皿洗いでアイデアを出す vol.2-2「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ
雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!
家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。
vol.2「皿洗いでアイデアを出す」を4回に分けてお届け。今回は第2回目をお送りします。
******
昔、人間は魚だった。しばらくすると手足が生えて、陸に上がり、今ではほとんどの時間を濡れずに過ごしているわけだが、ずぶ濡れだった頃の記憶がまだ消えていないのではないか。
今でも私たちはひもすがらお茶を飲み、排泄し、体の中の水を入れ替え続けている。常に新しい水分を求めている。
私は皿洗いのあとや、水まわりの掃除のあとに、やけに喉が渇いて水をガブ飲みしてしまう。きっと、これも私だけの現象ではないだろう。たぶん、脳に「古い水を流し去って、新しい水を取り入れ続けろ」というシステムが搭載されている。
皿洗いの目的は洗浄だが、行為として手のシャワーだ。手の滝行だ。古い水が排水口に流れ落ちるところを見送り、新しい水が蛇口から出るところを眺める。新鮮な水に指先を当てていると、太古の記憶が蘇って、頭が活性化するんじゃないかなあ、と私は予想した。
(続く)
文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ
Information
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ集に『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』などがある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。初めての絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき、こぐま社)も刊行。
山崎ナオコーラさんのTwitter
「考えごとで家事を楽しむ」は毎週水曜の18:30に配信します!
▼掲載話一覧はこちら
※『レタスクラブ』で好評連載中! 最新号では最新話を読むことができます。
▼最新号の詳細・購入はこちら
おすすめ読みもの(PR)
プレゼント応募

「「ノザキのコンビーフ(80g×6 個)」」
そのままでも調理してもおいしいから、ローリングストックに最適!
メルマガ登録で毎週プレゼント情報が届く!
新規会員登録する
読みものランキング
読みものランキングをもっと見る
レシピランキング
レシピランキングをもっと見る
レタスクラブ最新号
レタスクラブ最新号詳細