姉に執着して何でも奪おうとする妹。その裏に隠された「妹なりの苦しみ」とは【作者インタビュー】

『世界で一番嫌いな女』より

婚約者を連れて実家に結婚の挨拶をしに行くことになった26歳のOL・エリ。幸せ絶頂のはずですが、どこか足取りが重いのは「絶対に会わせたくない」人がいるから。それは、実の妹・まりあのこと。過去に何度も大切なものや好きな人を妹に奪い取られた経験から、また何かされるのではないかと心中穏やかではなかったのです…。

そんな姉と妹の確執を描いたセミフィクションコミックエッセイ『世界で一番嫌いな女』。その中から、姉が妹への嫌悪感を募らせるエピソードをご紹介していきましょう。

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『世界で一番嫌いな女』あらすじ


『世界で一番嫌いな女』より

婚約者のカズマを連れて実家に結婚の挨拶をしにきたエリ。もともと妹のまりあを呼ぶつもりはなかったのに、母がこの日のことを話したせいで、「大嫌いな」妹が嬉々としてやってきたのです。久しぶりに再会した妹にエリは苛立ちが隠せませんでした。

『世界で一番嫌いな女』より

『世界で一番嫌いな女』より

『世界で一番嫌いな女』より

カズマと家族の会話にぐいぐい入ってくるまりあは、持ち前の天然っぷりを発揮して、その場の注目を一気にさらっていきます。昔から何度も味わってきたこの感じ。本来この場の主役であるはずのエリは置いてけぼりで、どんどん心が凍えていきます。

「こんなこと考えたくないのに、お腹の底からドロドロした感情があふれて止まらない」

『世界で一番嫌いな女』より


持ち前の愛嬌や愛らしさでいつも注目を集めちやほやされる妹に対して、エリはどす黒い感情を募らせていきます。しかし、妹のまりあも実は、優等生で真面目な姉と比べられることで、幼い頃から気持ちをこじらせていたのでした…。

姉妹の確執にハラハラするこの物語について、著者のただっちさんにお話を伺いました。

「まりあはエリに勝てなくて当然」妹なりに感じていたコンプレックス


『世界で一番嫌いな女』より

――ただっちさんご自身も二人姉妹で、主人公と同じく長女だそうですね。ご自身の思いや実体験を重ねて描いた部分はありますか?

ただっちさん:
妹におもちゃを譲らないと親に怒られる、妹だけが特別なお小遣いを貰える、妹だけが可愛いとちやほやされる、妹だけ私立高校進学が許される…家族のシーンはほとんど私の実体験です(笑)。また、「そんなに図々しくていいの!?」と思うようなことでも、妹が周りの人に可愛がられている流れは、人生の中で何度もありました。

『世界で一番嫌いな女』より

――姉のものを羨ましがって、物や人を次々と奪っていく妹ですが、40話では、妹は妹で姉を羨んでいたことがわかります。このまりあの苦しさについては、どのように捉えていらっしゃいますか?

ただっちさん:
周囲の大人たちが「まりあはエリに勝てなくて当然」と考えていることが、まりあにとって劣等感を加速させています。最近「かわいいだけじゃだめですか?」という曲が流行っていますが、大人たちは「まりあは可愛いからいいじゃない」と思ってる一方で、まりあはむしろそれがバカにされているように感じています。また、エリの発言からもいつも自分が下に見られていると感じており、その感情がいっそうエリへの執着を加速させています。

――作品全体を通しての見どころを教えてください。

ただっちさん:
エリとまりあの長所と短所がぶつかり合い、その中で揺れるカズマの心情が見どころだと思っています。

『世界で一番嫌いな女』より

――読者からの反応はいかがでしたか?

ただっちさん:
自分もこんな感じの妹がいる、という反応をたくさんいただきました。ラストは賛否両論です。ネタバレになるので書けませんが、私的にはある意味ハッピーエンドでもあると考えています。理由を説明できないのが歯痒いです!

――今後、描いてみたいテーマなどありましたら教えてください。

ただっちさん:
不倫や離婚、夫婦関係などをテーマにしたいと思っています。また、東大大学院での思い出や私自身の夫婦関係のその後に関するエッセイも書きたいです!

『世界で一番嫌いな女』より

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

ただっちさん:
いつも私の漫画を読んでくださり、ありがとうございます。こうして漫画を描き続けられるのは、読んでくださる方々のおかげです。ほんの少しでも、誰かの何かのプラスになれるような作品を描けるように、もっと頑張ります。引き続きよろしくお願いいたします!

***

前半では、姉のエリの苦しみが描かれていましたが、実は妹にも妹なりの思いがあったことがわかる展開に、胸がギュッと締め付けられます。ぶつかり合う姉妹とその間に挟まれた婚約者は、この後一体どうなるのか、ぜひ最後まで見届けてみてください。

取材・文=宇都宮薫

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