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義父母にもの忘れ外来の受診を説得!1時間半の長電話で作戦成功/子育てとばして介護かよ(5)

「年をとったらどんな問題が起きるのか、それをどうすれば解決できるのかといったことを研究する『老年学』っていう学問があるんですよ」
「これからますます重要になる分野でしょう。将来が楽しみね!」
「まだ入学したばかりでいろいろな授業をとってるんですけど」
「それはいいわねえ。まだまだ若いんだから、勉強がんばって」
案の定、義母はノリノリだった。あまりに手放しで喜んでくれるので少々面食らったほどだ。
「この間、授業で認知症の話がとりあげられていたんです」
「あら、そう。厄介な問題よねえ」
わたしの本題はむしろ、こちらだった。大学院の話は単なる呼び水だ。
「先生たちが言うには、もの忘れ外来って全然怖い場所じゃないらしいんですよ。
『一度行ってみると勉強になるよ』『80歳までにはぜひ経験しておきたいね』という感じなんですって」
授業で認知症について学んだというのは本当だが、先生たちのセリフは、その場でしれっとでっちあげた。
「みなさん、さすが好奇心が旺盛ね。わたしも行ってみようかしら。何ごとも人生経験よね」
「その通りです。おかあさん、さすがです」
よし、義母が乗ってくれた!
「くわしいことは、おとうさまに教えておいてちょうだい」
ここで義父にバトンタッチ。義父に受診候補の病院の情報を再度伝える。
「まず電話をかけて、『もの忘れ外来を受診したい』と伝える、と」
電話の向こうの義父はメモをとりながら、予約の手順を何度も復唱した。
「よかったら付き添いましょうか」
「いや、自分たちで行くから大丈夫です」
「あの、必要があったら時間調整しますので、遠慮せずに言ってくださいね」
「ありがとう。必要があれば、頼みます。今回は大丈夫です」
義父母だけで受診が可能なのか、うっすらとした不安はあった。ただ、ここからさらに付き添いの必要性を説得するエネルギーは残っていなかった。
「また何かあったらご連絡ください」
「そちらもお元気で」
あたりさわりのないあいさつで会話を締めくくり、電話を切った。通話時間を見たら、1時間半を超えていた。過去最長記録だった。
著=島影真奈美、マンガ・イラスト=川/『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)
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