カレーなど煮込み料理も原因に。「食中毒」を防ぐために知っておきたいこと

#美容・健康   

食中毒は、体力のない幼児や老人の場合、死に至る可能性もある病気だ。正しい知識と衛生管理で未然に防ぎ、万が一、発症した場合は適切に対処しよう。

■食中毒のピークは5~6月

気温が高くなるにつれ気になる食中毒は、細菌やウイルスが付着した食べ物を食べることで起こる病気だ。冬に猛威を振るうノロウイルスによる食中毒に代わり、春以降発症数が増えるのが細菌性の食中毒だ。「まだ暑くないから……の油断は禁物。ピークシーズンは梅雨に入る前の5月から6月にかけて。特にこの数年、サルモネラ、ウエルシュ菌、カンピロバクターによる食中毒が増えています」と中村明子先生。

サルモネラの主な原因食品は鶏卵や食肉です。体力のない幼児や老人が感染すると死に至る場合もあり、適切に治療しないと長期保菌者になる可能性もある。

「産卵直後の卵の中にも菌が存在している可能性がありますが、賞味期限内であれば菌は増殖しないので、生食はなるべく新しいものにし、賞味期限が近いものは充分に加熱することで感染を防げます。また、調理の際、殻は放置せずただちに処分し、器具も使用後はすぐに洗い、菌を増やさないことが大切です」

■食中毒かも?と思ったら下痢止めを使わず受診を

食中毒を未然に防ぐには、菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つが大原則。鶏肉などの生肉は専用の調理器具を使い、使用後はすぐに中性洗剤でよく洗って、菌をほかのものに「つけない」。食材は購入後、すぐに冷蔵庫もしくは冷凍庫に保存し、調理後も常温保存せず、粗熱を取って冷蔵保存し、菌を「増やさない」。そして、75℃以上で1分以上加熱することで菌を「やっつける」。

それでも腹痛やおう吐など食中毒の症状が現われた場合は、すぐに医療機関で受診を。「大切なのは、受診までに自己判断で下痢止めを使わないことです。毒素を外に出す必要があるので、下痢止めなどで体内にとどめてしまうと悪化する可能性があります」。

また、脱水症状を起こしやすいので、湯冷ましやスポーツドリンクなどでの水分補給も忘れずに。受診の際は、何を食べて発症までに何時間くらいたっているかを説明できるようにしておいて

■気をつけたい食中毒1【サルモネラ】

原因食品/主に鶏卵や食肉

症状/潜伏期間は6~72時間。激しい腹痛、下痢、発熱、おう吐。長期にわたり保菌者となり人にうつすこともある

対策/充分に加熱(75℃以上で1分以上)する。卵の生食は新鮮なものに限る

ウエルシュ菌は根菜類や食肉に付着していて、加熱しても完全には死なず、調理後の料理が冷める途中50~30℃で増殖するのが特徴。カレーや肉じゃがなどの煮込み料理が原因になることがほとんど。「よくあるケースが2日目のカレー。鍋に入れたまま常温で放置し、充分に再加熱しないまま食べることで発症します」。帰宅が遅い家族の分や食べ切れなかった煮込み料理は、短時間でも冷蔵保存し、食べる際は充分再加熱することで防げる。

■気をつけたい食中毒2【ウエルシュ菌】

原因食品/根菜類や食肉を使った煮込み料理

症状/潜伏期間は8~12時間。主に下痢と腹痛。おう吐や発熱はまれ

対策/調理後は速やかに食べ、保存する場合は冷蔵庫(10℃以下)へ。再食する場合は充分に再加熱する

カンピロバクターは主に鶏肉に付着している。「少量でも発症するため、鶏肉に触れた手や調理に使った包丁、まな板は、そのつど石けんや中性洗剤でよく洗って。これも調理時の充分な加熱で防ぐことができる。

■気をつけたい食中毒3【カンピロバクター】

原因食品/主に鶏肉

症状/潜伏期間が2~7日と長いのが特徴。発熱、けん怠感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢など

対策/調理器具を衛生的に保つ。生肉とほかの食品の接触を避け、調理時は充分に加熱する

【東京ウォーカー/記事提供=レタスクラブ】

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Information

教えてくれたのは、中村明子先生
東京医科大学兼任教授。特定非営利活動法人栄養衛生相談室理事長。1958年共立薬科大学卒業。専門は細菌学、食中毒細菌感染症など。文部科学省、東京都で食中毒対策委員を歴任するなど食中毒起因菌の研究に従事している。

イラスト/カモ 編集協力/岸田直子

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