「生きてるのがつらい」容姿に悩む10代娘が裏アカに綴った本音。「親の綺麗事」が通じないルッキズム社会の荒波【著者に聞く】

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『娘に整形したいと言われたら』より

「涙がぼろぼろこぼれた」「娘に『私が整形したらどうする?』と聞かれた」。容姿に悩む中学生の娘と、葛藤する母親のリアルな姿を描き、世代を超えて大きな反響を呼んでいるコミックエッセイ『娘に整形したいと言われたら』。今回は、著者のうみの韻花さんに、今もっとも伝えたい読者へのメッセージと、ルッキズムの荒波を親子で乗り越えるためのヒントを伺いました。

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『娘に整形したいと言われたら』あらすじ


登場人物

『娘に整形したいと言われたら』より

両親を必死に説得し、中学の夏休みに二重の埋没手術を受けたひかり。念願の理想の目を手に入れ、しばらくは弾けるような笑顔で過ごしていたものの、その幸せは長くは続きませんでした。ある日突然、暗い表情を浮かべた娘は「鼻も整形したい」と言いだします。そしてついには、自分の容姿への耐え難いコンプレックスから、学校をも休みがちになってしまったのです。

『娘に整形したいと言われたら』より

『娘に整形したいと言われたら』より

鼻の整形に猛反対する父親に対し、ひかりは冷たく言い放ちました。

「私がこんな鼻なのお父さんのせいじゃん…」

『娘に整形したいと言われたら』より

その言葉に激昂した母の彩は、「いい加減にして!」と最愛の娘の頬を強く引っ叩いていました。大切に育ててきた自分たちの存在まで、すべてを否定されたような気がして、どうしても感情を抑えきれなかったのです。

『娘に整形したいと言われたら』より

『娘に整形したいと言われたら』より

激しい衝突から数時間後。両親が揃って、部屋に閉じこもったままのひかりの様子を見に行きました。しかし、扉を開けた瞬間に目に飛び込んできたのは、想像を絶する光景でした。最愛の娘が、睡眠薬を大量に服用して床に倒れていたのです。


『娘に整形したいと言われたら』より

救急車で病院へ緊急搬送され、幸いにもひかりの命に別条はありませんでしたが、彩はショックを隠しきれません。そして、何か原因がわかるかもしれないとひかりのスマホをみると、彩の知らないSNSの裏アカウントには娘の本当の心の叫びが綴られていました。

『娘に整形したいと言われたら』より

『この顔で生まれてくるんじゃなかった』
『もう生きてるのがつらい』

病室の冷たいベッドで、力なく眠り続ける我が子。その頭を撫でながら、彩は涙とともに悲痛な問いを自分に投げかけます。

「どうしたらひかりを救えるの?」

絶望の淵に立たされた彩の心に、あまりにも切実な「覚悟」が芽生え始めます。

『娘に整形したいと言われたら』より

『娘に整形したいと言われたら』より

「ひかりを助けたい。この子が望む見た目にしてあげなきゃ」


「母の気持ちがリンクして涙がこぼれた」世代を超えて届く、読者からの切実な反響


『娘に整形したいと言われたら』より

――読者からはどのような反響が届いていますか? 特に印象に残っているコメントがあれば教えてください。

うみの韻花さん:「ひかりの気持ちも、母の気持ちも痛いほど分かり、涙が出た。自分ならどうするか考えさせられた」
「実際に中学生の娘がいます。何度も作中のお母さんの気持ちがリンクして伝わってきて、涙がぼろぼろこぼれました」
「小学3年生の娘が5回も読みました」
「ひかりと同じ中学生の娘と一緒に読んだ後、娘に『私が整形したらどうする?』と言われてドキッとしました。もし同じ立場になった場合、向き合えるようにしたいと考えさせられました」
「現代の若者のルッキズムを知ることができて勉強になりました」
などのメッセージをいただけたのが印象的でした。意外と小・中学生の方も読んでくださっていることを知り、驚きました。


より深く、人間の本質に。容姿を巡る人間ドラマを紡ぎ続ける理由


『娘に整形したいと言われたら』より

――今後、新しく描いてみたいテーマや、挑戦してみたいジャンルなどはありますか? 今温めているアイデアなどがあれば、お聞かせください。

うみの韻花さん:ルッキズムや美容というテーマは、私のライフワークだと思っています。今回は「親子の視点」からアプローチしましたが、まだまだ描き切れていない現代の容姿に対する執着や、美しさを巡る人間ドラマがたくさんあります。

今後はエッセイだけでなく、また新たな角度から美容をテーマにしたフィクション作品を創り上げていきたいと構想を練っているところです。より深く、人間の本質に迫るような作品をお届けできればと思っています。


否定からではなく「知ること」から。ルッキズムの荒波を親子で乗り越えるために


『娘に整形したいと言われたら』より

――最後に、『娘に整形したいと言われたら』という作品を通して、読者の皆さんに一番伝えたかったこと、今もっとも届けたいメッセージをお聞かせください。

うみの韻花さん:容姿に悩む10代の方には、「あなたの価値は鏡に映る姿だけではない」ということ。そして、もし変えたいと願うなら、どうか自分を大切にする方法を選んでほしいということ。親御さんたちには、子どもの見ている世界を頭ごなしに否定せず、まずは知ろうとしてみてほしいということです。

正解のない難しいテーマですが、この作品が、自分自身や大切な人と向き合うための小さなヒントになれば嬉しいです。

* * *

鏡に映る姿だけが人間の価値のすべてではないけれど、その姿に涙するほど苦しんでいる子どもたちがいるのもまた事実。正解のないルッキズムという荒波の中で、大切なのは正論を突きつけることではなく、まず相手の世界を知ろうとすること、そして「自分を大切にする方法」を一緒に模索することなのかもしれません。


取材・文=宇都宮薫

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