頭がよくなる3原則プラス1③待つ◆頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て【連載】(6)
梨花さんもInstagramで絶賛!灘や開成、筑駒、桜蔭、女子学院など最難関中学に教え子を次々と合格させてきた中学受験のプロ・小川大介先生が5000組を超える家庭と面談をしてきて気づいたのは、「認める」「見守る」「待つ」ことが伸びる子どもを育てる、という事実。
京都大学法学部卒業後、予備校・大手進学塾で看板講師として活躍。2000年に中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を設立し、多くの親子と関わることでわかったのは「教育によさそうなもの」を多数与えられ、手とり足とり面倒を見てもらってきた子どもはかえって伸び悩む危険をはらんでいるということ。一方、親に「見守られて好きなことにとことん熱中した経験のある子ども」は、最後の最後で踏ん張り、自らの力でぐんぐん力を伸ばしていく…。
勉強しなさい!あれやったの?これやったの?つい先回りをして子どもを追い立ててしまう…という人は必見!子どもを信じ、待つことがとても大切であるということを教えてくれる『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』より、9回連載でお送りします。「当たり前のことを褒める」「『〜しよう』と伝える」など、誰でもいますぐ簡単にできる「見守る子育て」今回は6回目です。

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頭がよくなる「3原則プラス1」。原則③は「待つ」です。
親が「待つ」ことで、子どもは「自分でやりきった」という達成感を得ることができます。達成感は自信を育て、「またやってみよう」という意欲を生みます。「待つ」という関わり方が、子どもの自分軸の成長を加速させていくわけです。
セミナーや面談で「待つ」というお話をすると、「わかってはいるんですけど、でも待てないんです」という反論を必ずお受けします。
親御さんが「待てない」と主張するのには、大きく2つの理由があります。
1つ目は、「待つ」ことは「我慢する」ことだととらえているケース。
そして2つ目は、きちんと説明せず、親の都合に子どもを付き合わせようとしているケースです。
まずは1つ目の、「待つ」と「我慢する」を同じ意味でとらえているケースから解決していきましょう。
「待つ」とは信じて任せること
「待つ」とは決して、「我慢する」ことではありません。「この子はこれだけのことはできる子だ」と信じて任せることです。
できるのはわかっているから、任せて見守っている。すると結果的に、待っているように見える。これが「待つ」のメカニズムです。「認める」「見守る」ができている段階で、すでに「待つ」もほぼできているようなものなのです。特別な力は不要ですが、普段から子どもをよく見て、何ができ、何ができないか、また何をしたいと思っているか、何に不安を感じているかをくみ取ろうとする必要があります。
そのうえで、お父さん、お母さんにはぜひ「根拠がなくても信頼する」という意識を持っていただきたいのです。
「以前にできているシーンを見たことがあるからできるはず」から「自分の信じたわが子だからきっとできるはず」へと信頼を飛躍させてみてください。
すると「この子なら大丈夫。細かいことは言わずに、自分の力で取り組むのを見ていてあげよう」という姿勢で子どもと関われるようになり、「待つ」ことができるようになっていきます。
「助けて」のサインを見逃さない
気をつけていただきたいのは、何が何でも待とうと頑(かたく)なになる必要はない、ということです。
子どもが1人で始めてみたものの「やっぱりこれは、お父さん・お母さんに助けてほしい」という状況に陥ることもあります。
たとえば、お子さんが算数の問題を解いている場面を思い浮かべてみてください。
解けない問題があって手が止まり、20分も30分もウンウンうなっているとします。
この場合、「自力で解こうとしているのだから、そのまま待っていればいい」というのは、必ずしも適切ではありません。
1人で考えることに意味があるのは、考えれば何とか答えにたどり着けそうな場合です。この場合のような「どうしたらいいのかわからない状態」の30 分は子どもにとっては苦痛でしかなく、勉強に対してネガティブな感情を抱いてしまうおそれもあります。
今の能力では対処できない壁に子どもが突き当たったときには、親が助けることも必要です。
日ごろからお子さんの表情や目線の変化に気を配り、助けを求めているのか、夢中になって取り組んでいるだけなのか、サインをくみ取ってあげましょう。

急ぐときは、理由を子どもと共有する
続いては、親の都合に子どもを付き合わせようとしているケースを見ていきましょう。
たとえばお父さんが、8時10分の電車に乗って仕事に行くために、子どもを7時50分には保育園に預けたいと考えていたとします。ところが子どもは、なかなか支度をしない。早くしないと、電車に乗り遅れてしまう。それなのに子どもはお構いなし……。「もう待てない!」とイライラがピークになる瞬間でしょう。
この場合の「待てない」は、「子どもが自力でやろうとしているのに、つい手を出してしまう」という意味での「待てない」とは根本的に違います。こちらはいわば、「子どもの行動が遅い結果、自分の予定を変えなければいけない」というストレスからくる「待てない」です。
そんなときに振り返ってほしいのは、「親の予定に合わせて動くべき」という思考になっていませんか? という点です。
誰かの予定に合わせて動く。これは、ものすごく高度なことです。子どもには子どものペースがあり、自分のことで精いっぱいだからです。
「よし着替えよう」と思い立ってから着替え終わるまでに何分かかるのか。そもそも「よし着替えよう」と思い立つまでにどれくらいの時間がかかるのか。このように「わが子のペースだったら、支度に何分必要か」を計算に入れたうえで、家を出たい時間から逆算すれば、イライラすることは減ってくるでしょう。
もしかしたら子どもは、そもそも「なぜ7時50分に保育園に行かなければならないのか」を理解していないかもしれません。
それならば、「お父さんは8時10分の電車に絶対乗りたいから、7時50分には保育園でバイバイしたいんだ。そのためには家を7時30分には出たいから、協力してくれるかな?」と、事情を説明しましょう。3、4歳の子どもでも、きちんと説明すれば納得して、親の希望をかなえようとするものです。
ただ、「家を7時30分には出たいから」だけで終わらせてはいけませんよ。「だから、お着替えを7時20分には終わらせてほしいんだ。あの時計で7時になったら服を着替え始めようね」まで、話してあげてくださいね。
「7時になったら着替え始められそう?」と聞き、お子さんがちょっと考えるそぶりを見せて「うん!」と返事をしたら、求められていることがわかった合図です。

このように「子どもの行動が遅い結果、自分の予定を変えなければいけない」というストレスからくる「待てない」は、急ぐ理由を子どもと共有すれば防げます。
「待つ」という関わり方は、「子どもを信頼して、任せる」ということです。1人の人間として信頼し任せることで、子どもは毎日、自信を深めていきます。

著=小川 大介/「頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て」(KADOKAWA)
Information
『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』
▼単行本情報はこちらから
著者【小川 大介】
教育専門家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、中学受験専門のプロ個別指導塾SS‐1を設立。子どもそれぞれの持ち味を生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立。同時期に「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」の創設にも参画し、情報発信を開始。受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評が。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)など著書多数。
■Twitter:@Kosodate_Ogawa
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