「ごめんね」すら言えない夫。大切にしていたコップを割られた上に逆ギレされた妻の絶望【著者に聞く】

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『離婚するなら、今日かもしれない』より

「普通の幸せ」を求めているだけなのに、うまくいかない。夫への違和感や、SNSで流れてくる誰かの幸せそうな生活。そんな日常のあちこちに転がる言葉にならない心のモヤモヤを丁寧にすくい上げ、同世代の女性から圧倒的な共感を呼んでいる『離婚するなら、今日かもしれない』。境遇の異なる3人の女性たちを通して、夫婦や人間関係のリアルな歪みを鮮烈に描いた話題のコミックエッセイです。今回は著者のゆりゆさんに、作品に込めた想いについてお話を伺いました。

【マンガ】『離婚するなら、今日かもしれない』を読む

『離婚するなら、今日かもしれない』あらすじ


『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

大学時代からの友人である、花・真弓・亜里沙の3人。29歳になり、それぞれの生活環境が変わっても、時折集まっては女子会で近況を報告し合う大切な存在です。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

花は、毎日「なんとなく憂鬱」という薄暗い感情を抱えながら生きていました。
「ひとりで生きていくのは不安だから、人並みに“普通の”生活をして、“普通に”子どもを産んで、“普通に”幸せになりたい」
そんな願いを胸に結婚相談所で出会ったのは、5歳年上の夫。
「この人となら、思い描いた“普通の幸せ”を一緒に築いていけるはず」
そう信じて始まった新婚生活でしたが、一緒に暮らす時間が増えるにつれ、胸の中に小さな違和感が芽生え始めます。


『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

『離婚するなら、今日かもしれない』より

妻がしてくれることに感謝の言葉ひとつなく、大切なコップを割ってしまっても「ごめんね」の一言すら出てこない。それどころか、なぜか夫は逆ギレして不機嫌さを露わにしてきます。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

モヤモヤした気持ちのまま、ふと開いたSNS。画面を開けば、夫が作ったというお弁当の投稿、仲睦まじい家族旅行の写真、夫に誕生日を祝われる幸せそうな夫婦の日常が溢れかえっています。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

眩しすぎる画面から目を背け、誰もいない静かなリビングで、花はただ一人、深いため息をつくのでした。


些細なモヤモヤの蓄積を丁寧にすくう、リアルな夫婦描写の舞台裏


『離婚するなら、今日かもしれない』より

――本作は同い年の「花」「真弓」「亜里沙」という3人の女性を軸にした3章構成になっています。この3つの視点から物語を構築された意図について教えてください。

ゆりゆさん:30歳前後の女性って、たとえ親しい友人同士であっても、置かれている生活環境や抱える悩みが驚くほど変わっていきますよね。だからこそ、まったく異なる状況や悩みを抱える彼女たちを描きつつも、「どんなに違う環境で必死にもがいていても、その根底にある理由はひとつなんだ」というメッセージを伝えたくて、この構成にしました。本の中に散りばめられたその「理由」を、ぜひページをめくりながら探してみていただけたら嬉しいです。

『離婚するなら、今日かもしれない』より

――「『普通の幸せ』を求めているだけなのにうまくいかない」と悩む花に、思わず自分を重ねて胸が締め付けられる読者も多いと思います。夫に対する“違和感”のエピソードは、どのようなことを意識して描かれたのでしょうか?

ゆりゆさん:夫婦関係に限らず、「こんなことで悩んでいて……」と誰かに相談しても、「まあ、よくある話じゃない?」「ちょっとした愚痴でしょ」で片付けられてしまうことって、案外多いと思うんです。周りから見れば本当に些細なことかもしれない。けれど、その小さなモヤモヤが積み重なって、自分の心を少しずつ、でも確実に蝕んでいく……。そんな言葉にならないしんどさやリアルな空気感を、丁寧に描写するよう意識しました。


『離婚するなら、今日かもしれない』より

――SNSで流れてくる誰かの幸せそうな日常と、自分の現状を比べてしまう花の姿がとてもリアルでした。このシーンを描いたときの想いについてお聞かせください。

ゆりゆさん:今はSNSが日常に溶け込んでいる時代ですよね。昔なら「まぁ、人生こんなものかな」と諦めがついていたようなことでも、SNSを開けばキラキラした日常が目に入り、「でも、もっと幸せそうな人もいる」と感じてしまう。その結果、自分の幸せを諦めきれなくなってしまう方が増えているんじゃないかな、と思うんです。 「人と比べても意味がない」なんて、頭では痛いほど分かっている。それでもどうしても比べずにはいられない、抜け出せない。そんなSNS時代だからこそ誰もが陥ってしまう切ない葛藤を描きたいと思いました。

* * *

誰かと比べて落ち込んだり、夫への些細なモヤモヤを「こんなことで……」と一人で抱え込んでしまったり。彼女たちが葛藤の末に見つけた「もがく理由」とは何なのか。今、夫婦関係や自分の生き方に少しだけ疲れてしまっている方にこそ、ぜひ手にとってほしい一冊です。

取材・文=宇都宮薫

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