特別なモノを買い足さず、むしろ減らす。持ち家から賃貸に住み替えた著者と考える「地震に強い部屋づくり」
広々とした注文住宅から、コンパクトな賃貸マンションへの“住み替え”を選択した、5人家族の実録コミックエッセイ『賃貸か持ち家か?こだわりマイホームを手放して賃貸生活でお金も貯まりました』。
なぜ「マイホームを手放す」という選択をしたのかはもちろん、著者のアベナオミさん夫婦が住み替えるきっかけとなった、“片づけ”や“家計の見直し”の方法に、目からウロコが何枚も落ちた!と話題になっています。
【あらすじ】念願の注文住宅!でも暮らしたのはわずか数年でした
エリアごとに選んだ壁紙、最新設備の水回り、吹き抜けのランドリールーム…。夫婦でこだわり抜いて建てた4LDKの注文住宅でしたが、アベさん一家がこのマイホームで暮らした期間はわずか数年。現在は賃貸マンションで暮らしているのです。
周囲からは「なぜ!?」「ローンが払えなくなったの?」など質問の嵐。それもそのはず。引っ越したのはほぼ1LDKの賃貸マンションで、住居スペースは戸建時代の半分以下。それでも暮らしやすさは「劇的」に変化したといいます。
理想を詰め込んだマイホームは、予想以上にかかる光熱費や広すぎる部屋と庭のメンテナンスの苦労、どんどん増えていく荷物の片付けが追いつかない!など、さまざまな悩みを抱えることになってしまったのです。
著者アベナオミさんインタビュー
2011年の東日本大震災を宮城県で被災し、その後、防災士の資格を取得したアベさん。自宅を片づける際に、防災の知識をふんだんに盛り込んでいました。
そこで「今、この記事を読み終えた直後にできる、おうちの防災」をうかがうと、「ポイントは3つです!」と教えてくれました。
今すぐできるおうち防災のポイント
①まずはスマホの充電!
②次に寝室のワレモノを減らす!
③災害時に役立つモノを知っておく!
今すぐできるおうち防災のポイント① まずはスマホの充電!
アベさん
スマホは情報収集には欠かせませんし、家族や学校・園への連絡先、銀行・クレジットカードアプリ、子ども用のゲームや娯楽アプリと、もはや生活には欠かせません。今、その辺りに置いてあるスマホ、タブレットはすぐ充電しましょう。外出時、充電バッテリーをバッグにしのばせるのも立派な防災です。
合言葉は「令和の防災は、まずスマホ防災から~!」
今すぐできるおうち防災のポイント② 寝室のワレモノを減らす!
アベさん
スマホの充電をしたら、いよいよ地震に強い部屋づくりです! ホームセンターに行って防災グッズを買い足す……前に、まず自宅のモノを減らしましょう。
おうちの防災という視点でモノを減らすとき、まずは寝室のワレモノから手をつけます。就寝中の大地震は、ほとんどの場合、寝具の中にくるまって揺れをやり過ごすしかありません。そのとき危険なのが、照明器具・写真フレームなどワレモノ系インテリアなんですよ。
――私はベッドサイドの棚にキャンドルを飾ってます。まずはコレですね。あと、ベッドの真上に丸いガラスの照明器具がぶら下がっています。これ、大きく揺れたら天井にぶつかって割れるかも…。
アベさん
うんうん。必需品なら、固定したり、割れにくい素材に替えることがおすすめです。背の高い棚も、倒れた場合を想定して、ベッドを直撃しない位置に移動させましょう。寝室が終わったら、リビング、キッチンと見ていって、揺れたら危険なモノを減らしていきましょう。
――我が家は災害時用に水やお米などを多めにストックしていて。買ってきたばかりで入りきらないモノを、とりあえずそのあたりに置いてしまうんです。もうクセになってしまっていて、いつもキッチンが雑然としているんですよね。
アベさん
わかるっ!著書にも描きましたが、私も常習者!なので、入りきらないモノを一時的に置くためのフリーゾーンを常に確保しておくようにしたんです。今、うちの収納のメインは狭い賃貸の押し入れですが、フリーゾーンだけは死守しています!
あとは、ストック量が多すぎるのかもしれません。食品をはじめ生活・衛生用品も、ストックの目安量は「未開封の1パック」。開封したらすぐに未開封の1パックを補充するんです。おむつ(ベビー用・大人用)などは、もう少しストックが多いと安心感がありますね。
――なるほど、基本1ストックならだいぶスッキリするかもしれません!最近、「ローリングストック」(使った分だけ新しく買い足して、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法)がいいと聞きますが、この1ストック法なら在庫管理もしやすいですね。
アベさん
それです!レトルト食品でもお菓子でも、お気に入りの味を普段から1ストックです。災害直後の不安な時期だからこそ、非常食より「いつも食べ慣れている味」がおすすめなんですよ。逆に、普段あまり自炊をしない場合は、自宅に食料が少ないので、非常食ストックがおすすめ。災害時、食事がままならなかったのは発生直後の約3日間だったので、3日分を目安にしても。そこを乗り越えれば、徐々に支援が届き始めます。
今すぐできるおうち防災のポイント③ 災害時に役立つモノを知っておく!
――アベさんご自身の被災経験から、防災用品に激推し!というモノはありますか?
アベさん
あります、あります!
●おしり拭き(ウエットティッシュ)
●おむつ処理袋・生ごみ処理袋
です。特におしり拭きはベストオブ防災用品でした! 断水生活中でも、全身を拭いて清潔を保てましたし、テーブルや床を拭いたり、もう水道の代わりでした。
災害後しばらくはゴミの収集もストップします(施設の被害や点検、燃料不足のため)。被災生活の中でも、おむつやレトルトパックなど、においやすいゴミは出るので、処理袋があると生活のクオリティが保たれます。
――水道の代わり!ゴミも盲点でした。生活を支える土台ですね。
アベさん
そうそう。その生活の土台を支えるモノを、おうち防災グッズとして備えておけばOKです。具体的には
●水
●火力
●非常時用トイレ
この3つさえあれば、水分補給、食事、清潔、排泄を守ることができます。
火力はカセットコンロが一番おすすめですが、アウトドア用のバーベキューコンロでも、逆にキャンドルタイプのチョコフォンデュセットでも! 小さいけれど、お湯を作ったり、目玉焼きを作るくらいのことはできます。
あとひとつ、今の生活に欠かせないものがありましたね。「令和の防災は?」
――「まずスマホ防災から~!」
アベさん
そうです! スマホ・タブレットの台数分の充電バッテリーは必要になります。充電バッテリーは、充電式・乾電池式・手回し式・ソーラー式などのタイプがあります。できれば数種類を用意しておくと、いざというときに使えないというリスクを分散できます。
――なるほど…! これで、今うちに必要な防災グッズが明確になりました。「地震に強い部屋づくり」、できそうです。まずは寝室のキャンドルから始めて、キッチンに積まれた余分なストックも減らしていきます!
アベさん
うんうん。モノを減らし始めると、結果として、防災のほかにもいろんなメリットがありますよ。楽しみながらトライしてみてくださいね。
* * *
アベさん夫婦はお片付けをしたことで貯金も増え、最終的にマイホームを手放します。そう、経済的に辛くなって手放したのではなく、「私たち」にとって最適な住まいとは何か、と考えて工夫して、話し合い抜いた末の決断だったのです。今、教育費や老後資金などに不安を抱えているすべてのオトナ世代に、知恵と勇気を与えてくれる一冊です。
取材・文=maco
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