「もう一度あなたに逢いたい」恋に生きた和泉式部が、病の中で歌に込めた情熱【百人一首を覚えよう】/のびーる国語 百人一首(8)

せめてもう一度あの人に会いたい!

作者は農民じゃないの? 「粗末な小屋で夜露にぬれる」と詠んだ意外な人物【百人一首を覚えよう】/のびーる国語 百人一首(1)
『のびーる国語 百人一首』8話【全12話】


『百人一首』は、飛鳥時代から鎌倉時代の間に作られた和歌の中から、藤原定家がよりすぐりの百首を選んでまとめたもの。古典に馴染みがない人も、小野小町や在原業平(ありわらのなりひら)、菅原道真、紫式部といった歌人の名前なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

今から約800年前の歌ではありますが、恋や人生観、美しい風景を見たときの気持ちなど、歌に込められた思いは、実は現代とそう変わらないものも。また、歌人のプロフィールや時代背景なども知れば、和歌の世界がぐんと身近に感じられるはずです。当時の人の心や考えに思いを馳せながら、気軽に百人一首の世界に触れてみませんか? 

※本記事は監修/吉海直人、カバー・表紙/ブラックインクチームの書籍『のびーる国語 百人一首』から一部抜粋・編集しました。


あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな

和歌が作られた時代/平安時代中期
和歌が収められた歌集名/後拾遺和歌集

作者 和泉式部(いずみしきぶ)/976?~1030?年

橘 道貞(たちばなの みちさだ)と結婚し、小式部内侍(こしきぶのないし)を産む。美人で情熱的な歌人。『和泉式部日記』の作者。

語句を深ぼり!

あらざらむ=「(この世から)「いなくなる」つまり、「死ん でしまう」ということ。

恋愛に生きた女性

会うだけでいいの?


これも覚えておこう!

為尊親王(ためたかしんのう)、敦道親王(あつみちしんのう)=為尊親王は第六十三代冷泉(れいぜい)天皇の皇子。敦道親王は、その弟。和泉式部はこの二人の親王と恋に落ちた。身分違いの恋が、当時スキャンダルとなり、父親からは親子の縁を切られたといわれている。
和泉式部日記=敦道親王との恋愛が、和泉式部の歌を中心にえがかれている。

もう一度あなたに逢いたい

病の中詠んだ情熱的な歌

プラスα
和泉式部という名前は、夫の橘道貞の役職 「和泉守(いずみのかみ)」の名を取って、そうよばれるようになったんだよ。

著=吉海直人、ブラックインクチーム/『のびーる国語 百人一首』

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