保護者とのやり取り→発注主とのコミュニケーション
保護者とのやり取りと発注主とのコミュニケーションに共通しているのは、表情が見えないツールを使って連絡事項や思いを伝える必要がある点です。
教員をしていたときは、保護者と電話でやり取りをすることが多くありました。直接話しているときは相手の表情を見て話せますが、電話だと声だけで伝えなければなりません。そのため私は、自分の表情や感情が伝わるように、声色を変えたり話す速度に気をつけたりと工夫していました。
ライターの仕事では、発注主とのコミュニケーションでチャットツールを使うことが多く、基本はテキストでやり取りしています。文字だけだと感情が伝わりづらい文章になってしまいがちなので、私は相手に合わせて表現を変えることを意識しています。あくまでも相手によって変わりますが、カジュアルな文章を好む方とやり取りするときは、「!」や絵文字を使うケースもあります。
保護者とのやり取りの経験は、表情が見えないツールを使って「いかにわかりやすく要点や感情を伝えるか」を考えるのに活きていると感じますね。
授業作り→記事作り
授業作りと記事作りは似ている仕事だと私は感じています。どちらもゴールに向かって要素を組み立てていくところが同じだからです。
授業は「授業を通して身に付けてほしい力」をゴールにして、全体の流れを作ります。導入では子どもがやりたい!と思えるようなフックを、展開では飽きずに取り組み続けられるような工夫を考えていました。
記事も「記事を読んだあとの読者の姿」をゴールにして、構成を考えます。リード文は記事を読みたいと思えるような文章を、本文は最後まで読みたいと思えるように考えて作ります。
このように授業作りと記事作りは共通点が多いので、教員時代の経験が活きていると感じました。
スキマ時間で仕事→時間の使い方
教員時代にスキマ時間を見つけて仕事をしていたことが、Webライターになった今、時間の使い方に活きています。
授業間にある短時間の休憩や給食を食べたあとの時間は、連絡帳の確認やプリント・テストの丸付けに使っていました。たとえ5分でも数人分のプリントチェックは可能です。放課後もやるべきことがたくさんあったので、当時はスキマ時間を大切にして仕事をコツコツ進めていました。
Webライターになった今は「洗濯機を回している間の30分で構成をここまで考えよう」「出かけるまであと5分あるからメールチェックだけ済ませよう」など、見通しを持って時間を有効に使えています。時間をうまく使えるようになったのも、教員時代の経験があってこそだと感じました。
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教員とWebライターは仕事内容こそ違いますが、コミュニケーションや取り組み方で経験を活かせる部分があるのですね。
「異業種しか仕事をした経験がないから……」と不安に感じている方も、もしかすると武川さんのようにこれまでの経験がWebライターの仕事に活かせるかもしれません。
異業種での経験も前向きに活かせるよう、Webライターに応用できそうな前職のノウハウがないか、ぜひ一度棚卸ししてみてください。
▶プロフィール
武川彩香
フリーランスWebライター。小学校教員を5年間勤めるも、適応障害で退職。現在はクライアントワークをしながら、働き方に悩む教員に向けて、Webライターの魅力やリアルを発信中。
文=YY