上」が話題を呼んでいます。

この発表を受け、株式会社キッズラインが、都内在住のベビーシッター利用経験があるワーキングマザー550名へ行った調査レポートによれば、「この制度を利用して職場復帰したい」と回答した母親が91.5%と歓迎ムードが大勢を占める一方で、半数以上が「同制度は待機児童問題の解決にならない」と回答しました。

このズレはなぜ生まれるのでしょうか? 働く母親たちが今回の精度をどう受けとめたのかも合わせて、くわしく見ていきましょう。

年々深刻化する待機児童問題


2016年には、保育園に落ちた母親が書いたとされる、「日本死ね」という匿名ブログの内容がインターネットやメディアを通じて拡散され話題になったのは記憶に新しいところですが、昨年4月時点でも、東京都内の待機児童は約8900人と、大変深刻な状況にありました。それだけに、今回のシッター補助については「賛成」派が86.4%を占める結果に。

【グラフを見る】東京都の待機児童シッター補助についてどう思う?


賛成の理由としては、「シッター利用補助は家計的にもありがたい」「即効性がありそう」「補助が出ることで親の就労が促進される」という回答がありました。

騒音問題や用地確保が困難といった理由から、東京都内の待機児童をすべて受け入れるだけの保育園を作ることは難しいと、回答した母親たちも感じているようで、このシッター補助は現実的で即効性のある案として大半に受け入れられているようです。

「利用したい」人が9割超。一方で不安の声も…


また、「もし自分の子供が待機児童になったら」もしくは「過去に待機児童になっていたら」ベビーシッターを利用して復帰したいかを聞いたところ、91.5%が「利用したい」と回答しました。

働く母親たちは、子供が保育園に入れなければ、育休延長・退職・内定辞退など、キャリアの中断をよぎなくされかねない状況にあります。そんな中で、預け先の選択肢にシッターが加わったことにより、復職できる可能性がでてきました。そういったことからも、賛成の意見が集中したようです。

待機児童シッター補助を利用したい?


しかし、必ずしもすべての人がこの制度を利用したいとは思っていないようです。先ほどの調査に対して、8.5%の人は「利用したくない」と答えています。理由としては、「シッターへの信頼性」「シッター不足であることと、シッターには資格は必要ないため、安全面を考えると実際は難しいのではないかと思う」といった声が上がっています。

シッターとなる人間が、信頼のできる人物なのかどうか。また、人員の確保ができるのかという点について、疑問があるようです。大切な我が子を他人に預けるということで、慎重になるのもうなずけます。

肝心の待機児童解消になるかについては…


今回の調査では、ベビーシッターを実際に利用したことがある人に、どんなメリットがあるかについても聞いています。その結果、「送迎がないから便利」(384人)、「子供が慣れている自宅だから安心」(356人)、「病児の時も預かってくれる」(355人)という順になりました。それ以外にも「時間の融通がききやすい」などの意見が寄せられています。さまざまな働き方が認められている現代において、柔軟に対応ができるシッターの需要は、高くなっていくことでしょう。

ベビーシッターを利用するメリットは?


このように、今回の対策については大方賛成の声が上がっています。しかし肝心の、「待機児童問題の解消が期待できるか?」という質問に対しては、「はい」(45.8%)、「いいえ」(54.2%)と意見が割れました。

シッター代補助制度で待機児童問題は解消すると思う?


はいと答えた人たちからは「育児の選択肢が増えること、用地不要でスピーディーな解決策は、復職に悩む母親にとって朗報」といった声が上る一方で、いいえと答えた人たちからは「保育士の人材不足や、待遇の改善が解消されないかぎり、問題は解決されない」といったコメントが多く見られました。

シッター以外の子育て環境整備の取り組みについて


内閣府の公式ホームページには、市町村や企業などを巻き込んだ、シッター補助以外の取り組みについても記載されています。

たとえば、幼稚園や保育所、認定こども園における支援の質向上を目指すために、職員1人が担当する子どもの数を改善する(3歳の子どもと職員の割合を、従来の20人に対して1人から、15人に対して1人にするなど)、職員の処遇改善をおこない、職場への定着及び質の高い人材の確保を目指す(職員の給与を増やしたり、研修を充実するなどキャリアアップの取組を推進したりするなど)といった方針を取っています。

さらに、新規事業である「働くパパ・ママ育休取得応援事業」に、14億円を計上するという発表もありました。これは、大企業に比べると中小企業での育休取得が進んでいない事実を改善するために、女性従業員に1年以上の育休を取得させた中小企業に125万円を助成するというものです。対象は年間1000社を想定しています。

また、男性の育休取得を促すために、妻の育休か産休後に男性従業員に15日間連続で育休を取得させた企業には、300万円を上限に助成するとも述べています。

待機児童解消に向け、課題はまだまだ山積みの状況ですが、少しずつ改善のきざしも見えはじめています。子を持つ親への負担が減り、日本がよりよい社会になるよう、今後のさらなる取り組みや対策を期待したいですね。

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