映画アルマゲドンは甘かった! 惑星は爆破してもすぐ再生する やべー宇宙の話(10)

#くらし   

地球にぶつかる小惑星、爆破しても数時間で再生する


第3話で紹介したとおり、2019年7月25日に、都市を吹き飛ばすほどの小惑星が、地球のすぐ近くを通過していたわけですが、この先地球に危険な大きさの小惑星が衝突する未来がやってくる可能性がないとはいえません。

「小惑星が地球に衝突する!」、そんな時に真っ先に頭に浮かぶ対処法として、小惑星の破壊が考えられると思います。あの感動的な映画『アルマゲドン』のように、小惑星を爆破して地球の全人類を救う。しかし、現実はそう甘くないようです。

アメリカのジョンズ・ポプキンス大学とメリーランド大学の研究チームが、最新のコンピュータを使って、小惑星爆破シミュレーションを行いました。シミュレーションの内容は、直径25キロメートルの巨大な小惑星に、直径1.6キロメートルに満たない小型の小惑星を秒速4.8キロの速さで衝突させるというもの。

研究の結果、小惑星は一度散らばるものの、3時間後にはその重力によって再び集結してしまったのです。一度倒したはずの怪物が、生き返るかのごとく復活してしまいました。

研究者たちはこれまで、大型の小惑星の方が割れ目は入りやすいことから、大きければ大きいほど容易に粉砕できるものと考えていたようです。ですが、前述の実験の結果、小惑星は研究者たちの想像以上に頑丈なもので、完全に粉砕するにはより多くのエネルギーが必要となることがわかりました。では、人類は小惑星の衝突をどう避ければいいのでしょうか。

一つの策として、破壊せずとも軌道を変えることならできるかもしれません。シミュレーションを行った研究者たちは、小惑星の破壊を地球から十分に遠い場所で実行すると、進路を変えられるとの見方を示しています。とはいうものの、7月の「2019 OK」のように小惑星の進路が接近の数時間前に判明した場合、今の人類にはどうすることもできませんけどね。

気になるメモ


2000年代初頭の研究では、小惑星に衝撃を与えて完全に破壊できると考えられていた。

著=気になる宇宙、監修者=榎戸 輝揚/「読むだけで人生観が変わる 「やべー」宇宙の話」(KADOKAWA)

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著者:気になる宇宙
フォロワー20万人超えのツイッター『気になる宇宙』(@kininaruutyu)で、宇宙をはじめとするサイエンスやテクノロジーの幅広い情報をつぶやく中の人。日々空を見上げながら、世界中で発信されるサイエンス情報の収集に勤しむ日々を送る。

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