愛猫を襲った突然のガン宣告。闘病生活を支える決意をした夫婦
ちゃーにゃんが大量のよだれを出したことをきっかけに、一気に不安が押し寄せたねこゆうこさん。 ちゃーにゃんは15歳と高齢ということもあり、口元にしまりがなくなってきたのかな…と思いつつも、元気なちゃーにゃんを見ると、病気なわけないよ、と思わずにはいられなかったそうです。
ある日、ペロっと舌を出したちゃーにゃんの下あごにグロテスクなできものが…。猫の小さな口の中には、かなりの大きさに見えたそうです。 口内炎…?あんな大きなできものが口の中にあったなんてどれほど痛かっただろうと、ねこゆうこさんはたまらない気持ちになりました。
動物病院を受診したちゃーにゃんは、口内炎ではなくガンだと医師から告げられてしまいます。
突然のガン宣告に言葉を失うねこゆうこさん夫婦。 どんな治療をしたいのか、ちゃーにゃんに変わって決めなければならない…。手術をしてとことんまで延命治療するのか、化学療法で抗ガン剤治療するのか、なにもしないのか…。ねこゆうこさん夫婦は、ちゃーにゃんにとっての幸せは何かを考え苦渋の決断をします。
紹介されたガン専門病院で、全身麻酔による検査と共に手術を強く勧められますが、「手術はしません…」とちゃーにゃんに残された時間と向き合うことを決めた旦那さん。手術をしない決断を下し、全身麻酔を用いた病理検査もしないことを決めたねこゆうこさん夫婦。
ちゃーにゃんに残された時間を医師に聞くと「2ヶ月…長くて3ヶ月くらいです…。」と余命宣告を受けます。
愛猫の闘病生活を支えたねこゆうこさんの当時の思い
―――ちゃーにゃんはガンが見つかるまでの間、病気にかかったことはなかったのでしょうか。
ねこゆうこさん:病気らしい病気になったことはなかったです。最初のころはおなかに虫がいたり、ノミがいたこともありましたが、駆除したあとは大丈夫でした。
―――本作品中に「15歳とは思えない健康体」という医師の言葉がありました。ちゃーにゃんが元気に過ごすために日常生活で気を配られていたことがあれば教えてください。
ねこゆうこさん:食欲旺盛で食いしん坊で、いっぱい食べていっぱい出していっぱい寝て、何事にもあまり動じず、お客さんが来てもガスや水道工事などどんな業者の人が来ても平気でした。 これはもうそういう性格なんだと思います。
私たちは、ちゃーにゃんにいつまでも元気でいてほしかったので、猫が食べてはいけないもの、置いてはいけない観葉植物など、そのほか動物と暮らす人なら誰でも注意しておくことを普通に気をつけていただけです。 私たちが気を配っていた、というよりもちゃーにゃんが生まれ持ったものだったんじゃないかなと思います。
―――旦那さんが「手術はしない」と断言されたときの率直な気持ちを教えてください。
ねこゆうこさん:旦那さんならたぶんそう言うだろうなと、なんとなく思っていました。
ちゃーにゃんと私たちはチームでしたが、ちゃーにゃんと旦那さんには男同士の友情のような、言葉にできない不思議な絆があったような気がします。 旦那さんが「手術しよう」と言ったら私は反対しなかったと思いますが、そうは言わないだろうと思っていました。
―――すべての時間を大切に過ごされてきたと思うのですが、ちゃーにゃんとの闘病生活において幸せを感じられたエピソードがあれば教えてください。
ねこゆうこさん:闘病中もそれまでも生活の中でも、変わらないです。
いちばんというものは特になく、美味しそうにごはんを食べてくれたり、クッションに寄りかかってすやすや寝てくれていたり…。 ちゃーにゃんがそこにいてくれるだけで幸せでした。
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愛猫がガンと闘う過酷な状況でも、家族が同じ空間で同じ時間を過ごすことがなによりも幸せなことだと話してくださったねこゆうこさん。 あたりまえにある日常を、改めて見つめ直してみませんか。
文=畠山麻美