杖なしでは歩けないほどの痛みを抱えながら「金がねえ」と妊娠中期に職場復帰! 壮絶なつわりを描いた話題作の著者に聞きました
「涙が出た」
「共感しかない」
「つらすぎて泣いた」
「ハードモードすぎる」
「めちゃくちゃ気持ちがわかる」
など、多くの共感の声が寄せられた松本ぽんかんさんのコミックエッセイ『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』。あまりの壮絶さに「妊娠怖い」「ほとんどホラー」などの声もあがるほど。
しかし、テンポよくコミカルに描かれた作品は思わず笑ってしまう場面もたくさんあります。妊娠と出産の大変さを笑い飛ばす内容に、勇気づけられる読者も少なくありません。
入院を勧められるほどの壮絶なつわりを乗り越えた喜びもつかの間、今度は坐骨神経痛を発症した松本ぽんかんさん。激しい腰痛を抱えながらも復職を果たした、妊娠後期の頃のエピソードについてお話を伺いました。
「金がねえ」と職場復帰。通勤は杖をつきながら…
──妊娠24週目で「金がねえ」と嘆く場面が出てきます。ぽんかんさんの場合は通常の妊婦健診に加えて、妊娠悪阻や坐骨神経痛の治療費、歩いて通院できないのでタクシー代などもかかっていましたよね。相当な出費だったかと思いますが…。
松本ぽんかんさん:
出産した年は医療費控除を受けたのですが、合計で45万ほどでした。出産の自己負担金は15万ほどです。休職中はずっとマイナスの給与明細が届いていたので辛かったですね...
──通院すらしんどそうな状況でしたが、妊娠25週目に仕事に復職されたことに驚きました。 杖をつきながら1時間の距離を2時間かけて通勤するなど相当ハードな日々だったかと思い ますが会社の同僚のみなさんや周囲の方の反応はいかがでしたか?
松本ぽんかんさん:
杖をついていることにとにかく驚かれました(笑)。あまり出産経験者のいない部署にいたので、「妊娠ってこんなに大変なんだ…」と皆同情してお菓子を恵んでくれました。
──復職して働いている頃のエピソードで、通勤時のことや勤務中のことなど、印象に残っていることがあれば教えてください。
とにかく頻繁にトイレに行っていたことしか覚えていないです…電車も30分乗ってられなくて途中下車したり。あと常に何かを食べていましたね、めちゃくちゃ太りました。そういえば復職時は真冬でしたが、赤ちゃんがお腹にいるだけでポカポカだったので、その冬は防寒着を全然使わずに過ごしました(笑)。
──妊娠中はとにかくつらそうなエピソードが多いですが、その中でも胎動を感じた瞬間や、 ベビー用品店でベビー服を選んでいる時など、幸せそうな場面もありますね。妊娠中に「幸せ」を感じる瞬間はどんな時だったでしょうか?
松本ぽんかんさん:
正直、妊娠自体が幸せだと思ったことは一度もないです。あれはネガティブエピソードしかないことに申し訳なくなって何とか捻り出したエピソードでして…(笑)。ずっと「妊娠早く終われ」と思っていました。
ただ唯一、7ヶ月辺りで撮った4Dエコーの写真を見た時は子どもの顔が見えてポジティブな気持ちになれましたね。それも「早く会いたい(=早く終われ)」ということでしたけど(笑)。妊娠せずに我が子を抱ける男性が心底羨ましいです。
──妊娠・出産では大変な思いをされましたが、育児をするなかで「子どもを産んで良かった」と感じる時はどんな時でしょうか。
松本ぽんかんさん:
そんなの毎時毎分です!(笑)何でもない日々でも毎日「産んで良かったな」と思います。 これはまだ5歳だからですかね...?(笑)これからも育児頑張ります!
* * *
つわりが最もしんどい時は「妊娠やめたい」の気持ちが心に浮かんだという松本ぽんかんさんでしたが、今は「産んで良かった」と思えるそうです。いままさに妊娠トラブルを抱えている状況の方も、この言葉には励まされるのではないでしょうか。松本ぽんかんさんの経験に勇気をもらって、赤ちゃんに会える日を楽しみに待ちたいですね。
取材・文=レタスユキ
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