「~してはいけない」ではなく「~しよう」と伝える◆頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て【連載】(7)

#育児・子育て   

梨花さんもInstagramで絶賛!灘や開成、筑駒、桜蔭、女子学院など最難関中学に教え子を次々と合格させてきた中学受験のプロ・小川大介先生が5000組を超える家庭と面談をしてきて気づいたのは、「認める」「見守る」「待つ」ことが伸びる子どもを育てる、という事実。

京都大学法学部卒業後、予備校・大手進学塾で看板講師として活躍。2000年に中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を設立し、多くの親子と関わることでわかったのは「教育によさそうなもの」を多数与えられ、手とり足とり面倒を見てもらってきた子どもはかえって伸び悩む危険をはらんでいるということ。一方、親に「見守られて好きなことにとことん熱中した経験のある子ども」は、最後の最後で踏ん張り、自らの力でぐんぐん力を伸ばしていく…。

勉強しなさい!あれやったの?これやったの?つい先回りをして子どもを追い立ててしまう…という人は必見!子どもを信じ、待つことがとても大切であるということを教えてくれる『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』より、9回連載でお送りします。「当たり前のことを褒める」「『〜しよう』と伝える」など、誰でもいますぐ簡単にできる「見守る子育て」今回は7回目です。

親が頑張りすぎないほうが、子どもは伸びる!(出典:頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て)


◆◆◆◆◆

子どもはコミュニケーションの経験値が少ないため、投げかけられた言葉をそのまま受け取ります。これがそのまま、「否定が子どもにとってプラスにならない理由」です。

親の思い通りに動いてくれないとき、あるいは、奮起を促そうとするときの否定を、子どもは額面通りのメッセージとして受け取ります。「お前はダメだ」と言われたら、そのまま「自分はダメだ」と受け取るわけです。

「認める」「見守る」「待つ」とは真逆の関わり方をしてしまっていることになるのです。

【画像】子どもは「お前はダメだ」と言われたら、そのまま「自分はダメだ」と受け取ります


親に否定されると、子どもは「嫌われた」と感じてしまう


ドリルを真面目にやらない子に「どうしてちゃんとしないの!」

鉄棒の練習をしていて「そんな持ち方じゃダメだ!」

部屋中におもちゃを出しっぱなしにする子に「散らかさないでよ!」

親から否定されると、子どもは「お父さん・お母さんが自分のことを嫌いになっちゃった」と感じます。親からしてみれば、行動に対して「ダメ」と言っただけなのに、子どものほうは「お父さん・お母さんと自分との関係すべてがダメ」というふうにとらえてしまうのです。コミュニケーションの経験値が少ないのですから、仕方のないことです。

だからこそ親御さんには、「なぜ否定するのか」をもう一度、考えてほしいのです。

おそらく、「うまくいって喜ぶ子どもの顔が見たい」「本来持っている能力を十分に発揮してほしい」「ケガや病気をしてほしくない」という、子どもの幸せや安全を願う気持ちと、親自身が安心したい気持ちが入り交じっているのでしょう。

それはとても自然な感情です。ただ、そこで考えてほしいのです。「子どもの幸せ」と「自分の安心」を両立するために、否定的な言葉を使わずに済ませることはできないだろうか、と。

わかりやすい例をひとつ挙げましょう。

「廊下を走ってはいけません」という張り紙と「廊下は歩いて移動しましょう」という張り紙とでは、子どもたちが廊下を走る割合は後者のほうが圧倒的に少ないという実験結果が出ています。

「〜してはいけない」ではなく、「〜しよう」と肯定的に伝えたほうが、子どもは素直に受け取り、行動できるのです。

否定ではない声かけをしていきましょう


「ダメ出し」は大人にしか通用しない


「そんなんじゃダメだよ。もっとできるだろう」「こんなこともできないの?」といったダメ出し。「奮起して本来の力を発揮してくれるだろう」という、親としての期待によるものであることは理解できます。

ただそれは、「もう一度頑張れ。お前ならきっとできる、という意味だな」という、ダメ出しに込められた真意がわかるからこそ有効なコミュニケーションです。

さきほど述べたように、子どもは「ダメだ」と言われたらそのまま「自分はダメだ」と受け取ります。そして、「そんな自分が次に頑張ったって、うまくいくはずがない」と考えます。そのため、チャレンジを避けるようになります。

ダメ出しに込められた「もっと頑張ったらできるようになるよ」というメッセージを、子どもはまだ受け取ることができないのです。

大人である私たちでも、ダメ出しをされると落ち込んでしまうものです。そこで奮起して「よし、やってやるぞ」という気持ちになる人がどれだけいるでしょうか。それが子どもなら、なおさらのことです。

それならば親御さんの真意が伝わるように、否定ではない声かけをしていきましょう。

特に、あなたが高学歴であったり、努力して社会的に成功してきたり、恥ずかしい思いをしたくないと自分を律してこられたりした方である場合は、要注意です。

このような方はダメ出しに対して奮起できてしまう、ごく限られた人だからです。

頑張れてしまうあなたが特別なのであって、お子さんを含めほとんどの人にとっては、ダメ出しを前向きなエネルギーに変えるのはとても難しいと理解してください。

中学受験の現場での経験、ひとりの父親としての経験から「親は子どものことをもっと信じていい」と小川先生


著=小川 大介/「頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て」(KADOKAWA)

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著者【小川 大介】
教育専門家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、中学受験専門のプロ個別指導塾SS‐1を設立。子どもそれぞれの持ち味を生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立。同時期に「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」の創設にも参画し、情報発信を開始。受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評が。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)など著書多数。
■Twitter:@Kosodate_Ogawa

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